“競技”としてのコスプレ大会を観戦に、いざ全国!
 取材費用も全部自腹、だから思った事を書きます。
 半年遅れで。

 3月のコミケSP予選編から、続いてます…


【 5/10大阪予選inアニメイト日本橋5Fホール 】
 午前中に新大阪へ新幹線が着いたので、観戦を前に大阪市内を回る。
 在来線の窓からは、「大阪をひとつに!」「都構想反対!」などの看板が目に入る。
 一週間後に、大阪市と府を統合して大阪都に…という賛否を問う住民投票が行われるため、各地で盛んに賛成/反対の街頭演説や集会が行われていたのだった。
 こういった政治的な選択を、一個のお祭りのように大騒ぎしながら決めようというのは、何かと熱の無い関東民からすると、うらやましくも見える。

1055016_2184112010_70large
 環状線から降りて、大阪ビジネスパーク。「ゴジラvsビオランテ」(1989)でゴジラとスーパーX2が対戦した辺り。
1055016_2184112006_33large
 今は大阪城のお堀を、小舟で半周できるのだった。
 ぼんやりとしてる所に、ツイッターで今日の予選出場チームが辞退により、2組になってしまった事を知る。
 昨年の大阪予選は5組だったのに。それでも通過は同じ1組。不均衡がまた起きた。

1055016_2184112037_247large1055016_2184112009_187large
 今年の大阪予選は、昨年までの造船所跡地スタジオパナルティッタから移行し、コスプレイベント内ではなく、アニメイト日本橋店内の小ホールを借りて行う形式。
 当初5組のエントリーだったのだが、練習中のケガ等による欠場が相次ぎ、まさかまさかの2チーム一騎打ちになった。
 告知不足に加え、前日には付近での不発弾処理騒動まで起こり、観客動員約35人。
 急遽、過去の予選出場者などに頼み込んで、審査に関係無いパフォーマンスを挿入してもらう事になったそうな。
 最早、コスサミ予選は何かに憑かれてる、もしくはオーガナイザーの柴田氏は何か「持ってる」としか言い様が無い。負の面で。

1055016_2184112040_216large1055016_2184112034_183large
 MCはコミケSP予選の女優・兼田玲奈さんと、昨年の大阪予選にも登場していた吉本芸人・がっきーさん。
 審査員紹介で最初に登場したコスプレイヤーズアーカイブの吉田社長、今年4月1日にコスサミ全体を運営する(株)WCSとの経営統合(互いの会社の取締役となり、形式上はカイブがコスサミの子会社に入った)を発表した件で、挨拶。
「同じ業界で、同じ名古屋の会社という事もあって、一緒にやっていこうという事になりました」
 …なんだか、コンクリートジャングルの隙間で同郷出身の男と出会って夜を共にしました的なアバウトさを感じてしまった。

[この日の審査員]
・吉田創  (有)ふわり→(株)コスプレイヤーズアーカイブに社名ごと変更
・内田裕也 アニメイト店員/写真集「書店男子」発売中
・岡野英治 代表を務めるハコスタが(新潟ガタケットスタジオのアイデアを真似た)大阪発祥って知ってた?
・柴田昭   踏んだり蹴ったりのコスサミ日本予選オーガナイザー

※ルールはコミケSP予選と同じ。

■「Fate/stay night」
3uStaz(すりーゆーすたっず)(桃井鈴/化歌)
1055016_2184112031_12large
DSC007921055016_2184112027_40large
 昨年はプリキュアメドレーで大阪予選に出場し、惜しくも敗退したチーム。
 セイバーを自分の物にしようとするギルガメッシュとの対決。
 幕を剥がすと、そこには空間に武器が浮かぶ“王の宝物庫”を再現。
 両者とも甲冑なので、武器同士だけでなく身体の方へ叩き込むと、小さな会場内にボスッと鈍い音が響く。

■「マギ」
D.D;CLUB(なぎさとう/涙華)

1055016_2184112025_82large1055016_2184112023_71large
1055016_2184112020_119large
 ティトスとシェヘラザードの愛憎劇。
 小道具を使った演舞から、早替えを披露。
 布としての衣装のクオリティは非常に高く、動いた際のフワッとした感じが美しい。
 また表情から、指先までピタッと揃った演技も非常に細やかで、ちゃんと演劇を勉強してる人たちというのが伝わった。
 (なぎさとうさんは「鬼灯」で昨年の大阪予選代表)

× × × × × × × 

 さて、出場チームの少なさを補うため(?)、歴代出場者とその関係者のツテで、5日前に依頼されたというエキシビションパフォーマンス!

1055016_2184112018_80large
(ペルソナでダンスを披露するikemaさん。2013大阪予選でソードアートオンラインチームでした)
1055016_2184112014_83large
(劇団・打身しっぷす。神楽の朖さんが2014大阪予選で鬼灯チームでした)

× × × × × × × ×

1055016_2184112012_159large
 結果、勝利は、「Fate」3uStaz
 ちょっとだけ意外だった!
 パフォーマンスは甲乙つけがたし…いや、演技の細やかさではマギが若干上だった印象。
 終了後、近くに寄って衣装を見ると…甲冑だけでなく武器の類を見比べて、Fateチームの塩ビパイプやポリカードネートで成型した剣が、近くで見ても完成度高い!?これコスプレショップで売れるレベル。
 2チーム比べると、やはりこの武器と甲冑の造形力が、衣装点の差に繋がったのだろうと推測。
(武器は衣装点に加味されるので、大型武器を使った剣劇が、審査員に評価されやすいのも事実なのよ。そこを研究して来たよね?)

 予選会の規模としては昨年の大阪予選に比べ、出場者も観客も半分以下になってしまったものの、イベントではなくアニメイトのステージを借りているだけなので、この後の撤収時間なども緩く、しばらく交流会状態に。
 これは勝者にとっても敗者にとっても観客にとっても取材者にとっても、良い事であります。
 観客席には出場予定だったものの、相方の怪我で辞退した人の姿も。やっぱり、怪我するくらい真剣に練習したって事でもあるし、機会を逸した事は残念だったと思うし、また来年挑戦していただきたいです。
 あきらめなければ機会はあるさ。この日の予選通過チームがそれを証明してくれてるもの。

 全体の雰囲気は良かったので、後は規模的に、来年はもうちょっと大きな関西イベントとコラボできれば…。


WCS2015大阪予選が開催!Fate/stay nightを演じた「3uStaz」が大阪代表に。‐コスプレイヤーズアーカイブニュース


【 5/17愛知予選in Costail!刈谷あいおいホール 】
 昨年も書いたけども、コスサミ開催地である筈の中部地区は、恒常的に活動してるコスプレのパフォーマンスチームはゼロに等しく、パフォーマンス系イベントがあっても、もっぱら東京・大阪からの遠征組が主流である。
 そんな愛知予選だが、ここは8月のコスサミ開催地の名古屋ではなく、刈谷市である。スタッフでさえ「名古屋予選」と言ってしまうのだが、それは刈谷市民からの憤激を呼ぶ間違い。

1055016_2184112551_178large1055016_2184112552_39large
 刈谷あいおいホール。(刈谷市産業振興センター)
 トヨタグループの工場が多い地域だけあって、施設にはトヨタ関連の工業製品ミニチュアも展示されている。
 同人誌即売会コミックステイトコステイルが開催されており、そちらは別途有料入場なので、会場前で時間を潰していると、実行委員会で通訳などを行っているエド氏(ヘンなガイジン)とバッタリ。
 そうか、コスサミは名古屋が本拠地だから、名古屋に近い刈谷市の方が、実行委委員会の関係者やWCSおもてなし学生委員会のメンバーは、来場しやすいんだなー。
 会場内では学生ボランティアのメンバーも積極的に準備を手伝っていた。

 さて予選会としては昨年と同会場での開催なのだが、この日のイベント主催はコスサミ国内予選を管轄するCOSSANではなく、コステイルである。
 あくまでコステイルの会場内ステージを借りるという、出張形式なのだった。
 このため国内予選~チャンピオンシップまで手がけてる常連の舞台スタッフ(女帝・Hさん)も今回は会場に入っていない様子。後述するローコスト運営の一環だろう。

 開催前日の発表ながら、ゲスト審査員でもある声優の山口勝平さんのトークライブも行われ、観客動員約80人。昨年の同所での予選と同じくらいか?
 ステージ観覧のみなら無料入場、そして山口勝平さんのトークライブ有り…これって告知次第ではかなり人を集められる武器になった筈なのに、山口さんのコステイルへの来場は決まっても、コスサミ予選の側にどう関わっていただけるか結局は直前まで決まらなかったそうな。
 だからもっと早く決定と告知をー…。

[この日の審査員]
・山口勝平  サイサイシーやチケット君でおなじみベテラン声優!
・コステイル代表(お名前失念)
・コミックステイト代表(お名前失念)
・柴田昭   予選オーガナイザーは地方予選では節約を兼ねて自分で審査員してます。

※ ルールは同じ。
※ なぜ本社が近い筈の名古屋のカイブ陣営が来てないのかと言うと、同日、大阪で開催のジャパンコスプレコレクションという、カイブ協賛のコスプレパフォーマンス大会の方へ行っちゃったからです!

■「新テニスの王子様」
古今東西(七瀬/Aim)

1055016_2184112548_39large1055016_2184112545_196large
 東京からの遠征組。ジャージからのバッと脱いで、生歌パフォーマンスへ。

■「戦姫絶唱シンフォギア」
Mint(真鈴/咲矢)

1055016_2184112544_246large1055016_2184112542_1large
 こちらも生歌!原作は歌が重要な作品で、歌いながらちゃんと動きを二人揃えている。

■「テイルズ オブ デスティニー」
BarN!(鷹宮弥月/黒揚羽アリス)

1055016_2184112541_57large1055016_2184112539_25large
 剣劇から始まって、ルーティを脱出用のエレベーターに押し込み、一人脱出させるリオン。

× × × × × × × ×

1055016_2184112538_122large1055016_2184112537_109large
 勝利が発表された瞬間のBarN!の表情、本当に嬉しそう。
 彼女たちは2013大阪予選、2014愛知予選に連続で落ちながら、3年目の挑戦で地区予選を初めて通過したので、見てる方としてもやっぱり感慨深いです。
 大阪予選の代表チームも2年目の挑戦だし、やっぱり、落とされて悔しい思いをした人間が、あきらめずにもう一度!ってのが、ドラマだと思うのです。
 動きとしては素人レベルだけど、(審査員に評価されやすい)剣劇パターンに挑戦していたのも、彼女たちの研究の成果。

 ただ、昨年も見ていた観客からは「今年は小粒だった」的な声が漏れており、自分もそう感じます。
 中部地区には定期的なステージも無いから、そもそも出場しようってレイヤーが少ない。
 観客の側にも“見る”文化が無いから、盛り上がり方がよく分からない。
 正直、コスプレでパフォーマンスしよう、そこに勝敗を決めようなんて企画は、今はまだ東京と大阪近郊でしか成立してないのが現状でしょうか。

1055016_2184112536_60large
 さて終演後トンボ返りして、電車以外の愛知県滞在時間、たった4時間。
 なんだか名古屋近郊までが自分の日帰りエリアになってるなー。

 ここまで3つの地区予選終了時、動画を含めて見比べた観客らによる下馬評では、絶対的にコミケSP予選代表の琉演(マギ)がリード。衣装レベルの高さに加えて、剣劇の練習量に差がある。
 ましてやコミケSP予選から大阪予選まで一ヵ月以上の間が空いてしまってるので、琉演の二人は国内決勝に向けたブラッシュアップの時間がそれだけ長く取れている。
 追いかける大阪予選のスリーユースタッズ(Fate)がどこまでブラッシュアップするか?という構図。


【 6/1-7 WEB予選 】
 ええー…もうなんか、WEB予選に関しちゃー振り返るのもはばかられるグダグダ展開だったのですが。
 ウチも敗者復活を賭けて出てましたよ!
 コネクト8っていう、新しく作ったSNS(キュレーションサイト?)を使用したのですけどね…。
 やってる事自体を知らない人が多かったでしょ?

・ 勝利チームの発表から6/14国内決勝まで、中5日しかない無理スケジュール。
・ 投票開始直後にエラーで、エントリ5チームが全部同じ動画へのリンクになる。
・ その復旧までに1日半かかってしまい、投票期間が7→5日に短縮。
・ 投票するにはSNSにアカウント登録せねばならないが、こんな他のコンテンツが何も入ってない新規SNSに個人情報を登録する人ってあんまり居ないよ…。
・ しかも勝利チームのテニプリは集英社作品のため、大人の事情で使用不可がいまさら通行され、モチーフを別作品に変更させられる。
・ その後、同SNSは現在、休止中である。

 …うむ。既に力尽きてる感。
 コミケSP予選時の高揚感は何だったのか。
 しかも運営体制を立て直す時間も余力も無く、あのグダグダ集大成のような国内決勝、6/14ベルサール秋葉原を、迎えるのであった…


■ 今年の運営スタイル→ローコスト化?
 今年また、告知の遅れや、広報の少なさや、連絡の不備などなど、たーくさんあるのですが…
 目指した所を一言でいえば、「ローコスト運営」かなーと。
 ほれ、今年の予選会、よく見ると純粋なCOSSAN単独開催イベントがありません。
 コミケSP予選はコミケットスペシャルのステージを借りて、大阪予選はコスプレイベントではなくアニメイトのイベントスペースを借りて、愛知予選はコステイルのステージを借りてます。
 国内決勝はベルサール秋葉原でしたが、これも「AKIHABARA POP JAM」との併催という形を取りました。

 なるべく、自社の単独開催のリスクを減らす目的だろうと推測。
(昨年でもニコニコ超会議予選なんかは、他イベントのステージを借りる形式でしたね)

 で、予算的リスクを減らすために、他のイベントのステージを借りたり、他企業とのコラボを増やしていけば、当然ながら今度は事前事後の交渉事が煩雑化します。
 予選の運営は、少人数でやってるCOSSANなので、多方面との折衝が続いて回らなくなってしまい、結局は告知や広報の不足で観客を集められなかったり、出場者との連絡の不徹底に繋がってしまったってのが、本当の所だと思うんですよね…。
(山口勝平さんゲストの件はコステイルを経由しないと交渉できないし、コミケSPの集合場所やリハの連絡が遅れた件も準備会との都合があるので)
 もちろん運営側だって出場者と同様に真剣にやってるのも分かるので、そこは汲んでいかないといけないのですが、いかんせん金も無ければ人員も居ない。
 今年の国内予選の規模の縮小や、不手際が目立ったのは、上記のような事情なのだろうと。

 だからと言って、他にオーガナイザーやってくれる人や、国内予選を引き受けてくれるような団体ってのも…無いでしょうねぇ…。
 元々コスサミ全体の主催がTV愛知→(株)WCSに移行した際に、赤字部門だった国内予選を外へ出すために、(うっかり)引き受けたのがCOSSAN((株)ミネルバ)だったというのが、最近見えてきた構図でもあります。
 だいたい、全体的な見通しの甘さと、詰めの甘さは擁護しません。

 いっそ、国内予選の管轄権を、もうコスプレ業界ではなく、どっかのタレント事務所にでも売り飛ばしてしまえば…まぁ、ンな事したら必ずヤラセ出来レースになるでしょうね!
 規模を縮小して、観客を入れず、他から見えないようにして、肩書だけ出来レースで渡しちゃえば…って、コスプレ業界の人はそういった発想をしがちだもの。
 それをしなかっただけでも、現行の運営に対して、一定の評価してるんですけどね。

 「グダグダだけど、出来レースではない。ただグダグダなだけ」
 ってコミケSP予選レポの最後に書いてるのは、ある種の信頼と、ある種の不信が混じってるのですけどね。


 さあ、次はようやく国内決勝。6/14ベルサール秋葉原のレポ予定。
 道がどんなに泥沼でも、出場者たちはただ全力で走り抜けるのみです。


・ 世界コスプレサミット2015国内予選~コミケSP編 (今年の最初の予選)
・ 【コラム】悪のスクラム!アーカイブ×世界コスプレサミット経営統合へ -コスプレイヤーズアーカイブニュース
・ 冬コミ告知:世界コスプレサミット非公式読本! (2003-2012までの歴史を表と裏から大研究した同人誌である。通販アリ!)