3週間も経ってしまいましたがようやく書きます、恒例の宇宙一長い(?)コスサミ2012決勝レポ!

 8/4(土)17:30…名古屋栄はオアシス21、主催者発表1万8千人を飲み込んだ闘いのワンダーランド!青い芝生の中にそびえる超近代的なアリーナはこの夜、地球全体から集合した20ヵ国代表がコスプレパフォーマンスの覇を競う、コロシアムへと変貌するのであります!(古館伊知郎風に)
 
※ 書いてる人がコスプレイヤーなので、そーゆー視点からのレポになります。また自分でも予選出てみたので、ステージを作る為にどういった工夫がされてるか、そんな部分を注視しながらのレポです。
※ 前週の一宮パレードでデジカメ故障したままなのでサブカメラ写真です。
※ 何回も言ってますが、コスプレに世界一もへったくれも決められません。コスプレはファン同士が楽しくやれば良いものであって、基本的に優劣を競うものではありません。多くのコスプレイヤーにとっては、コスサミの優勝=コスプレ世界一とは権威付けされていません。
 世界コスプレサミットはあくまでTV局による企画であり、“コスプレによるステージパフォーマンス”を競う大会であり、お祭りです。
(予選落ちチームが言うなって?でも、予選落ちした人も含めて、出場者全員、この辺の意識は共通だと思うよ)


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【オープニング~審査員登場】
・ 三原龍太郎(経済産業省/クールジャパン戦略で8兆円ビジネスを目指すミクオタ官僚)
・ 広野啓(バンダイナムコ)
・ 乾たつみ(コスプレサイトCure管理人)
・ 大河内卓哉(ブシロード/ドクターO)
・ May’n(歌手/シェリルノーム歌担当)
・ 古谷徹(声優)

 17:30開始!
 審査員は、パフォーマンス10点/コスチューム10点/原作リスペクト5点で各々の点数をつける。25点×6人で、最大で合計150点。
 また今回から観客席にも500人分のプラカードが用意され、審査に参加できる。イイネポイントが0.1点×500人で、最大50点が加算される。
 なお各チームの出場順は7/28にサンシャイン栄で抽選会が行われており、そこで順番が決まっている。ただし今回は生中継される都合上(?)、強豪の優勝経験国5チームは最終ブロックでの登場、そして日本代表がトリを務める事は、抽選会の前に決まっている。
(コスサミは2003年からだが、チャンピオンシップ形式は2005年からなので過去7回しか無く、イタリアとブラジルは2回ずつ優勝)

 ちなみにチャンピオンシップでの主なルールは、二人一組、衣装は自作品のみ、演技時間2:30以内、衣装と大道具の総重量40kg以内、舞台上を汚さない…など。

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【1】フィンランド「デビルサマナー 葛葉ライドウvsアバドン王」
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 木刀を用いたライドウvsオオクニヌシの殺陣と演舞。
 大道具をブロック一個しか使用せず、20ヵ国中で最もシンプルな構成であった。しかしよく見るとLEDが仕込んであったのだが、夕方の明るさでは全くと言っていいほど客席から見えない。
 ここ最近の優勝国がチャンピオンシップ後半に登場しているチームから選ばれている事からも、陽が落ちてLEDが映える時間帯の登場の方が、有利な気がしてしまう。

【2】韓国「ケロロ軍曹」
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 セリフによる前振りで夏美にガンプラを破壊されたケロロが、復讐の合体ロボ・ゴッドケロンを発進させる…が、誤って自爆スイッチを入れてしまい、モアが「ハルマゲドン1000万分の一!」で装置を破壊する…という、原作にいかにもありそうな展開。
 このゴッドケロン、コクピットに座る5人のケロロ小隊まで完全再現しているのと、そしてこういった球体は平面に比べて固定が難しく、全体のバランスと強度を両立させるのが大変なのだよ。(造型レイヤー視点)
 またセリフが全て流ちょうな日本語で、元のケロロやモアの口調に似せようとしているのも感心。
 惜しむらくは全体的に、ステージ上での二人の動きが少なかった事か。コスサミは衣装よりもパフォーマンス。

【3】デンマーク「XXX HOLiC」
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 箱を開けて扇子で紙吹雪を舞わせたり、紙テープを放射状に飛ばしたり。
 後半でフラッグを振りながらの演舞なども、空間を効果的に使っていた。
 ダークさとカワイさ、幻想的な世界観を再現しようという意図が感じられて、それを2:30の中でコンパクトによく詰め込んでいたと思う。
 小道具が多く、終わった後のステージ上の散らかり具合が何だか“文化祭の後”っぽくて、青春の匂いがした。

【4】ドイツ「らんま1/2」
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 乱馬とあかねの掛け合いメインの劇なのに、セリフが全部ドイツ語!わからん…。
 後で聞いた話ではシェイクスピアのパロディが入ってたらしいけど。他国の代表が全て、カタコトでも日本語でセリフを入れてるので、前半がまるでポカーンだった。
 LEDライトセイバーでスローモーションのチャンバラを入れるなど見せ場はあったけど、全体的に流れが伝わらないと入り込めない。ならアクションだけでドタバタさせた方が良かったのではないかなー。

【5】イギリス「吸血鬼ハンターD」
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 コスチュームの出来が最高レベル!
 日本でも同作のレイヤーは複数いるけど、Dの細かい装飾の衣装とマントを合皮で作ると、どうしても動けなくなります。しかしこのイギリスチームは、このゴツイ衣装でよく動き回れる!感心。
 全体的に、原作の耽美なイメージを現実の空間で再現しようとしていた感じ。
 初参加国でこれだけの逸材が出てくるとは…まだ見ぬ強豪は多いんですな。
 この方、本職が服飾デザイナーで、ロンドン五輪の開会式の衣装デザインも一部手がけてらっしゃるそうですが、晴れ舞台の筈の本国での五輪開会式を欠席してコスサミに来日したそうです…なんてヤツだ!うぇるかむJapan!

【6】オーストラリア「天元突破グレンラガン」
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 最初、ヴィラルがステージ上で啖呵を切る。
 そして背後の壁が割れて奥から巨大なグレンラガンが登場!さらにグレンラガンが割れて中から青年シモン登場!
 ウェディングドレス姿のニア(さっきのヴィラル早着替え)を抱きかかえて「嫁ゲットだぜ!」のポケモンネタでシメ。
 シモンとニアの結婚式…という、原作の悲しいラストをハッピーエンドにアレンジしていて、同人的な二次創作の精神というか、ファン心に溢れている。
 着ぐるみグレンラガン、デカイけどちょっと造形的にはバランス悪いなーと思ったら、瞬間的に脱げる様に作られてたのね。

【7】スペイン「TIGER & BUNNY」
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 ヒーロースーツのワイルドタイガーとブルーローズが、ダンスしながら、ケンカ混じりの寸劇を繰り広げていく。
 タイガーから鏑木酒店のタオルを貰って喜ぶローズ…といった細かいファンのツボを押さえてる。
 これらをセリフ全く無し、掛け合いだけで見せていく構成は冒険だったろうが、当たっていると思う。
 王道カップリングを男女ペアで表現するという、うらやましい限り。
(そして登場7チーム目で既に4チームが着ぐるみという時点で、今後の流れが思い浮かぶかと…)

【8】ニュージーランド「新・光神話パルテナの鏡」
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 今年度屈指の超マイナー作品で登場。元シリーズは1986年にファミコンのディスクシステムで発売されたソフトであり、これは今年3月、25年ぶりの続編DSソフトである。
 メデューサの蛇の髪を再現したウィッグ、ピットの翼が瞬間的にバサッと開くギミック…造型すげぇ!
 カタコトの日本語で中二臭いセリフが並ぶのも味わい深い…。
 最後はメデューサがピットの羽根をもぎ取って終了。アンハッピーエンドな終わり方も中二臭。もちろん褒め言葉だよ!

【9】USA「プリンセスチュチュ」
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 セリフ無し、鏡を効果的に使っており、るう(主人公ではなくライバルキャラ)が鏡の前に立つと、その奥からもう一人の真っ黒なプリンセスクレールが現れる。
 クレールが本格的にバレエを舞った後、入れ替わってるうが鏡の中に閉じ込められてしまうという、ちょっぴりホラーなストーリー。
 単純な仕掛けなんだけど、鏡を使ったギミックは非常に効果的で、印象深かった。
 作品自体が日本ではCS放送だったのでマイナーなのだが、海を越えてアメリカのファンの手で凝ったコスプレパフォーマンスが演じられるとは…感慨深いですな。
 しかし再現度が高くても、作品の認知度で不利になってしまう感はどうしても勿体なく思う。

【10】シンガポール「創聖のアクエリオン」
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 今回最大級の着ぐるみロボ登場!
 250cmのソーラーアクエリオン、音翅を前にしてウイングがバッと展開して、LED発光ギミックでビカーッと光る!
 混雑する日本のコスイベでも見かけないサイズ。アクションとかではなく、ロボのギミック一点突破で押してきたカンジ。
 終了後に司会のアナが「アレ、税関、大丈夫なのかな」とつぶやいておりました。

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【エキシビション~Cure Cosplay Collection】

 18:20…半数の代表チームが終えたところで、エキシビションのコーナーへ。
 昨年から導入されたCure Cosplay Collection(略してCCC)へ。これは世界最大級70万人の会員数を誇るコスプレサイトCureが各所にて行っているもので、短い時間内に次々と選抜コスプレイヤーが登壇して、簡単なポージングやパフォーマンスを行っていくという企画。
 CCCが2009年に汐留で開始された際は一人か二人ずつが歩くファッションショーの形式だったが、その後に試行錯誤を経て、最近ではパフォーマンスを重視する構成に変化している。

 これは言ってみればコスプレの美しい部分・カッコイイ部分を抽出して、ステージ上にパッケージしたもの。関東圏では色んなイベントとコラボして行われているので、チェックしておくと良いでせう。次は東京ゲームショウの中夜祭で大規模なのがあるとか。
 今回は作品ごとに6チームに分かれ、合計約60人。メンバー編成や構成は今回の審査員も務めているCure管理人の乾たつみ氏によりプロデュースされている。

 …。
 やはり、言わずにはいられなかった事を書いてしまいます。ツイッターで見ていた人達は、僕がこの、コスサミステージ上でのCCC開催に対して激高していた件をご存知かと思います。
 だってこの会場では、コスサミ国内予選の本選に出場して予選落ちした人達が、自分を含めて、自腹でチケットを買って観客席から見ているのである。
 沢山の時間と労力と資金をつぎ込んで、それでも代表には選ばれなかった人達の前で、Cure枠で集められた60名の人達がステージに上がって、本選の縮小版的なミニステージを行っている姿は…。
(各国代表を全部合わせたって40人…)

 僕達がこのCCCをどんな気持ちで観客席から見上げていたかは、想像してみてください。大人げないと言われようが、これを読んでいる貴方がもし僕と同じ立場だったら、どう思いますか。
 「Cure枠でこんなに上がって同じ様な事やるなら、じゃあ俺たちが何ヵ月もかけてやってきた予選会は何だったんだ?」が素直な感想です。
 もちろん個人個人に恨みは無く、個人的に親交のある人も、尊敬する人も60名の中にいます。

 でも、落選者だろうが何だろうが、僕達にだって、心はあります。

(この辺は05~11年まで国内予選に連続出場して、過去二回の日本代表を務めたキキワンさんからも問題提議されているので、読まれたし)

 …あ、そんな個人の感情を切り離して考えても、とりあえず本選の作品にキャラ被せるのは避けた方が良かったと思う。特に着ぐるみは初見のインパクトが大事だから、高度な造型の同キャラが被るとキツイ。代表チーム同士で被ったら仕方ないけど、エキシビションで被せちゃアカン。CCCでのエヴァ初号機とワイルドタイガーは完全に代表チームの演目に被ってしまってる。これは出演者個人じゃなくて、コーディネイトする側が事前に合わせておくべきだった。

 
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 十周年企画という事で、近年の代表チームもゲスト登場。
 2008日本代表ユイみのコンビが鏡音リンレンで登場し、ステージ上でガチでキスするパフォーマンス。
(ユイみのは当時コードギアスで出場し、女性レイヤー同士でキスするパフォーマンスと「腐女子を世界に」のコメントで話題となった“中性アイドル”であり、今年ついにONIGIRI PROJECTという社名で起業しているのだ)
 続いて2009フィンランド代表がFF10で、2011ブラジル代表(優勝)がZONE-00で登場。
 最後に今年の香港代表のタイバニと、台湾代表“美人すぎるガンダム”とザクの夫婦が登場。
(香港と台湾は今年、初めてコスサミに参加しているのだが、チャンピオンシップへの出場権が無く、エキシビションのみの登場というプレ参加な扱い)

 さて、ここで大型ビジョンに映し出された前半10カ国の暫定ランキング(観客ポイントは含まず)は、1位シンガポール、2位オーストラリア、3位韓国…であった。

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【11】中国「遥かなる時空の中で5」
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 障子の灯りでシルエットを浮かばせ、静かなイメージからスタート。
 模様入りの傘をくるくる回したり、剣を使った演舞、紙吹雪などなど。ストーリー性は薄いが、内容は濃い。
 ステージパフォーマンスとしての見せ方が上手く、引き込まれる。パッケージとしては完成されており、やはりプロのレベル。世界観づくりはイギリスと中国とイタリアがハイレベルだったと思う。
 ただし、全体的に美しいが、おとなしい。観客のビックリ感が無かった事が爆発力を欠いたかも。「これぞ!」っていうインパクトあるシーンを提供できなければ、20カ国の中に埋もれてしまう。
 
 ここからは時間調節のためか、出場者へのインタビューや審査員コメントなどが行われる。
 後半戦は一回毎に現在の審査委員得点が発表され(観客ポイントは含まず)、中国は暫定7位。

【12】メキシコ「ソウルキャリバーIV」
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 女性コンビによる体全体を使ったアクション。格闘ゲーム特有のハズの奇抜なデザインのヨロイで、ちゃんとアクションしていた事に注目!
 ストレッチ素材のタイツや軟質パーツで、上手く可動範囲を広げていたのだろう。よーく見ると、タイツに塗料で陰影を描いて、格ゲーっぽい肉感を表現していた事に気づく。
 大道具として設置された2本の大剣の玉が点滅するのも、間合いや雰囲気づくりに効果的だった。
(格闘中にジッと睨み合ったりすると、どうしても間が空いちゃうけど、これなら画になりやすい)
 審査員の乾氏、「コスプレに一番大事な情熱がひしひし伝わった」
 暫定6位。

【13】マレーシア「メタルギアライジング リベンジェンス」
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 19歳差の男性コンビ。これも造型すげえ!
 雷電vsメタルギアの格闘。ただメタルギアRAYがちょっと動きにくそうで、ブロックを壊す辺りでモタつきが見られた。
 また、着ぐるみを脱いで中からオールドスネークが出てくる辺りが遅れ、音声とズレてしまった。
 もっと動きが欲しかったかな?造形力が高くても単に着ぐるみのロボが出てくるだけでは、出オチになってしまい、勿体ない。脱ぐのが重要なオチなら、そこへ至るまでスッとこなさないと。
 審査員の三原氏、「メタルな感じが良いなーと思う」
(↑経産省官僚なのでコスプレ詳しくなさそう)
 ちなみにコレ、史上初の“発売前の作品でのエントリー”なので、リスペクト点はどう評価されたのか…シリーズ全体への愛は非常に感じる。
 暫定13位。この時点では最下位。

【14】ロシア「エンジェリックレイヤー」
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 小型のロボット同士がバトルする、CLAMP版プラレス3四郎的な世界観(コラッ)を見事に表現!
 バトル形式のパフォーマンスは他にも沢山あるけど、これはあくまで“試合”なのである。だから両者の戦いには実況アナウンスが流れ、途中で一回休憩が入って、試合再開…というスポーツライクな流れ。
 今回最大級のウィング展開(強度どうやって…)、LEDで表現した必殺技の光球、美しくてカッコイイ。
 倒れたウィザードの前で、勝って大喜びのアテナ。あくまで試合なので、陰惨さが無いのがイイ。
(主人公機のヒカルではなくアテナをセレクトしてきたのは、ウイングのギミックを意識したのかな)
 暫定10位。もっと行くかと思ったけど。

【15】インドネシア「機動警察パトレイバー」
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 初参加国ながらウチの周辺では最大の話題チーム、キターーー!
 倉庫街で暴れるグリフォンを鎮圧するため、イングラム出動!電磁警棒と信号機のスローモーションチャンバラ、互いのパーツを吹っ飛ばしながら、イングラムの胸ハッチが壊れて内部コクピットが露出、そしてイングラムのバク転、続いて二体そろっての即転!
 いやー…やってくれたよ。
 20cmの上げ底で、各アーマーは軟質の発泡ウレタンに汚し塗装、後で近くで見たらパーツ同士が干渉しない様に、隙間を開けて上手く配置されてる。
 ロボ着ぐるみでのアクロバットという、新境地を見せてくれました。
 ちなみに中の人は本国では教師&学生だそう。外務省訪問では仮面ライダーFirst1号2号のコスプレで「ヘンシン!」を叫んでTV東京のニュースにもなった(→こちらのページ)、まさに台風の目チームでした。
 暫定2位。

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 TV生中継の開始時刻が迫り、ここで追加MCに南海キャンディーズの山ちゃん、アスカ物真似でお馴染みの稲垣早希ちゃん登場。
 May’nさんミニライブ開始。背景のビジョンには事前に公式サイトで募集されたコスプレイヤー達の写真が次々と映し出される。
 「ダイヤモンドクレパス」「射手座☆午後九時don't be late」辺りはやっぱり超盛り上がる。
 ビジョンに「世界がコスプレでつながっていく」の文字が浮かび、ここまでの15チームがステージ上に勢揃い。

 19:30…ついに史上初の世界コスプレサミットチャンピオンシップ生放送開始
 TV愛知のスタジオで前半の紹介VTRを見ていたデーモン小暮閣下らから、このオアシス21へ中継が繋がる。
 この先、ゴールデンタイムを飾る5カ国代表チームは、全て優勝経験国。
(もし前半戦のダイジェスト紹介のチームが優勝しちゃってたら…どうしたんでしょう?)

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【16】フランス「人形宮廷楽団」
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 ミステリアスでファンタジック!原作はアニメ化されていないマンガ媒体オンリーの作品。
 この辺ではもう陽が落ちて周りが暗いので、LEDの演出が映える。
 背景の中から楽譜がベローンと伸びて来て捉われ、箱を空けて小さなピアノの演奏で締める。
 舞台上の絵作りが非常に美しい。見入ってしまった。
 他チームのもそうだけど、“世界観づくり”の上手さとは、衣装や大道具のパッと見でのハデさではなく、表情や動きの間合い、仕草まで含めてステージ上を一個のパッケージにする能力。
 暫定4位。

【17】タイ「サイバーボッツ」
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 原作は95年にアーケード、97年にプレステとセガサターンに移植された格ゲー。アジア圏はインドネシアのパトレイバーと言い、古いコンテンツを大切にするな!
 主人公機のブロディアに踊りながら襲い掛かる、デビロット姫→早着替えしたスーパー8!
 このスーパー8、おそらく全幅においてはコスサミ10年間の歴史で最大だろう。ワイヤー稼働で足がウネウネ動き回り、ブロディアの左腕を引きちぎると関節から千切れたコードが露出するなど、メカ的な演出が細かい部分まで超絶的なこだわり。
 ちなみに客席後方ではタイのTV局がカメラとレポーターを用意し、細かくコメントを入れながらレポートしていた。熱いのう。
 一気に暫定1位。
 
 ここでTV愛知スタジオ内のデーモン小暮閣下が、会場オアシス21への移動を開始。
 また東京レイヤーズというコスプレアイドルによる、ドコモサービスのアニメストアをPRするコントも挿入。

【18】イタリア「新世紀エヴァンゲリオン」
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 2005コスサミ初代王者イタリアの今年度チームは、都市で激突する弐号機vs初号機の着ぐるみロボ対決。
 格闘戦からプログレッシブナイフを刺されて沈黙した弐号機に向けて、さらに暴走した初号機が四つ足でジリジリ歩み寄る。
 そして弐号機から引き抜いたのは…カオル君人形(笑)…24話の再現だ。
 数秒の静止の後、客席からの悲鳴が響く中…頭部をブチッ!
(後ろの大型ビジョンに映写されるので、カオル君の顔までちゃんと見えるのである)
 造形的には先のエキシビションCCCに登場した初号機より劣ってしまうが(だから着ぐるみはネタ被せちゃダメだって…)、ロボ着ぐるみでの四つ足歩行というのは工夫したと思う。腰回りのパーツに隙間を広く取りつつ、太腿のパーツを太くしてボリュームを出そうとしていた。
 そういやイタリアって去年も男性コンビだったので、男性レイヤー率高いのかなぁ。
 暫定4位。

【19】ブラジル「鉄拳6」
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 MCから「コスプレ世界最強国」と紹介された、過去2回の優勝経験を持つブラジルから。
(昨今のコスサミの大鑑巨砲主義への流れをつくった国でもある…)
 ラースと記憶喪失のアリサ(ロボ娘)との戦闘、幕の後ろに仕込んである武器をスッと引き出すのが上手い。
 後半でアリサのウイングがもぎ取られるシーンも、断面の破砕パーツの細かい造型が見事。
 アンハッピーに終わるのも余韻を残す演出だった。
 例年のブラジル代表の傾向に比べると大道具が少なくコンパクトなのだが、ストーリー重視でちょっと切ない感じに展開していったので、今までのブラジルの作品では最も好みです。
 インタビューでは流ちょうな日本語を披露したお二人は、交際中だそうで…。
 暫定4位。

【20】日本「薄桜鬼」
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 08年以来4年ぶりに復活した国内の地方予選を勝ち抜いた、男性コンビ“士魂”登場。彼らのステージを見るのは、5/6東京予選・6/10日本代表決定選に続いて三度目…。
 開始から客席の女子の反応が凄い!
 最初に土方歳三と風間千景がちょっとやり合い、そして羅刹状態への早着替えして、日本刀でのスピーディで本格的な殺陣を披露する。
 土方が背景の板を上から飛び越えて切りかかる流れは、着ぐるみ以外での“高さ”を使った立体的な演出。それは「誠」の巨大な旗を立てながら絶命するラストもそう。
 これら要素は6月の国内予選ではまだ無く、チャンピオンシップまでの2カ月でまた(殺陣と共に)磨いてきたなーという印象。
 “見せる”“魅せる”ではかなり高いレベル。ひたすら大型化する昨今のコスサミにおいては、この大道具や着ぐるみやLEDに頼らない方向性で、ある意味のクサビを打ち込んでくれたと思う。
 約一年に渡って殺陣師の潮見組で稽古していたというコンビ、そういえば昨年9月の東京ゲームショウでのナイトステージCCC(→そのレポ)でも、薄桜鬼で殺陣を披露してました。
 暫定4位。

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 ここで客席後方から「待たせたな!」の声と共にデーモン小暮閣下降臨。
デーモン「意外と早く来た。日本チームの演技、そこで見たもの」
山ちゃん「じゃーなんで溜めたんですか?」
デーモン「そーゆー段取りだから!」

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「ワガハイがここまで違和感の無い舞台も珍しいな…」
(↑今年のコスサミ名言大賞。デーモン閣下本人はどこか分かる?左の方)

【ここまでの暫定順位】(観客ポイント含まず)
 1位 シンガポール「アクエリオン」 122点
 1位 タイ「サイバーボッツ」 (同点)
 3位 インドネシア「パトレイバー」 120点
 4位 ブラジル「鉄拳6」 119点
 4位 日本「薄桜鬼」 (同点)

 審査員からまとめコメント。
広野(バンナム) 「弊社からはソウルキャリバーと鉄拳6を出して頂いて、自社のゲームをこういう形で見るのは感慨深いなと。来年も来たいです」
三原(経産省) 「これ以上のコスプレイヤーのイベントは、世界にないでしょう!」

【最終結果発表】(0.1点×500人分の観客ポイントをプラス)
 優勝(外務大臣賞/ANA賞)は…159.8点(観客P_40.8点)、日本「薄桜鬼」
 二人は潮見組から応援メッセージが書き込まれた日の丸をバッと出して、喜びと感謝の気持ちをアピール。
 暫定4位から、観客ポイントの高さで逆転し、2009年以来3年ぶり、2回目の日本優勝を飾りました。

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 2位(ライブラ賞)は、シンガポール「アクエリオン」、158.6点。(観客P_36.6点)
 3位(ブシロード賞)は、インドネシア「パトレイバー」156.6点。(観客P_36.6点)
 ウィッグのクオリティに与えられるシペラス賞は、ブラジル「鉄拳6」
 衣装のクオリティに与えられるブラザーミシン賞は、2位シンガポールがダブル受賞。
 原作リスペクトの高さに与えられるドコモアニメストア賞はイタリア「エヴァンゲリオン」
(このステージ終了と審査発表の間に、TVでは薄桜鬼のCMが流れたそうで、二次元と三次元で薄桜鬼だらけになったとか(笑))

 4位ブラジル / 5位イタリア / 6位タイ / 7位オーストラリア / 8位フランス / 9位中国 / 10位韓国 / 11位オランダ /  12位メキシコ / 13位スペイン / 14位イギリス / 15位ロシア / 16位アメリカ / 17位ドイツ / 18位デンマーク / 19位 フィンランド / 20位マレーシア

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 正直な話をしますが、予選で自分達を破った日本代表“士魂”の彼らには、なるべく高い順位に行って貰いたいなーと思ってました。それなら彼らと競ってきたライバルの他チームも、かなりレベルが高いという事になりますから。しかしまさか、本当に優勝までしちゃうとは…ビックリだ。
 よく見ると審査員得点では1位だったタイは、なんと無冠に!日本とは逆の現象が起こった訳で、観客ポイント導入の残酷さよ…。
 ちなみに昨年までは全審査終了後にミニライブなどを挟む間に、審査員が自分の採点を修正できる時間がありました。審査員と言っても、どうしてもコスプレ をよく知らない人達による審査(…)なので、後で見比べて修正できる時間をとっていたらしいですが…今年は生放送の都合でその時間がありませんでした。
 昨年までの審査方式だったら、順位はまた大きく変わっていたかもしんないですねぇ…。

 あとTV生中継という流れを重視する構成のためか、昨年あった“結果発表時に全17ヵ国チームがアドリブでステージ床を叩いてドラムロールの代わりに鳴らす”という、コスサミ史上屈指の名シーン(?)は再現ならずでした。ちょっと惜しい。


 上位入賞国のパフォーマンス動画。
 最初が薄桜鬼(日本)、2:40からアクエリオン(シンガポール)、5:30からパトレイバー(インドネシア)、8:00から鉄拳6(ブラジル)、10:30からエヴァ(イタリア)、みておけ!
 
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【全体への個人的な感想】

○.大鑑巨砲主義はどこまで行くんだろう?
 近年のコスサミは、とにかく巨大な大道具を作って、大きく、ハデにしたチームが上に行く…という流れが顕著だったな、と。
 こうなるとチーム毎の資金力が直結しちゃうので、昨年からついに「衣装と大道具の総重量40kgまで」「大道具の長さ210cmまで」ルールが入りました。
 しかしこれにも抜け道があって、サイズ規制はあくまで大道具だけなので、40kg内なら衣装のサイズは大型化できちゃいます。今回で言えばシンガポール のアクエリオンやタイのサイバーボッツなどは明らかに大道具としては規制対象ですが、人が入れる以上は衣装ですから、違反にはなりません。
 結果的に今年は大道具ではなく衣装が大型化し、約半数のチームが着ぐるみを使用してます。大型のウイング展開も多かったですね。
 原作の認知度が低くても、大きくてハデなら「オォッ」ってなるでしょ?
 また、その大型化した衣装に大量のLEDを仕込んでギラギラさせるのも、もう定番化しすぎちゃってるんで、そろそろ衣装への規制が増えるかもしれません。

○.もっと10周年っぽさがほしかった!
 エキシビションに登場した過去代表は3チームのみ、いずれも近年の代表チームでした。
 どうせなら歴代日本代表チームのエキシビションとか、歴代優勝チームのVTRコメントとかあっても良かったのに…。
 最初の方は確かにルールも整備されておらず、今から見たらチープかもしれませんが、それでもそういった蓄積の上での「10回目」を迎えた訳ですからね。運営も代替わりしちゃってるのは分かりますけど。

○.小国やアジア勢が強いですね
 失礼な表現だけど、大国より小国の方が「日本に行ってコスプレする!」事への憧れが強い様な気がします。
 既に長期に渡って巨大なオタクマーケットが動いてる国は、大型のコスプレ大会が沢山あって、わざわざ代表になって日本に来なくても内需で回ってしまうから、大型のコスプレチームはコスサミにはエントリしてないとか。
(例えば、中国ではコスプレ劇団には「中華文化の啓蒙」を条件に助成金が出たりしますから、大型チームはわざわざエントリしないとか)
 けど特に東南アジアの国の人って、まず日本に来る機会が無いので、コスサミに賭けるエネルギーが凄い高い。
 言うなれば大国の代表チームは友達同士で、小国の代表チームは国を挙げて(?)挑んできてるイメージ。

○.日本国内予選にもっと光を…
 コスサミ運営って元から、海外チームを集めてイベントやって省庁や自治体を表敬訪問して…って事には熱心なんですけど、日本国内勢への扱いがおざなりだったのですよ。
 2009~2011までの3年間は特に日本代表選考会が縮小されてて、当日または前日夜にサッとやって決めて、いきなりチャンピオンシップ出場…という無謀なスケジュールでした…。(だからプレイベントでは日本代表は「未定」扱い) 
 それが今年ようやっと地方予選形式が復活して、大阪・東京・WEB予選を経た6チームで、さらに日本代表決定選…という、かつてない大規模なものになりました。特撮も解禁されまして、ホントにありがたいです。
 しかしトーナメント形式になったために2回ステージ組まなければならず、出場チームにとってはその為の時間と労力と資金の負荷が、大幅に上がった訳です。(前は地方大会ごとに日本代表が2~3チームあったから)
 だったら理想としては、日本代表を決める過程で、他の沢山のチームにも光が当たる様になってほしいな、と。
 出場チームがもっと増えて、メディアがもっと取り上げて、日本代表選考会が地方予選から盛り上がって、M-1みたいに、優勝チーム以外にも光が当たる様になったらオイシイな~と。
 で、予選落ちチームにはせめてチェンピオンシップの関係者席くらい入れてあげて良いんじゃないかなー?

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 何だかんだ、終わってみれば過去最大の世界コスプレサミットチャンピオンシップ、無事に終わって何よりでした。
 開催がもう2週間くらい遅かったらまた、領土問題が噴き上がっちゃった時期にぶつかって面倒な事になってのかもしれないなぁ…。
(昨年の大須コスプレパレードでは、同日に名古屋市内で右翼団体も大規模パレード…もといデモを開催してたので、大須観音付近にもそれ系の団体の人達がうろついてて、中国代表に悪態ついたりする人がいたのである。聞こえちゃいなかったろうが)

 毎年言ってる事をまた繰り返します。
 どうしても世の中に、国や地域ごとの問題は絶えないけれど。
 でも争いごとは、争いたい人たちがやればいいんです。
 俺たちは、面白い事をやろう。見に行こう。

 たとえ政治的には壁があったとしても、文化はそれを超えて伝わる力があるはずなんですよ。


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 最後はステージの上と下に並んで、全20ヵ国+審査員らによる全員記念撮影!
 いいシーンだ!
 代表チームも裏方も、みんなみんな、おつかれさまでしたー!

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まんたんプレス:「世界コスプレ」に1万8000人 夏の祭典、名古屋に定着-毎日新聞
 (全5P使って紹介されている)
世界コスプレサミット:日本の侍が世界王者に 優勝の裏に殺陣の師匠との“師弟愛” -まんたんWEB
世界コスプレサミット : 日本代表が3年ぶり2度目の世界一に(写真特集) -まんたんWEB
・真夏の名古屋に22カ国のコスプレイヤーが集結「世界コスプレサミット2012 チャンピオンシップ」が開催!-ライブドア
  決勝前半 / エキシビション / 決勝後半 

世界コスプレサミット2012 | 特集記事 – 名古屋コンシェルジュ
 (名古屋観光コンベンションビューローによる、イベント紹介)
世界コスプレサミット2012WCS 会場リポート– Free Fall 
 (カメラマンのじっぷさんによるレポ)
世界コスプレサミット2012フォトレポート -コスプレイヤーズアーカイブ特設ページ


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(お、終わった…我ながらほとばしるモノがあって、すっかり長くなってしまった…)
(らいねんはぼくたちももっとがんばる)