出場者の熱と、審査員の評価。
 大人の事情と、身内の論理。
 大切なものって、何でしょう。

 「瓦解」という言葉を、先のコミケSP予選レポのラストで使いました。
 1個の大きなミスではなく、沢山の小さな不始末が重なって、傍から見て、全体が崩れていく状態まで至ったのが、「世界コスプレサミット2015日本代表選考会」の実態だと、思っているからです。
 本稿ではその、6/14ベルサール秋葉原で行われた国内決勝の、カイブニュースでは描かなかった部分を主に取り上げます。
 24の国と地域の代表が8月の名古屋に集結して、(ありもしない)コスプレ世界一の称号を競う「世界コスプレサミット」の日本代表チームを選ぶ過程は、こうであった事を記します。
 今回ウチは地区予選落ちしたので、一歩引いた所からの視点で、このイベントを見ていました。
 もちろん個人の主観ですから、他の人には他の人の受け取り方があるでしょう。


 超基本的なおさらいですが、2013年より、世界コスプレサミット実行委員会の主催はテレビ愛知→(株)WCSに移行し、実質的な赤字部門だった「日本代表選考会」は切り離され、COSSAN((株)ミネルバ)に外注されるようになっています。新体制3年目ですが…

 6月初旬、国内決勝の開催まで一週間を切った時期に、決勝の会場が変更されます。
 ベルサール秋葉原の1Fホールから、地下1Fホールへ。
 どんなイベントでも、まず会場を決めるってのは基本中の基本なのですけど。
 使用中止した1Fホールだって、当日は他のイベントに使用される訳では無く、閉じられていました。
 ましてや地上から地下に、目に触れない所へ降りていった訳で。

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 …悪い予感、伝わってますでしょうか?
 まず入口に何の張り紙も看板も出てません!上の階でやってるマンション販売の案内は出てるのに!
 この光景だけで、
「運営と会場側との間に、最初の段階でイベント内容に関する詳細な話が行われておらず、土壇場でホールを変更させられた」
「入口にイベントの看板を設置するなど、会場側にゴネてでもやるべき宣伝業務に、全く手が回っていない」

みたいな事が瞬時に浮かびましたからね!?
(こっちに言ってくれれば箱ミクで呼び込みくらいやりますよ…)

 さぁ、6月14日(日)ベルサール秋葉原B1ホール「世界コスプレサミット日本代表選考会決勝 & AKIHABARA POP JAM」!
 久しぶりにワクワクすっぞ!悪い意味で。

決戦!世界コスプレサミット2015日本代表チームは……!?-コスプレイヤーズアーカイブニュース

 ヘイ!まずは上記のニュースを読んでくれ!たった7000文字くらいだ!!
 ステージ上の熱戦はここに記録してあるぜ。

 そんな訳でこっちのブログでは、出場者によるステージ上の事ではなく、その周辺の事を書こうと思います。
 なので上記ニュースを読んだ後にこのブログを読むと、落差が味わえる…というか…暗い気持ちになると思います。
 正直、スルーしてキラキラしたレポにする事も考えたけれども、でも、本当の事を書かないと、悪い部分を繰り返すでしょ。書いてもくり返すけど。
 
× × × × × × × × 
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東海で活動するZEON公国歌劇団の皆さんがオープニングに登場。
しかし異なる作品キャラの集合で、セリフメインのコントは会場の観客に伝わらず…。
(こっちに言ってくれれば箱ミクで前座くらいやりますよぅ…)

[主なルール]
・日本産のアニメ、漫画、ゲーム、特撮のコスプレである事。
・衣装は出場者の自作である事。
・コスプレイヤー二人一組で、2分30秒以内のパフォーマンスを披露。
・各審査員の配点は、衣装点10/パフォーマンス点5/リスペクト点5まで合計20点満点×人数分。
(衣装点は事前の衣装審査で5点/ステージ審査で5点までを各々がつける)
・大道具は長辺210cm以内で、3個まで。なお大道具そのものは採点対象ではなく、自作以外も可。
・衣装や大道具などステージに持ち込める総重量は、1チーム40kgまで。
・大人の事情で集英社作品禁止なのだが、それを公表していない為、集英社作品で申し込んでしまったチームは後で変更させられるグダグダ対応。

[この日の審査員]
・大門太郎 (COSPLAY MODE編集統括)
・綾川ゆんまお (コスプレタレント)
・大森拓也 (日本コスプレ写真協会)
・安田かほる (コミックマーケット準備会共同代表)
・成田童夢 (元スノーボード日本代表)
・吉田創 (コスプレイヤーズアーカイブ代表)
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× × × × × × × × 

「テイルズ オブ デスティニー」
愛知予選代表:チームBarN! [鷹宮弥月/黒揚羽アリス]
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「Fate/stay night」
大阪予選代表:チーム3uStaz(すりーゆーすたっず)[桃井鈴/化歌]
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「マギ」
コミケットSP予選代表:チーム琉演[万鯉子/マヒオ]
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「神様はじめました」
WEB予選代表:チーム古今東西[七瀬/Aim]
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決戦!世界コスプレサミット2015日本代表チームは……!?-コスプレイヤーズアーカイブニュース
 だから、詳細は↑ニュース読めっつってんだろ!その後でこのブログ読む方が、ゼッタイ面白い(?)から!

× × × × × × × × 

[こぼれ話]
・ 常連審査員のCure管理人の乾たつみ氏はスイスに出張しており、メッセージのみ寄せた。コスプレ写真協会の大森氏は乾氏の推薦で審査員に抜擢。
・ 昨年度代表が審査員するのが恒例だが、2014日本代表チーム
・婆娑羅の二人はコミケSP予選のみの登場で、この日はオクラこと媛次あずまさんがメッセージを寄せた。
・ 前任の予選オーガナイザー(09-11年)にしてコスサミ最高顧問のジャッキー道斎氏は会場に来ておらず、今年度は本当に全く予選会場にも居なかった。コスサミ実行委員会の全体において、道斎氏の権力が有名無実化しているのが真相だろう。未だに2chでは絶対権力者のように書かれているがこれは情報が古くなっていて、道斎氏が権力を行使できるのはベトナムやシンガポールなど東南アジアのイベントと、国内ではバンタン研究所の学内くらいではないだろうか。
・ 以前は日本代表になると「2年間出場停止」ルールがあったのだが、この出場停止期間が「1年間」に短縮され、2013年度に日本代表を務めていた万鯉子さん再出場は、その改変ルール適用の一人目になる。


■出場者の熱と、審査員の評価
 審査結果に関しては、何だかんだでぶっちぎり、例え10回やっても同じ結果になったと思います。
 コスサミの審査って特殊なんですよね。
 審査員制コンテストでよくあるパターンは、審査員が集まって協議の上で優勝を選ぶパターンですが、コスサミの場合は項目ごとに点数を付けさせて合算するので、どうしても技術的な部分での評価(得点)になります。

 自分が審査員だったとして、どれかを一個だけ選べって言われたら「Fate」って答えるだろうなぁ。
 でも、衣装/パフォーマンス/リスペクト点を採点しろって言われたら、自分だってやっぱり「マギ」が一番高い点数になるでしょう。

 ぶっちゃけますと、「マギ」の原作読んでないのもあって、内容は分かりませんでした!
 「テイルズ」「Fate」「神はじ」の3チームは、説明部分を入れて本編のダイジェスト的な演目を組んでたんですけど、「マギ」に関しては、いきなりDVDや単行本の最終巻だけ、ポンッと渡された感じ?
 スッゲー盛り上がってて作画クオリティ高い!…けど、その前の人間関係や世界観設定が全く分からないまま進行するので、なんか観客としては、置いて行かれちゃってる気がするんですよね。
 正直、優勝チームの演目はコミケSP予選の時の方が、好きでした。同じ「マギ」だけど、母親の首ぶった斬って笑ってる!って中二病っぽいアイデアが良かったし、ストーリーがよっぽど伝わりやすかった。
 でも、点数で審査したら、コミケSPの時よりもこの日の演技が伸びるでしょうね。

 技術よりもアイデア的な部分を評価するのならば、複数の武器を持ち替えて攻防+早替えを見せた「Fate」ですし、「テイルズ」の箱をエレベータに見立てるアイデアも面白かった。
 「マギ」は、過去にもあったパターンを極限までブラッシュアップしたものなので、正直、コスサミのステージにおける新しい要素という部分は見えなかったのです。

ウィッグ賞 3uStaz「Fate/stay night」
イメージ賞 古今東西「神様はじめました」
敢闘賞 BarN!「テイルズ オブ デスティニー」
優勝、WCS2015日本代表チーム 琉演「マギ」
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 結果に関して、会場で見ていた僕の友人は、「あのチーム、頭一つ、いや、二つ分くらい抜けてるよ!」と漏らしました。
 圧倒的な勝利であったと思う。


■4年目に入ってしまった「世界チャンバラサミット」
 しかしながら「Fate」スリーユースタッズも、「テイルズ」BarN!も、昨年はダンスや芝居だったのに、両チームとも今年から剣劇にシフトして地区予選を勝ち抜いた…のは、【コスサミ予選の審査が、剣劇でなければ得点できない】状態になってる事の裏返しです。
 シリアスストーリーで、甲冑で、剣劇…っていう定番パターンじゃないと勝てないから、みんなそれやっちゃうでしょ?
 日本代表は12年以降、4年連続で剣劇ベースの演目です。
 今年の地区予選の3代表も、全部このパターンしか選ばれてない。

 似たような流れの演目ばっかり並んじゃうから、一個ずつバリエーションは異なってても、観客からしたら「え?また剣劇?」になっちゃう。
 例えるなら、中華料理のコースを期待したら、チャーハン→肉チャーハン→海老チャーハンと出てくるみたいなものなので。バリエーション違っても全部チャーハンだろ!みたいな。
 でもチャーハン(剣劇)以外、審査員から点が入らないから仕方ない。
 色んなチャーハン(剣劇)を作る大会になってしまってるよなァ…。

 唯一、web予選だけは動画を見た観客投票なので、ここを通過した「神はじ」古今東西だけが毛色の違う少女漫画を披露して、例えるなら杏仁豆腐で、メインディッシュにはならないだろうけど、最後にデザート的な存在感を残していたのではないか、と。

 2013年の大阪予選から見てる「テイルズ」チームBarN!に関しては、本当はドレスのフワッとした感じを作ったりするのすっごい上手いんですけどね。得点パターンとしての剣劇を入れた事で、元々持ってた彼女たちの味(コスサミでは点数の入らない部分ですが)が消えてしまったのは、惜しい気がしてました。

 「Fate」スリーユースタッズは…大阪予選の後、国内決勝までの間にご身内(本当の意味での身内)の結婚式が入っていたそうで、常識的に考えたらコスプレ大会よりも身内の結婚式の準備を優先するの、そりゃ当たり前じゃないですか!なので、ブラッシュアップの時間取りにくかったかもしれませんが、でも、別の意味で勝者でしょう(笑)
 
 つくづく、コスプレの評価なんて難しいって思います。
 審査員の点数で勝敗決めるなんて、おかしいんですよ!!(苦笑)
 でも、それをやる“競技”としてのコスプレが、コスサミ予選なので、それは堂々とやるべき。迷わず点数を獲りに行くべき。
 現行のコスサミのルールと審査基準の中で、「マギ」
琉演が特出して高かったのは疑いの余地は無いですから、この優勝は納得いくものだったでしょう。

【ジンクス】
・地区予選の出場チームで一つでも剣劇があったら、そのチームが勝つ。
・剣劇チームが複数集まってくると、剣劇のレベルが高いチームが勝つ。


[論点1] 同じ人間の多選に関して
 自分を含む出場者の側で(表沙汰にならない程度に)ポツポツ出ていた不満。後に繋がる事だし、重要なので書いておきます。
 多選に関しては、万鯉子さんが06,13,15年で日本代表3回目なら、もう殿堂入りでいいんじゃ?って気がします。
 オリンピック=「競技」ならば強い人が何度でも代表になれば良いけれど、
 サミット=「交流」事業でもある事を考えれば、なるべく違う人が代表になる機会を得た方が良いでしょ?

 過去、日本代表に2回なったのは、06.09年のコノミアキラ/愛華しぐま組と、07.08年のキキワン/時雨直輝組だけです。08年までは日本代表は地区ごとに複数チーム設定されていたから、今とは倍率が全然違いますが。チームを変えながらという今回で3回目は、国内の新記録です。
 世界的に見ると前例あって、ブラジルのマウリシオ兄妹コンビが3回代表やってますね?
 多くても3回代表やったら殿堂入りで、後はエキシビション枠などで、後輩の手本になっていただければ理想的じゃないかな?

[論点2] 審査員経験者という立場での出場に関して
 もう一点…。
 2chでも指摘されてなかったので、気づいた人は多くなかったと思いますが。
 前年の審査員同士でチームを組んで出場する(のを運営が認める)のは、さすがに次回以降では、考え直すべき点だと思います。公平性に問題があるからです。

 最初に書きますがマヒオさんみたいに、審査員として関わった事でコスサミの代表に興味持って「出よう!」って思ってくれる事は全く構わないんです。
 でも、前回の審査員やった同士がチーム組むとなると、結果論ですが、やり過ぎだったと思います。
 やっぱり最初から“審査員の視点”を持ってて、他チームが手探り状態の、「審査員はどこを判断して/何をやったら得点するのか?」ってのがよく分かってる同士で組み立てる訳ですから、競技におけるスタートの位置が、1チームだけ絶対的に違っちゃうんですよ。
(あの演目…甲冑で剣劇でシリアス芝居で、絶え間なく動き続ける…は、やはり的確に審査員の加点ポイントだけを狙っている)
 出たいって気持ちは尊いものだから、じゃあ審査員経験者にはそれぞれ新しい人と組んで出場してもらうとか、審査員やった翌年の出場は控えてもらうとか、何かしらの緩和策はとってほしい。
 運営側にここの問題意識が無かったとしたら、身内ノリで「公平性」という概念が麻痺しています。
 ましてや、代表経験者の出場停止期間を、要望に沿って2年→1年に短縮したばかりでしょう。

 審査競技なのに、前回の審査員同士がチーム組んで出てきたり、
同じ人が出場者と審査員席を1年おきに行ったり来たりするって、やっぱり傍から見たらおかしい事です。
 五輪エンブレム炎上事件の時に考えたけど、選ぶ側/選ばれる側があまりにも近すぎるのは、それだけで不公平に見えてしまう。
(だから自分は、五輪エンブレムも出来レースでは無かっただろうと考えてます。疑わしい状況を改善しようとしなかっただけで。でも、それは変えなきゃダメなんだよ)

 なお、事前に運営に知らせていた筈の彼女たちの手順には、不備は無いんです。ちゃんと筋は通していました。それを事前に知っていて認めてしまう運営側の意識の低さの問題として書いています。
 間違えないでほしいのは、ヤラセとか出来レースとか言ってるんじゃないんです。
 選考過程は(グダグダ運営ながら)ガチなんですよ。
 だからこそ、スタート位置が他と違う人達でチーム組んじゃうと、公平性が損なわれると思っています。

 もちろん、彼女らがここを批判されるのも分かってて、それでも組んで出てきた事、
つまり批判を覚悟の上での行動で、結果に有無を言わせない為に、他の何処よりも練習量が多かった事も、同時に書いておきます。
 だから、既存のルールで想定していなかったであろう特例チームは、この1回きりにしてください。
 これは出場者ではなく、運営側で毅然と対処すべき部分です。

(なお、万鯉子さんがコスサミ予選にとっての功労者なのは間違いなく、昨年2014予選で露骨な不正行為を行ったチームに対し、オーガナイザーの柴田氏は責任者でありながら結果的に何もできなかった。これを「落とす」という断を下した当時の審査員の一人が、万鯉子さんだったので)

 正直この部分を書くか否かで2カ月くらい悩みましたが、身内ノリで問題点を封殺してしまうのはコスプレ業界の悪癖なので、個人の考えとしてやはり書いておきます。カイブのニュースではサラッとだけ触れたけどね。

 ここから自嘲気味な話。
 でもさ、本当はもう、運営が少なくとも今年の出場認めちゃった訳だし、それを始まった後で言っても変わらないんだから、全部飲んだ上で「俺たちが叩き潰す!」ってやらなきゃいけなかったのよ。
 最後は、勝てないとしても、同じ国内決勝ステージに立ってたかったよね。一瞬でも「もしや?」って思わせて、かき回したかったよね。
 コミケ準備会の安田かほる代表の前で、ビッグサイトを変型させて、唖然とさせてやりたかったよね!
 結局は自分のふがいなさに帰結するんだけど。


■集客失敗、タダ券路上配布の件
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 特に真面目な話しますよ。この国内決勝、出場者の演技こそ熱戦ながら、イベント全体としては、正直、失敗だったと思うのです。
 だって日曜の秋葉原のど真ん中の(高額な)ベルサール秋葉原で開催しておいて、誰もイベントの存在を知らなかったでしょ?
 開催数日前になってベルサール秋葉原の1F→地下に会場変更された時点でイヤな予感はしてましたが、路上からは見えない地下ホール開催で、しかも入口に看板もポスターも無い。
 せっかくの秋葉原開催なのに、存在を認識されないイベントにしてしまった…。
 出場者から見て何がダメなのか書くと「秋葉原の真ん中でやってるのに、関係者以外にはイベントの存在自体を知られず、出場者の数ヶ月間に渡る練習や造型の成果を、ガラガラの観客の前で披露させられて、誰の記憶にも記録にも残らず終わる虚しさ」です。
 ついに身内からも「柴田氏はもしや出来レースをやる為に、わざと観客の来ないイベントをやっているのでは?」という疑念の声が漏れていますからね。

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 国内決勝の後に休憩を挟んで始まった「AKIHABARA POP JAM」のDJタイムでは、招待券で入っていたアニクラ好きな友人から「DJシーザーさんが回してて、あんなに盛り上がらないなんて…」という声もありました。
 ライブに登場したアニメタル二代目も、正直デビューしたばかりで、知名度はゼロに近い。

 おそらく最初は、ベルサール秋葉原の1Fホールを使った「アキバ大好き祭り」みたいなイベントをモデルに、アキバを散策するオタク達からも通りすがりに観覧できて、それをツイッターで発信してもらってネットで話題になる事を画策していたでしょうが…
 ステージで音量を使うイベントだったので1Fホールでは開催できなくなり(アキバ大好き祭りはビル周辺スペースも借りてるので音量も出せるが、そうするには追加料金がかかる)、直前に地下ホールへ変更。窓も無いから地上からは一切見えないイベントに。
 ンな、音量の事なんて最初から分かってた筈でしょうに…

 イベント内容的にも、COSSAN単独開催のリスクを避け、他の企業を巻き込んで、「AKIHABARA POP JAM」という新企画との併催形式にしたものの、これにより案の定、告知と広報が後手後手に回り、
 コスプレを“見る”イベントなのか?
 コスプレ“する”イベントなのか?
 アニクラなのか?
 ライブなのか?
 …何をするイベントだか分からなくなってしまい、前売チケットが売れないから結局は、関係者相手に大量に招待券をバラ撒いてしまったんですね。
 それでも埋まらないから何をしたのかと言うと…イベントの途中からスタッフが路上でタダ券を配り始めるという…
 途中で外に出たら、路上でチケット配ってる集団見て愕然としたよね!
 これ、少ないながら有料でチケット買ってくれた人達への、裏切りだよね…。
(自分の分は実券で買ってるので、文句言えます)

 それでも、招待券をバラ撒いてでも観客を増やそうとしただけ、昨年より前進なのか…?
 昨年の東京タワースタジオでの国内決勝は、運営の「空席が出たら恥ずかしい」なんてバカみたいな理由で、ホール広いのに60席しか用意しなかったら、後から来た観客が立見せずに帰ってしまいましたからね。(実話)
 今年、WCSおもてなし学生委員会のボランティア勢も含めたら、100人は見てましたから。
 殆どが関係者と身内しか見てないって事なんですけど。

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 自宅警備隊NEETの皆さん、会場ではアイドル的な人気であった。
 審査員の入場時に警護コント(本番5分前に依頼されたとか)に大活躍。

■大人の事情と、身内の論理
 少しだけ提言的な事も書くと、地区予選を乱発するのはやめて、一大会で全てを決める方式に戻すのがベターではないでしょうか…。
 別に戦いの場が東京でなくても、名古屋でも大阪でも構わないです。
 一発勝負に向けて、出場者もスタッフも全力を尽くせば、ショウとしてもバリエーションが増えて盛り上がるし、出場者も運営も長期間の余計なエネルギーを使わずに済みます。
 だいたい、複数の地区予選と国内決勝の二段階式って、ブラジル・ロシア・中国みたいに、国土が広くて、かつコスプレパフォーマンスが有料公演されてビジネスになってる国“だけ”なんですよ!
 その他では、イギリスもドイツもフランスも台湾も東南アジア圏も、国内予選は毎年、一発勝負なんですね。

 3つの地区予選+WEB予選+国内決勝で、ただでさえ少ないパフォーマンス系のレイヤーが別れてしまうし、運営側も交渉や事前準備が繁雑化してトラブルとグダグダが連発するし、赤字が積み上がる。
 何ヵ月も造型や練習を頑張った出場者が、ガラガラの観客の前で演技させられて、何の話題にもならない。
 結果、グダグダが一向に改善されず、目立ちたいとかお祭り気分でパフォーマンスをやりたい層は、ルールがユルくて盛り上がりまくるアニパフォやCure Cosplay Collectionへ、演者も観客も流れてしまう。
 もはや、
アニパフォやCCCとは比べようも無い注目度や人気度の“差”が、世界コスプレサミット予選会との間に出来てしまった。

 存じてますよ?上部組織のWCS実行委員会(株式会社WCS)の小栗代表が、国内予選に関して「東京五輪の2020年までに47都道府県での地区予選開催!」なんて夢物語をぶち上げてしまってるって。
 でも、今年の出場チームって、全国でたった9組だけですからね?
 集めれば丸一日かからずに全チーム演技できますよ。
 んで後年、もし出場が増えたら、その時また地区予選+国内決勝パターンを復活させれば良いので。

 せめて地区予選やるなら、ひっそりやるんじゃなくって、その地区の既存の大型イベントとコラボしてステージを使う、くらいじゃないと、出場者も観客も集まらないでしょう。

 オーガナイザーの柴田氏は建前では「責任は全て自分にあります」と言いながら、いざ出場者から苦情が入ると、
「忘れてました」
「僕のせいではありません」
「◯◯に言ってください」

 を連呼するのは、悪いクセですよ。
 “大人の事情”“身内の論理”を振り回し続けたツケが、この状況ですもん。
(今年、本当に運営側が不可避だったトラブルは、大阪予選の前日の不発弾騒動だけです)

[ダメになった理由]
 運営の人手は少ない。
 なのに無理に手を広げようとするから、余計に運営がグダグダになる。
 告知や宣伝が後手後手で、観客が来ない。
 だから一度出たチームも、イヤになって次はもう出なくなっちゃう。
 責任者が忙殺されて末端の出場者の気持ちに向き合えない一方で、身内から突かれるとルールを変えたり、特例を認めてしまう。
 出場者が減っていくから今度は、予選の体裁を保つために身内に向けて「出てください!」をくり返した挙げ句、身内チームだって準備期間も無しに出場しても、振り回された挙げ句に噛ませ犬になるだけなので、「もう二度と出ない」になってしまい、翌年の出場者はさらに減り、周りの人間関係も壊れていくという、悪循環なんです。

 だって、2014超会議予選の出場者が、翌年の2015コミケSP予選には殆ど出てないでしょ?
 負のスパイラル。

 でも求められる優勝争いのレベルは異様に高いので、裾野の狭い三角形の、頂点だけが上がっているという、非常にマズイ状況が起こっているのです。

決戦!世界コスプレサミット2015日本代表チームは……!?-コスプレイヤーズアーカイブニュース

 もう一回、↑貼っておきます。まだの人は読んでください。(3度目)
 カイブニュースとこのブログ、どっちに書いた事も本当です。
 ステージ上の世界と、それ以外。
 見方と書き方の違いであって。
 ステージ上の熱意に対して、運営側のグダグダとゴタゴタが多すぎて、応えられていないんです。

 だからずっと言ってるじゃないですか。
 ヤラセとか、出来レースなんて話じゃ無いですよ。
 ただひたすら、グダグダなだけなんだ、って。
 その中を走り続けた人達の気持ちに、もう少しでも、報いてあげてください。

 集合場所や時刻が前日の夜まで連絡来ないで、ルールや審査基準の変更が本番まで教えられなくて、WEB予選はエラーでサイトが止まって、当日は会場前にポスターすら貼られてなくて、ずっと練習してきた成果を見てくれる観客がイベント関係者だけで、ロクにニュースにも取り上げられないで、終わったらポイって、虚しいんですよ。
 今年から国内決勝まで進んだ全チームに副賞つけるとか、少しだけでも、改善はしようとしてるじゃないですか?
 絶対に無理な事では無い筈ですよ。

 あ、よくよく考えたら、国内予選がCOSSAN体制に変わって3年目なら本当は、ホップ・ステップ・ジャンプ!してる頃ですよ。
 やってる事は、ホップ・ステップ・ドボン!じゃないですか。
 いや、よく考えたら一度も上昇気流には乗ってないです。
 ドボン!ガシャン!ヒューン!じゃねーか。

 それでも、柴田氏はやってる事がグダグダなんだけど、前任オーガナイザーのジャッキー道齋氏の完全クローズドな時代よりかは前に(転びながらでも)進んでるのかなー…って気がします。
 バカはバカでも、ダメな人間と、悪い人間って違うじゃん?
 いやもう、全員バカならそれでいい!
 こんなイベントのために資金と人間関係を犠牲にしてしまってるオーガナイザーも、
 代表の座を勝ち取る為、時間というよりも人生をコスプレパフォーマンスに賭けてしまっている人も、
 同じ理由で練習に時間使い過ぎて気がついたら家のベランダがハトに営巣されてた人も、
 交通費一切出ないのになまじ地区予選を勝ってしまったがために自腹で上京してくる人たちも、
 余りまくったチケットを秋葉原の路上で配ってたスタッフも、
 そしてそんなグダグダを毎年毎年、全国を回って記事にしている自分自身も、みんなバカなんじゃないでしょうか?
 このバカどもによる祭りが、どうにか、もうちょっとだけ、世の中に知られて、話題になったり、改善されたりしてほしーなと、今年は観客席から強く強く感じるのでありました。

今回の金言:
「練習や造型にかけた時間は嘘をつかない」
「カラス駆除とハト駆除は業者が別」


 まだ2015レポ終わんねーよ!
 8月の世界コスプレサミット2015チャンピオンシップ24カ国決戦レポ、半年遅れで、たぶん書きます。



[関連記事]
・  世界コスプレサミット日本代表選考会決勝戦 -イベントの様子- -
アサガヲBlog

 今回のイベントを、関係者以外でレポしてくれた数少ない記録です。秋葉原で開催していたROM即売会「コスプレシャス」とコラボして割引入場できる設定にしていた事で、カメラマン系の人が少数ながら、来場していたのでした。
 「韓国でのパフォーマンスに比べて、盛り上がりはまだまだ」って、現場を見た人だから言える、痛い所を突かれてます。
 …いや、日本国内でも、アニパフォやCCCのステージなら、天井ブチ抜きそうな熱気で盛り上がってるんですよ!
 でも、コスサミ予選は「観客を盛り上げる」じゃなくって「審査員からの点数を競う」場所なので、必然的に盛り上がりは欠くのです。もっと言うと、観客を盛り上げたチームは落ちてます!
 こういった部分は、身内の視点では出てこない指摘なので(僕自身もどこか身内ノリでブレーキかけてしまってるので)、本当に貴重だと思う。