以前から言ってた本、ようやっと発売となりました。
>経験豊富な参加者たちのインタビューをもとに、カタログだけではわからない部分を解説。コミケ独自のマナーやモラルなど隠れたノウハウを満載!「歩く」、「探す」、「並ぶ」、「買う」など、入門者必携の解説本。
名古屋・大須電波ニュース(大須Blog)さんで紹介されてました。
> なかなか生々しい内容ばかりで、初心者向というより、一度参加経験した中級者が、「こんなことあった」と頷いてしまう内容
> 華やかなイベントのちょっとダークな裏側に触れてみたい方にオススメ
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ぶっちゃけ、出来上がった本を読んでみると、コミケの教科書ってゆーか、参考書?問題集?
どちらかというと、本当の本当に超初心者の人よりかは、参加した事がある人がステップアップする為の裏ワザ、みたいな?
基本的には、長年コミケに参加経験のある漫画雑誌編集者とか女装レイヤーとかBL作家さんなどなどと、小山まゆ子さんがインタビューして対談する形式です。(吉田豪スタイルを意識したとか何とか…)
「壁サークルはあきらめろ」とか、実用的な言葉が出てきます。
一見さんには見えにくい裏側の話とかも入ってます。
僕の書いてる部分は、最後の方に特別機甲…いや奇行…じゃないや寄稿という形で、「20分で分かる?コミケ×コスプレ×18禁ROMのパラダイス・ロスト」というタイトル。
…中二臭ェですね。555臭ェですね。井上俊樹臭ェですね。
ま、タイトルは少々インパクト重視にしないと。最初の仮題は「〜のカタストロフ」みたいのだった気がする。そりゃさすがにイカンですし。
ま、タイトルは少々インパクト重視にしないと。最初の仮題は「〜のカタストロフ」みたいのだった気がする。そりゃさすがにイカンですし。
この原稿を描かせて頂くきっかけとなったのが、ここ数回のコミケの度に起こる、男性向コスプレROMジャンルでの販売停止の連発や、「コミケ発禁!」を売り文句にしたその商法に対する危機感…これら経緯のまとめや、共存の着地点を考えたい、と9月に書いたブログ記事でしたが。
当初は「コミケが抱える問題として、18禁コスプレROMに関する部分を使わせてほしい」という依頼だったのですが、どうせならと、コミケとコスプレの関係がどうだったのか、歴史的な部分から説明して、色んな物を詰め込み…過ぎた気もしてますが。
特にコスプレに関する歴史や諸問題って、当事者の立場で、かつ体系的に語れる人が、少ないらしいですね。
どうしても利害関係、と言うよりも人間関係が複雑なので。
コスプレの特性上、顔出しによる個人の可視性や特定性が非常に高いですし。
繋がりがユルくて広いので、何処の誰を批判しても“友達の友達”になってしまうし。
匿名でなら書いてる人も沢山いるのに(笑)
たまたま晴海時代を知る参加者だった。
たまたま古参コスプレイヤーだった。
たまたま同人描きでもあった。
たまたましがらみの少ない立場だった。
たまたまコスプレROMはエロも非エロも両方回っていた。
たまたまコスプレROMはエロも非エロも両方知り合いがいた。
たまたま池上彰先生の番組をよく見ていた。
たまたま着ぐるみレイヤーで顔バレの可能性が低かった。
たまたま文化史としてのコスプレそのものを愛していた。
たまたま他の人より問題意識がやや強かった。
まぁ、大袈裟に言っちゃえば、天命かなー?と。
なればこそ、書けるだけの事を書いて、遺しておきましょう、と。
有害コミック規制運動?
幕張メッセ追放事件?
90年代コスプレブーム?
ナチス軍服抗議事件?
そして米澤代表による「コスプレも自分の肉体と衣装を使っての表現」という定義?
趣味だったコスプレの世界に、いつから商業が入って来たの?
どうしてコスプレは同人作家には必ずしも好まれなかったの?
いつの間にコスプレイヤーにとって、コミケへの特別な意識が薄れていったの?
コスプレイヤーと、エロROM売ってるコスプレイヤーって人種が違うの?
なんでマンガでは許されるのに、実写では性器全体を隠さなくてはいけないの?
…だってさぁー。
少なくとも一度はコミケがワイセツ図画問題で潰れかけてる事(有害コミック規制運動・幕張メッセ追放事件)からキチンと説明しないと、いま抱えてるエロコスROMの問題も、どれだけ危険水域かってのが伝わらないじゃん!
これらはコミケ初心者向けの純粋なハウツー本であれば、別に知る必要の無い事かもしれませんが、かつての事件も若い世代・次の世代にこそ伝えたいという考えで、ページを増やさせて頂きました。
早めに提出して「いらない部分は削ります」と申し出ましたが、編集の方が「削って分かりにくくなるよりかは、このままで」と仰ってくれた事で、素人風情が約40ページもの文章を書かせて頂く運びとなりました。本当に感謝の極みです。
40ページなんて、東電の賠償請求書160ページに比べたら1/4ですが、富樫先生だったら3年分位のページ数です!
これらは、【散逸させたくない記憶と記録】
先人や俺達が踏んで来た、地雷も楽園も、幸も不幸も、なるべく沢山、次の世代に伝えたいんだよ!!
× × × × ×
でもまぁ、すぐ修正できるブログと違って、資料として後に残る訳ですから、表現には気をつけました。
なるべく客観的に。
個人攻撃にならない様に。
ブログ版で問題行為の個人名を挙がってても、書籍では「とある有名な方」とかでボカしてますから。そうしないと特定個人の名前を連呼する事になっちゃうし。
ぶっちゃけ、この男性向コスプレ(衣装着てないけど)ROMサークルの問題に関して言えば、ののねかりん・うしじまいい肉の二大巨頭の例を挙げれば、だいたい分かっちゃうんですけどね…。
前者: 見せちゃイケナイ部分を見せたり「コミケ発禁!」を宣伝に使ったROMを通販する、ソフト面の問題児。
後者: 企業ブースとサークル両方で自分のROM(会社登記・JANコード取得済)を売ったり、「コミケ発禁!」を宣伝に使ったイベントを開催する、ハード面の問題児。
(そういえば後者の人、準備会から参加を断られて、夏コミでは他サークルのモデルとコラボしてROMを委託したけど当日にストップかかってたのに、今回も別サークルに委託します…って宣伝してるけど…。準備会はとっくにその動向を掴んでるので。どういうトリッキーな突破作戦を立てるのかなぁ。パッケージ偽装くらいじゃ通用しないだろうし)
× × × × ×
あと、エロ規制の推進派って思われたくないんで。
先日、スタジオYOU系イベントではサークルに対して、「18禁本を売る場合、毎回必ず相手の年齢証を確認する事」という様なトンチキな規制を作ってしまいました。
ハッキリ言って無意味です。
ハッキリ言って無意味です。
上記の様にハードルを無駄に上げる必要は無いのです。
でも、今あるハードルに引っかかってはならないし、そのハードルが設定された背景も、知っておかなくてはならない。
性器を露出させてはいけないという基準は、準備会のイジワルではない。警察の取り締まりや、会場との契約の壁があるのだから。
前から言ってるでしょ。
ファン活動としてのコスプレと、裸を飾るためのコスプレ、一緒にされたくないよ!
でも、だからって向こうをまとめて潰してしまえとも思わないよ!
コスプレだから・ROMだから・18禁だから悪いのではなく。
問題を起こしてるのは、ジャンルではなく、“人”ですから。
× × × × ×
で、それはそれとして、胃が痛い日々です。
これらの元になったブログ記事は、ツイッターを介して多くの人にRTして頂き、その目に留めてもらえた訳で、その中でこの本に寄稿させて頂く話も出てきた訳ですが。
あれ以来、コスプレに関しては、事情通や評論家みたいな認識でフォローしてくれる人が増えて来てね…。
だからツイッターのあのアカウントは、どうしても情報提供や意見表明のツイートが多くなってしまうし、それが自分でも鼻につく事もあるのです。
自分は何かを(例えばコスプレイヤー全体を)代表できる人間ではないし、歴史を知っているけれど、公開されていない深層まで全て知っている訳では無い。
いや、しがらみが少ないからこそ、色々と発言できたのかもしれませんが。
だって「バブルの頃に作って閑古鳥の鳴いていた商業施設が、コスプレイベントで集客を図る様になった」なんて、誰が見ても明らかなんだけど、そういった会場を借りて開催しているイベンターの立場だったら、言えないでしょう?
強いて言えば、僕は解説者です。評論家ではないと思います。
何となく、池上彰先生の解説をお手本にしていました。
評論家は是非を断ずる事が多いですが、僕のやっている事は「良いとするのはこんな観点から意見が有り、反対しているのはこんな層が居る」みたいな、データの羅列ですから。
あとプロレスファンなので、「解説者」という言葉に憧れてるし。
そんな訳で、調子こいてしまいまして。
以来、コスプレに関しては迂闊に色んな所へ首突っ込んで、嫌なものを見てしまったりするのです…。
言いたくても、言えない事も多くなってしまいました。
何気なくツイートした情報が、忘れた頃に掘り起こされて大量RTされてるケースも有りましたし。
迂闊に何か言えないよね…。
ましてやコスプレイヤーの繋がりって、同人誌の人達と違って、「正しいか否か」って理屈で語れる行動原理じゃないパターンも多いもんね…。
(↑これが余計な事を言う、という例)
少し窮屈な様な…。
本当の事を書いて残す事が十字架なら、俺が背負ってやる!みたいな…。
…。
まぁ、アレです。
覚悟の上の発言で誰かに背を向けられても、仕方ない。
でも、いま友達でいてくれる人は、なるべくなら友達のままでいてください。
嫌ならいいけど。
嫌ならいいけど。