自分が全日本プロレスを会場で観戦するようになってから15年経つのか…。
(そういや、このブログって元々は特撮やプロレスの感想ブログだった気がする)

 2000年6月の三沢派の大量離脱とノア旗揚げ。
 2002年2月の武藤移籍と10月の社長就任。
 そして今年、企業買収&再建を基幹事業とする(株)スピードパートナーズの白石氏が、全日本プロ・レスリング(株)の株式を買い取り、そして新たに起こした(株)全日本プロレスリングシステムズに団体としての看板や設備を譲渡。
 新たな体制で発進した筈の全日本プロレスは、しかし、白石オーナーと、旧経営陣の武藤派で真っ二つに割れ、武藤派の選手・社員による大量離脱が決定的となりました。
 この6.30両国国技館は、現在の所属選手で行われる最後の大会という事で注目を集めたのです…。
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 当日、観客は主催者発表で6,500人。数字の上では少ないが、水増しを控えて実数発表に近くしたのだ ろう。客席は6-7割くらい埋まっていたので、最近の全日の両国大会では多い方だったと思う。皮肉ながら一連の分裂騒動が、最後に見ておこうというファンの興味をそそったのかもしれない。
 この日まで態度を公言しなかった選手も居るので、リング上で何か重大な発表があるのでは…という期待もあっただろう。実際にはそういったアクションは一切無く、ただ最後を飾りたいという純粋な試合が並んでいったのだけど。

 試合が始まると、開始直前の煽りVTRがどれも短めだった。ゴタゴタでどの選手が欠場するか分からないから、直前で作ったんだろうなーという感じ。
 後半の選手権試合はメーンの三冠ヘビー級以外、全日に残留する王者に、離脱する選手が挑戦…という熱くなれないマッチメーク。
 アジアタッグも世界ジュニアヘビー級も、仮に挑戦者が勝ったって即返上するしか無いのであって、どこか寂しさが。

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 各試合、終了ごとに選手達が握手し合ったり観客席へ礼をするといった感傷的なシーンが。
 あぁ、もうお別れなんだね…。

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 メーンの三冠戦では、入場シーンで諏訪魔への熱烈な応援。真っ先に全日への残留を表明した王者に、ファンの支持が集まったのだった。レフェリーは久しぶりに全日マットを踏んだ和田京平。
 客席の感傷を吹き飛ばすかのように、躊躇無く頭部へのピンポイントのヒザ蹴りをぶち込んでいく秋山と、フルパワーでそれをねじ伏せていく諏訪魔の三冠戦は好勝負だった。
 しかし会場全体の重低音ストンピングは最後まで発生せず。
 二階席には様子見でやって来た、温度の低い観客が多かったような気がした。

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 「武藤さん、ありがとうございました!…これから全日本プロレスの看板をしっかり守っていきます。よろしくお願いします!」
 離脱する選手達もリングに上がって諏訪魔を讃え、大量の銀紙がボシューっとアリーナ四方から吹き出て、諏訪魔とリングを埋めました。
 今、出来る限りの、良い締め方だったと思います。

ついに分裂…どうなる全日本プロレス!離脱・残留選手コメントまとめ
全日本プロレス「2013 プロレスLOVE in 両国 ~an abiding belief~」試合速報 
欠場中の征矢が大森にワイルド封印を宣言=全日本 
全日本プロレスの分裂が決定 武藤との交渉決裂 
以上、スポーツナビ

諏訪魔が3冠死守「全日の看板守る」-デイリースポーツ online

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 普段買わないシリーズなんだけど、宝島社のプロレス暴露ムックを買ってしまった。
 何故かと言うと、スポーツ新聞も週刊プロレスも武藤派擁護の論調であって、白石オーナーを糾弾する内容が目立つ。しかし渦中の白石オーナーは本来、何を考えての行動なのか、そこをちゃんと報せようとするジャーナリズムが、旧来のプロレス村の中には存在しないから。

 宝島のインタビューを読むと、白石オーナーにはやはりガチンコ幻想が強く残っているらしく、「勝敗決め無しのプロレスルール内でのガチンコ」を全選手にやらせようとする路線は確かに突飛すぎて、これを前提としたマッチメークの合議制が、格闘技路線を嫌う武藤派と溝を深めた理由である事は、よく分かった。
 しかしながら、そんな白石オーナーに会社を売ったのは、武藤会長と内田社長じゃないのか?全日本プロレスは上場会社じゃないんだから、知らない間に株を買われていた訳ではない筈だろう?

 悪く言えば負債だけが膨らみ続けていた全日本プロレスに、白石氏は巨額の金を出してくれた人物なのは間違いない。
 現場に口を出させずに金だけ出させようなんてのは無理な話だろう。会社は買い取ったが、自分の存在も公表されず、発言権も無い。そりゃー、白石氏が経営の実態を明かした上でフェイスブックで発信するようになったのも、心情的には分かる。
 それを団体を負債ごと買い取らせておいて、自分達は集団で離脱して新団体旗揚げ…というのは、ちょっと武藤も虫が良すぎるのではないのか?
 「株式を買い戻す」と言いながら、なぜ武藤は白石氏との交渉を辞退し続けたのか?

 白石オーナーに親近感や尊敬は全く抱かないけど、経営者としての発言は理解できる。
 「このまま同じ事を続けていてもダメだから、座して死を待つより、新しい路線で賭けよう」
 この考えは果たして間違いなのか。いや、オーナーの考えが正しくてもやり方が間違いなのかもしれないが、それだって実際に試合を見せるのは選手達なのだから、着地点を探すのは全く不可能な話だったのか。
 11年前、武藤だって同じような気持ちで全日本プロレスの社長職に就いたのではないのか。
 「馬場さんはもう居ないって事が、誰も分かってないんだ。このまま滅んでゆく事に美学なんて求めてたらダメだ」
 …という趣旨の発言を週刊ファイト紙上でしていた筈。この一言で、馬場さんが亡くなっても馬場式経営を続けていれば、元子夫人がその馬場さんの遺産を食いつぶしてしまったであろう事を、自分はようやく気づいた。
 だから風景は変わろうとも、武藤社長の改革をとりあえずは全日ファンとして支持しようと決めたのだ。

 「俺達、回り道はしてるけど、でも確実に前へ進んでるよ!」 
 2004年頃からパッケージプロレス路線が定着して上昇気流に乗った頃の武藤社長の上記の発言は、何となく上手く行かずにもがいていた若い頃の自分に、どれだけ勇気をくれた事か。

 武藤政権11年。よくがんばったと思う。そして引き際だと思う。
 感じるのは選手もオーナーも、そしてファンも「無い物ねだり」をし過ぎていたんじゃないのか。
 誰が悪いのか分からないし、誰を悪者とも思いたくないけど、楽観論で乗り切れる段階はとっくの昔に終わっているのは事実なんじゃないのか。


 悶々としつつ、きっとまた意地になって全日本プロレスを追いかけると思います。