・日テレ「ZIP!」で「リア充オタク」特集 「それはオタクじゃない」など議論に-ねとらぼ
・「リア充」と「オタク」は真逆の概念!? 日テレZIP!の「リア充オタク」特集にネット騒然 -ガジェット通信(テキスト多し)
・ZIP リア充オタク特集。年間2万5千円しか使わないオタクに視聴者騒然 - NAVER まとめ(画像多し)
2015年10月9日放送分で話題になった部分を、ちゃんと根拠の数字から調べて考えてみます。
要約すると、放送内容としては「オタク趣味だけでなくファッションや交友関係にも気を使うようなライトなオタクが増えている」という文脈なのですが、その根拠として持ち出された比較図が、おかしいんですね。
2004年のオタクは年平均10万円を使い、2013年のオタクは年平均2万5千円しかオタク活動に使わない…という説明なのですが…。
これ、鵜呑みにしちゃいけないデータの使い方をしてますね。
説明します。
・「リア充」と「オタク」は真逆の概念!? 日テレZIP!の「リア充オタク」特集にネット騒然 -ガジェット通信(テキスト多し)
・ZIP リア充オタク特集。年間2万5千円しか使わないオタクに視聴者騒然 - NAVER まとめ(画像多し)
2015年10月9日放送分で話題になった部分を、ちゃんと根拠の数字から調べて考えてみます。
要約すると、放送内容としては「オタク趣味だけでなくファッションや交友関係にも気を使うようなライトなオタクが増えている」という文脈なのですが、その根拠として持ち出された比較図が、おかしいんですね。
2004年のオタクは年平均10万円を使い、2013年のオタクは年平均2万5千円しかオタク活動に使わない…という説明なのですが…。
これ、鵜呑みにしちゃいけないデータの使い方をしてますね。
説明します。
■そもそも、調査機関も調査方法も異なるデータを比較している
まず、TV画面のデータをよく見ると、2004/2013年を比較してるのに、それぞれの調査機関が全く違う組織です。
下の方に小さく書かれてますが、2004年の数字に用いられてるのは野村総研の調査で、2013年の数字に用いられてるのは、矢野経済研究所の調査です。
当然ながら調査方法も異なるので、同列で比較してはダメです。
まずこの二つの組織の調査は、オタクの定義からして、違いますから。
・マニア消費者市場を新たに推計、04年は主要12分野で延べ172万人、4,110億円規模~「オタク層」を5タイプに分類、マーケティングフレーム「新3C」も提案 ~-野村総研
・「オタク」市場に関する調査結果 2014 - 市場調査とマーケティングの矢野経済研究所(これは翌2014資料より定義の引用)
野村総研のオタク定義は、“強くこだわりを持っている分野に趣味や余暇として使える金銭または時間のほとんどすべてを費やし(消費特性)、かつ、特有の心理特性を有する生活者”。
矢野経済研究所版のオタク定義は、“「オタク」を自認する、もしくは第三者から「オタク」と認知されている層”。
…ホラ、オタクの定義からして、野村総研(2004年資料)と矢野経済研究所(2013年資料)で、全く異なるでしょ?
上記の定義によれば、国内オタク人口に関しては、野村総研が「172万人」、矢野経済研究所が「15-69歳までの人口の23%」=「2285万人」。
定義の違いによって、2004年と2013年のオタク人口に、10倍以上の差が出てしまう!いや増えてるのは確かだけど、さすがに10年でオタク人口13倍なんて、なってないですよね。
後者の矢野経済研究所の方がオタクの定義がアバウトな分、オタク人口がインフレ気味にかなり多く出るので、だったら一人頭の消費金額は小さくなるに決まってます。
やっぱりこの二つの機関による調査は、単純に比較すべきものでは無いのです。
ハイ、調査結果の比較ってのは、同じ機関、あるいは同じ調査方法で採ったものでないと意味がありません。
もちろん「若年層の所得が下がって雇用も不安定になって、趣味に使える金額が減っている」とか「オタクと一般との差が曖昧になって、カジュアルにオタク趣味を楽しむ層が増えている」というのも実感としては当然感じておりますが、それを上記の比較データから裏付ける事は出来ません。比較しちゃいけないデータなんですから。
内閣や政党支持率だって新聞各社でかなり差が出るので、本当に分かるのはあくまで同じ調査方法で、前回よりも上がった/下がった/過去の政権より高い/低い…っていう、傾向だけなんですね。
(あとは、その新聞社の政権への距離感を測る目安にもなりますが)
なお、矢野経済研究所のオタク市場調査の資料は2006年頃から始まってるので、同じ調査方法でずっと継続していくのであらば、それはそれで市場動向をザックリとした傾向で探る、一種の資料にはなり得るのかなー、と思ってたら…
この辺に詳しいサークル・同人誌生活文化総合研究所の三崎尚人さんもまた、疑問を投げかけておられました。
矢野経済研究所によれば、7年間で同人誌の市場規模が1.5倍に膨らんでる…って調査結果は、やっぱりアヤシイでしょうなぁ。
だって、DL販売などの販路が増えたからって、買う人口が一気に増えた訳ではないでしょうし。
間にリーマンショックや東日本大震災で日本経済が地盤沈下してる時期もあった訳だし。
× × × × × × × ×
■ホントにコスプレ市場400億円?矢野経済研究所の信憑性って?
ちなみにコスプレ的に絞っても、矢野経済研究所では、「コスプレビジネスは市場規模423億円!」なんてインフレ数字が出てくるので、個人的には調査結果自体をあんまり信用していません。
「コスプレ業界って、全イベントやカメラやミシンや布や工作用具を含めたらそれ位、行ってもおかしくないんじゃないの?」って思う人も居るでしょう。ところが…
これ、コスプレイベントやカメラや自作衣装の金額を含めず、調査対象があくまで“公式衣装やウィッグ販売の出荷金額”だけですからね?
それで年間400億円とは、さすがにインフレが過ぎるでしょう。
だって、ミクシィやアニメイトの年間売上がだいたい400億ですもの。バンダイの仮面ライダー+戦隊+プリキュアの玩具合計で年間売上がだいたい400億円…って書くと、とんでもない額でしょ。
この年間400億円市場という数字を、では、一人頭の平均値に直すと、おかしさが見えてきます。
矢野経済研究所の資料では、2014年時点で、コスプレ衣装の年間使用金額は、一人平均24,345円でした。
市場規模400億円を一人2万4千円で割ると、国内でレイヤー160万人も居る計算になっちゃうんですが…?おかしいよね?
国内最大のコスプレSNSであるコスプレイヤーズアーカイブのレイヤー登録者(カメラマン登録を除く)が現在14万人なので、引退気味の人を差し引くと、だいたい10万人は実数で居るかな?
じゃ、400億円÷10万人で、この計算方法だとザッと… レイヤー一人頭、年間40万円!?
繰り返しますが衣装やウィッグだけで、平均でこんな数字になる訳ないでしょ!
この調査での市場規模400億円はアヤシイ金額だと思います。
せっかくの機会ですので、その辺も書きます。
・「オタク」市場に関する調査結果2014-矢野経済研究所(これは翌2014資料の引用)
>2-8. コスプレ衣装市場
2013年度のコスプレ衣装市場規模は前年度比1.0%増の423億円であった。「コスプレ」が一般的な趣味と認知され、ライトユーザーの増加により拡大が続いている。
>2-9. メイド・コスプレ関連サービス市場
2013年度のメイド・コスプレ関連サービス市場規模は前年度比3.7%増の111億円であった。「メイド喫茶」「コスプレ飲食店」ブームの終焉で縮小していたが、2010年度以降「非オタク」である一般層をターゲットとした事業者が好調で、市場は拡大傾向である。
>コスプレ衣装アニメ・漫画・ゲーム・映画・ドラマ等のキャラクターの衣装や、特定の職業もしくは学生の制服を模した既製服。仮装用の衣装も含む。国内出荷金額ベースにて算出。
>メイド・コスプレ関連サービス店員がメイド・執事等の服装、またはその他のコスチュームを着用して接客・サービスを行う飲食店及びサービス業。但し、風俗店は除外する。事業者売上高ベースにて算出。
・2010 オタク市場徹底研究 - 市場調査とマーケティングの矢野経済研究所(これは2010資料より調査対象の文面を引用)
>9. コスプレ衣装市場
(株)コスパ/(株)アニメイト/(株)バンダイ/(株)クリアストーン/(有)カシス/(株)ナーズアンドギークス(ミアグループ)
とりあえずコスプレビジネス市場の統計においては、衣装販売とメイドビジネスは別に統計取ってる模様。
で、それぞれの社名で調べましたが。
基本的には公式コスプレ衣装やウィッグ業者の出荷金額ベースだけど、コスプレ衣装と言いつつも職業制服なんかもカウントしてるので、風俗用に使われる衣装や、企業コンパニオンやウエイトレス衣装や、オリジナルのパーティグッズなんかも入った数字というのが分かりますね。
そりゃー実態より多く出るわい!いや、数字を多く出すのが目的なんじゃないの?
自作衣装/コスプレイベント/撮影スタジオ/カメラマンの機材/雑誌/交通費/交際費、までトータルで含めれば、市場規模400億円は…どうでしょうね?
しかしコスプレイベントは会社登記されていないサークル的な団体も多いので、実態を金額で調査するのは難しいですね。
無版権の衣装業者の市場規模が実際の数字で出てくる訳もないですし。
基本的にはコスプレイベントの関係者って、お金持ってなさそうな人も多いですし。余談。
× × × × × × ×
上記の矢野経済研究所による詳細情報は「クール・ジャパンマーケット/オタク市場の徹底研究 2014」として12万円で発行されているらしいので…大きな図書館行けば中身を調べられるでしょうか。
いかにも“クールジャパン利権にくっついてる人達”が喜びそうな、景気の良いインフレ数字が出るように調査をしている感はあるかなぁ。
真に受けるとヤケドする気がしますよ。だって…
・市場は400億円超!? コスプレビジネス最前線 - 日経トレンディネット
↑ これ、触発された日経トレンディが、コスプレをビジネスの観点から読むっていうのは面白い企画だったと思うのですが、記事のテーマが、名刺印刷・撮影スタジオ・SNS、の3回で終わったもの。
本当に市場規模400億円の世界なら、この連載、もうちょっと続いても良かったんじゃないの?
あとSNSの件でCureにインタビューしに行ってるのは、日経BP社が主催である東京ゲームショウで、コスプレステージをCureプロデュースで毎年開催してる関係だと思います。お世話になっております!
× × × × × × × ×
ただ、イカンなぁと思うのは、また例によって例の如く、「リア充しね」「マスゴミが~」なんて事を言ってる人達が大量に居るという事です。
他人を死ねだの、ゴミだのと言う人間には、ゴミ以上の価値は無いでしょうというのが、変わらざる私の考え。
だいたいね。朝のワイドショー番組は真面目な報道特集なんかではなく、あくまで日々の話題や世相を軽く扱っているだけで、再放送もDVDも無いので、ただ流れては消えていく程度のものでしかありませんからね。
この企画に限らず、ワイドショーで流れている情報は、基本的にお手軽な娯楽なんです。
ZIP!的には悪意を込めて犯罪者予備軍のようにオタクを報じたのではなく、むしろ悪意ゼロで発してる情報の引用元の数字が間違ってるだけなので、本気で怒る対象でも無いと考えています。
オタクが10年の間に一般化・ライト化したという話も、それはそれで間違ってないと思います。
もうちょっと信憑性のある調査結果と専門家を呼んで、番組作ってほしかったなぁ…(苦笑)
でもでも、こういった「オタクへの悪意は無い。むしろ好意的。なのに間違っている」というメディア上の扱い方は、今後増えていくんでしょうなぁ…。
ヘンな事を吹聴する、自称専門家・自称評論家たちの存在とともに。お金を動かしながら。
こっちの方↑が問題になってくる気がしますね。
× × × × × × × ×
…。
見えるッ!
こういったインフレ数字を根拠に「今こそクールジャパンを世界に向けて発信!」とか言い出して、官民総力を挙げて積極的に海外のイベントに小奇麗なアートっぽいアニメ作品を出展して賛美されたつもりだったけど、実際にゃーまったく売れなかったり…
あるいは自分では衣装作った事も無い顔だけイケメンモデルや、国内では尻丸出しでポルノ写真集をコスプレROMと称して売っていた露出系レイヤーが、「日本から来たカリスマコスプレイヤー!」という触れ込みで海外のサブカル系イベントにゲストとして“輸出”された挙句、本人たちは芸能のステップになると思ってるけどそうでも無くて、結局は間に入る代理店だけがオイシイ思いをする…
…といった光景が、一瞬、脳内にフラッシュバックの如くッッ…
ひょっとしたら僕も将来、そんなアヤシイ自称専門家・自称評論家の一人になっているかもしれませんから、何でもそうですけど誰の情報だって常に正しさを保証しない、という事は覚えておいていただきたいと思います。
まず、TV画面のデータをよく見ると、2004/2013年を比較してるのに、それぞれの調査機関が全く違う組織です。
下の方に小さく書かれてますが、2004年の数字に用いられてるのは野村総研の調査で、2013年の数字に用いられてるのは、矢野経済研究所の調査です。
当然ながら調査方法も異なるので、同列で比較してはダメです。
まずこの二つの組織の調査は、オタクの定義からして、違いますから。
・マニア消費者市場を新たに推計、04年は主要12分野で延べ172万人、4,110億円規模~「オタク層」を5タイプに分類、マーケティングフレーム「新3C」も提案 ~-野村総研
・「オタク」市場に関する調査結果 2014 - 市場調査とマーケティングの矢野経済研究所(これは翌2014資料より定義の引用)
野村総研のオタク定義は、“強くこだわりを持っている分野に趣味や余暇として使える金銭または時間のほとんどすべてを費やし(消費特性)、かつ、特有の心理特性を有する生活者”。
矢野経済研究所版のオタク定義は、“「オタク」を自認する、もしくは第三者から「オタク」と認知されている層”。
…ホラ、オタクの定義からして、野村総研(2004年資料)と矢野経済研究所(2013年資料)で、全く異なるでしょ?
上記の定義によれば、国内オタク人口に関しては、野村総研が「172万人」、矢野経済研究所が「15-69歳までの人口の23%」=「2285万人」。
定義の違いによって、2004年と2013年のオタク人口に、10倍以上の差が出てしまう!いや増えてるのは確かだけど、さすがに10年でオタク人口13倍なんて、なってないですよね。
後者の矢野経済研究所の方がオタクの定義がアバウトな分、オタク人口がインフレ気味にかなり多く出るので、だったら一人頭の消費金額は小さくなるに決まってます。
やっぱりこの二つの機関による調査は、単純に比較すべきものでは無いのです。
ハイ、調査結果の比較ってのは、同じ機関、あるいは同じ調査方法で採ったものでないと意味がありません。
もちろん「若年層の所得が下がって雇用も不安定になって、趣味に使える金額が減っている」とか「オタクと一般との差が曖昧になって、カジュアルにオタク趣味を楽しむ層が増えている」というのも実感としては当然感じておりますが、それを上記の比較データから裏付ける事は出来ません。比較しちゃいけないデータなんですから。
内閣や政党支持率だって新聞各社でかなり差が出るので、本当に分かるのはあくまで同じ調査方法で、前回よりも上がった/下がった/過去の政権より高い/低い…っていう、傾向だけなんですね。
(あとは、その新聞社の政権への距離感を測る目安にもなりますが)
なお、矢野経済研究所のオタク市場調査の資料は2006年頃から始まってるので、同じ調査方法でずっと継続していくのであらば、それはそれで市場動向をザックリとした傾向で探る、一種の資料にはなり得るのかなー、と思ってたら…
この辺に詳しいサークル・同人誌生活文化総合研究所の三崎尚人さんもまた、疑問を投げかけておられました。
三崎尚人@nmisaki矢野経済研究所による同人誌市場規模調査の変遷
2015/10/09 11:35:44
2006 487億
2007 553億
2009 640億
2010 700億
2011 690億(東日本大震災)
2013 732億
右肩上がりで7年で市場規模が1.5倍。体感と全く合わないんだけど、ホントですかこれ? とかねがね…
矢野経済研究所によれば、7年間で同人誌の市場規模が1.5倍に膨らんでる…って調査結果は、やっぱりアヤシイでしょうなぁ。
だって、DL販売などの販路が増えたからって、買う人口が一気に増えた訳ではないでしょうし。
間にリーマンショックや東日本大震災で日本経済が地盤沈下してる時期もあった訳だし。
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■ホントにコスプレ市場400億円?矢野経済研究所の信憑性って?
ちなみにコスプレ的に絞っても、矢野経済研究所では、「コスプレビジネスは市場規模423億円!」なんてインフレ数字が出てくるので、個人的には調査結果自体をあんまり信用していません。
「コスプレ業界って、全イベントやカメラやミシンや布や工作用具を含めたらそれ位、行ってもおかしくないんじゃないの?」って思う人も居るでしょう。ところが…
これ、コスプレイベントやカメラや自作衣装の金額を含めず、調査対象があくまで“公式衣装やウィッグ販売の出荷金額”だけですからね?
それで年間400億円とは、さすがにインフレが過ぎるでしょう。
だって、ミクシィやアニメイトの年間売上がだいたい400億ですもの。バンダイの仮面ライダー+戦隊+プリキュアの玩具合計で年間売上がだいたい400億円…って書くと、とんでもない額でしょ。
この年間400億円市場という数字を、では、一人頭の平均値に直すと、おかしさが見えてきます。
矢野経済研究所の資料では、2014年時点で、コスプレ衣装の年間使用金額は、一人平均24,345円でした。
市場規模400億円を一人2万4千円で割ると、国内でレイヤー160万人も居る計算になっちゃうんですが…?おかしいよね?
国内最大のコスプレSNSであるコスプレイヤーズアーカイブのレイヤー登録者(カメラマン登録を除く)が現在14万人なので、引退気味の人を差し引くと、だいたい10万人は実数で居るかな?
じゃ、400億円÷10万人で、この計算方法だとザッと… レイヤー一人頭、年間40万円!?
繰り返しますが衣装やウィッグだけで、平均でこんな数字になる訳ないでしょ!
この調査での市場規模400億円はアヤシイ金額だと思います。
せっかくの機会ですので、その辺も書きます。
・「オタク」市場に関する調査結果2014-矢野経済研究所(これは翌2014資料の引用)
>2-8. コスプレ衣装市場
2013年度のコスプレ衣装市場規模は前年度比1.0%増の423億円であった。「コスプレ」が一般的な趣味と認知され、ライトユーザーの増加により拡大が続いている。
>2-9. メイド・コスプレ関連サービス市場
2013年度のメイド・コスプレ関連サービス市場規模は前年度比3.7%増の111億円であった。「メイド喫茶」「コスプレ飲食店」ブームの終焉で縮小していたが、2010年度以降「非オタク」である一般層をターゲットとした事業者が好調で、市場は拡大傾向である。
>コスプレ衣装アニメ・漫画・ゲーム・映画・ドラマ等のキャラクターの衣装や、特定の職業もしくは学生の制服を模した既製服。仮装用の衣装も含む。国内出荷金額ベースにて算出。
>メイド・コスプレ関連サービス店員がメイド・執事等の服装、またはその他のコスチュームを着用して接客・サービスを行う飲食店及びサービス業。但し、風俗店は除外する。事業者売上高ベースにて算出。
・2010 オタク市場徹底研究 - 市場調査とマーケティングの矢野経済研究所(これは2010資料より調査対象の文面を引用)
>9. コスプレ衣装市場
(株)コスパ/(株)アニメイト/(株)バンダイ/(株)クリアストーン/(有)カシス/(株)ナーズアンドギークス(ミアグループ)
とりあえずコスプレビジネス市場の統計においては、衣装販売とメイドビジネスは別に統計取ってる模様。
で、それぞれの社名で調べましたが。
基本的には公式コスプレ衣装やウィッグ業者の出荷金額ベースだけど、コスプレ衣装と言いつつも職業制服なんかもカウントしてるので、風俗用に使われる衣装や、企業コンパニオンやウエイトレス衣装や、オリジナルのパーティグッズなんかも入った数字というのが分かりますね。
そりゃー実態より多く出るわい!いや、数字を多く出すのが目的なんじゃないの?
自作衣装/コスプレイベント/撮影スタジオ/カメラマンの機材/雑誌/交通費/交際費、までトータルで含めれば、市場規模400億円は…どうでしょうね?
しかしコスプレイベントは会社登記されていないサークル的な団体も多いので、実態を金額で調査するのは難しいですね。
無版権の衣装業者の市場規模が実際の数字で出てくる訳もないですし。
基本的にはコスプレイベントの関係者って、お金持ってなさそうな人も多いですし。余談。
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上記の矢野経済研究所による詳細情報は「クール・ジャパンマーケット/オタク市場の徹底研究 2014」として12万円で発行されているらしいので…大きな図書館行けば中身を調べられるでしょうか。
いかにも“クールジャパン利権にくっついてる人達”が喜びそうな、景気の良いインフレ数字が出るように調査をしている感はあるかなぁ。
真に受けるとヤケドする気がしますよ。だって…
・市場は400億円超!? コスプレビジネス最前線 - 日経トレンディネット
↑ これ、触発された日経トレンディが、コスプレをビジネスの観点から読むっていうのは面白い企画だったと思うのですが、記事のテーマが、名刺印刷・撮影スタジオ・SNS、の3回で終わったもの。
本当に市場規模400億円の世界なら、この連載、もうちょっと続いても良かったんじゃないの?
あとSNSの件でCureにインタビューしに行ってるのは、日経BP社が主催である東京ゲームショウで、コスプレステージをCureプロデュースで毎年開催してる関係だと思います。お世話になっております!
× × × × × × × ×
ただ、イカンなぁと思うのは、また例によって例の如く、「リア充しね」「マスゴミが~」なんて事を言ってる人達が大量に居るという事です。
他人を死ねだの、ゴミだのと言う人間には、ゴミ以上の価値は無いでしょうというのが、変わらざる私の考え。
だいたいね。朝のワイドショー番組は真面目な報道特集なんかではなく、あくまで日々の話題や世相を軽く扱っているだけで、再放送もDVDも無いので、ただ流れては消えていく程度のものでしかありませんからね。
この企画に限らず、ワイドショーで流れている情報は、基本的にお手軽な娯楽なんです。
ZIP!的には悪意を込めて犯罪者予備軍のようにオタクを報じたのではなく、むしろ悪意ゼロで発してる情報の引用元の数字が間違ってるだけなので、本気で怒る対象でも無いと考えています。
オタクが10年の間に一般化・ライト化したという話も、それはそれで間違ってないと思います。
もうちょっと信憑性のある調査結果と専門家を呼んで、番組作ってほしかったなぁ…(苦笑)
でもでも、こういった「オタクへの悪意は無い。むしろ好意的。なのに間違っている」というメディア上の扱い方は、今後増えていくんでしょうなぁ…。
ヘンな事を吹聴する、自称専門家・自称評論家たちの存在とともに。お金を動かしながら。
こっちの方↑が問題になってくる気がしますね。
× × × × × × × ×
…。
見えるッ!
こういったインフレ数字を根拠に「今こそクールジャパンを世界に向けて発信!」とか言い出して、官民総力を挙げて積極的に海外のイベントに小奇麗なアートっぽいアニメ作品を出展して賛美されたつもりだったけど、実際にゃーまったく売れなかったり…
あるいは自分では衣装作った事も無い顔だけイケメンモデルや、国内では尻丸出しでポルノ写真集をコスプレROMと称して売っていた露出系レイヤーが、「日本から来たカリスマコスプレイヤー!」という触れ込みで海外のサブカル系イベントにゲストとして“輸出”された挙句、本人たちは芸能のステップになると思ってるけどそうでも無くて、結局は間に入る代理店だけがオイシイ思いをする…
…といった光景が、一瞬、脳内にフラッシュバックの如くッッ…
ひょっとしたら僕も将来、そんなアヤシイ自称専門家・自称評論家の一人になっているかもしれませんから、何でもそうですけど誰の情報だって常に正しさを保証しない、という事は覚えておいていただきたいと思います。