Cureやニコニコ系イベントでお見かけするタレントレイヤーさんの出演が多かったですね。
と、いきなり身も蓋も無く始める。
先日の日本テレビ「マツコ会議」、2016年5月28日放送分のお話です。
この番組、マツコ・デラックスさんたちが集まる局内のスタジオと、他の場所をリアルタイムで中継して、色々と質問したりツッコミ入れたりしながら進行する、30分枠の雑学バラエティ番組です。
さてさて昔は…
2000年代前半までは、コスプレイヤーを登場させるTV番組なんてのはロクな扱いではなく、出演者はだいたい奇声を上げたり、語尾に変な「にゃ~ん」「ぴょん☆」みてーな語句をつけて喋るおかしな恰好の人で、そこに芸人らが罵声を浴びせたり引っ叩いたりする展開がお約束でしたから。
そんな昔に比べたらコスプレを持ち上げる方向で取り上げてるってのは、時代の流れを感じます。
バラエティってのは必ずしも真実でも公平でもなく、あくまでその番組における切り口の一つですから、あんまり目くじら立てるもんじゃアリマセン。
ヤラセだの仕込みだのではなく、“演出”という扱いで構わないと思います。
…と言いつつ、やっぱりちょっと、キレイな部分だけ切り取ろうとして、ズレちゃってるなぁという感覚はあったので、まぁ、今回そのお話。
・マツコ会議 5/28放送分(見逃した人向けに6/4までは無料配信中)
http://cu.ntv.co.jp/matsukokaigi_20160528/
>マツコ主宰の会議…今夜はプロのコスプレイヤーが集う謎のビルから中継!なぜ今、コスプレにハマる人が増えているのか?そこにはマツコの想像を超えた新しいビジネスが!?
http://vod.ntv.co.jp/f/view/?index.html&item=N1YmpyMzE6KHG4UEgtuEXYmuKVevEu9u
>毎週ちょっと気になる話題の場所と会議室とを中継でつなぎ、マツコ自身が街の人と会話をしながら会議を進行。その中で気になった人やモノについて、最終的に取材した中からマツコがさらにディープに探索したいと思ったことをVTRにする超実験バラエティ!今回は最新コスプレビジネスを調査!人気のコスプレイヤーはどのようにコスプレで稼いでいるのか?果たして儲かるの?
と、いきなり身も蓋も無く始める。
先日の日本テレビ「マツコ会議」、2016年5月28日放送分のお話です。
この番組、マツコ・デラックスさんたちが集まる局内のスタジオと、他の場所をリアルタイムで中継して、色々と質問したりツッコミ入れたりしながら進行する、30分枠の雑学バラエティ番組です。
さてさて昔は…
2000年代前半までは、コスプレイヤーを登場させるTV番組なんてのはロクな扱いではなく、出演者はだいたい奇声を上げたり、語尾に変な「にゃ~ん」「ぴょん☆」みてーな語句をつけて喋るおかしな恰好の人で、そこに芸人らが罵声を浴びせたり引っ叩いたりする展開がお約束でしたから。
そんな昔に比べたらコスプレを持ち上げる方向で取り上げてるってのは、時代の流れを感じます。
バラエティってのは必ずしも真実でも公平でもなく、あくまでその番組における切り口の一つですから、あんまり目くじら立てるもんじゃアリマセン。
ヤラセだの仕込みだのではなく、“演出”という扱いで構わないと思います。
…と言いつつ、やっぱりちょっと、キレイな部分だけ切り取ろうとして、ズレちゃってるなぁという感覚はあったので、まぁ、今回そのお話。
・マツコ会議 5/28放送分(見逃した人向けに6/4までは無料配信中)
http://cu.ntv.co.jp/matsukokaigi_20160528/
>マツコ主宰の会議…今夜はプロのコスプレイヤーが集う謎のビルから中継!なぜ今、コスプレにハマる人が増えているのか?そこにはマツコの想像を超えた新しいビジネスが!?
http://vod.ntv.co.jp/f/view/?index.html&item=N1YmpyMzE6KHG4UEgtuEXYmuKVevEu9u
>毎週ちょっと気になる話題の場所と会議室とを中継でつなぎ、マツコ自身が街の人と会話をしながら会議を進行。その中で気になった人やモノについて、最終的に取材した中からマツコがさらにディープに探索したいと思ったことをVTRにする超実験バラエティ!今回は最新コスプレビジネスを調査!人気のコスプレイヤーはどのようにコスプレで稼いでいるのか?果たして儲かるの?
■コスプレ業界市場規模400億円!の幻
マツコさんも驚いていた数字ですが、これ、正直マユツバです。
日本のコスプレ業界には全体を横断する俯瞰する業界団体や協会がありません。そういった権威ある団体の調査した金額ではありません。
この数字を出しているのは「矢野経済研究所」という団体ですが…
正直、ここが出しているオタク市場調査は、かなりインフレ数字だと思います。
「コスプレ市場規模400億円」(正確には2012年度で423億円)という数字を聞いて、「多すぎるだろう」と感じる人も「それくらいあってもおかしくない」と感じる人もいるでしょうが…。
これ、衣装の出荷金額ベースで算出してる金額なんですよ。
イベントへの参加費とか、自作派レイヤーのミシンや生地代とか、撮影機材とかは入ってないんですね。
衣装だけで年間400億円ってのは、いくらなんでも多過ぎでしょう。
国内コスプレイヤー10万人として、年間で一人平均40万円も衣装購入に使ってる?ないでしょ?
(最大手のSNSコスプレイヤーズアーカイブでも登録数は10年で15万人なので、現役で10万人というのは概算。コミケでもコスプレサミットでも、一日のコスプレ参加人数は1万人程度が最多)
だいたい、400億円って、ミクシィやアニメイトの年間売り上げに匹敵しますからね?
・2010 オタク市場徹底研究- 市場調査とマーケティングの矢野経済研究所(これは2010資料より調査対象の文面を引用)
>9. コスプレ衣装市場
>(株)コスパ/(株)アニメイト/(株)バンダイ/(株)クリアストーン/(有)カシス/(株)ナーズアンドギークス(ミアグループ)
よくよく調査範囲を見ると、コスプレではなく、パーティグッズやコンパニオン・ウエイトレス用のコスチューム製作会社が入ってるんですよね。
どうもコスプレ市場というよりも、「コスチューム業界の市場」ではないでしょうか?
もしもどこかで「オタク市場●億円!」という数字を目にしたら、調査団体を見てみてください。
矢野経済研究所だったら、実態よりかなり多く出ている可能性があります。
この団体の調査によるイケイケドンドンなインフレ数字は、クールジャパン系の旗を振って予算を動かしている人には、とても都合の良い数字ではあります。
■プロのコスプレイヤー?
プロ=その道で生活できる人、という定義らしいです。ここでは。
冒頭から登場していた彼は元々、メンズナックルの読者モデル出身で、そこからコスプレを始めて、その後ちゃんと事務所にも所属している人ですから、スタートが違います。
「タレント活動をするコスプレイヤー」というより、「コスプレ活動をするタレント」と言った方が近いでしょう。
別にそれ自体は悪い事でもなんでもないですが。
その2000円の写真集が一回のイベントで300冊売れてるという話も、2000円×300冊=60万円。
それだけ大量に売れるイベントが年に何度あるか…国内だと夏冬コミケくらいでしょうか。年間で何十冊も新刊を出してる訳では無いようですし。
海外イベントに月2回出演して物販していても、日本人コスプレイヤーをアイドル視して待遇するのは主に東南アジア圏ですから、物価を考えると…どうなんでしょ。
(あ、最近は海外のクールジャパン系イベントで「日本から来た超人気コスプレイヤー!」みたいにレイヤーが呼ばれてるケースが多いのです。声優やアニソン歌手よりは安く呼べるもの。そしてその海外利権を巡って色んな代理店やプロダクションが暗闘しているのは、本件とはまた別のお話なので)
コスプレ写真集って全ページがカラー印刷ですから、印刷代は漫画同人誌よりも若干高めになります。まとまった売上が出れば税金だって払わないといけません。
また、彼の衣装は自作ではありませんから、そのお金もかかるでしょう。
事務所単位で行っていればその辺も経費かもしれませんが、売上は一人のものにはなりません。スタッフやマネージャーもついてる訳で。
「本業はモデル」と言っていた他にも、舞台版グレンラガンやキャプテンハーロックで俳優の仕事だってしている人ですから、コスプレ“だけ”で生活してる訳じゃー無いと思うんですが。
(ただ、件の彼は自作ルールのコスプレコンテストであきらかな業者製衣装を「自分で作りました」と言ったり、帯同したマネージャーが審査に口出ししてきた例があるので、正直、ああいった売り出し方をあまり好意的には見ていません。…彼もまた、悪い大人たちに利用されてる一人、なんだけど)
■だいたいスタジオBOOTYには男性レイヤーは行かない…?
続いて登場の肉体造型部さんもニコニココスプレクションなどで出演していて、カラダスゲーなーと思いつつ見ている訳ですが、しかし彼らを出演させるって事は、まぁ、やっぱり番組側で出演者を用意していた訳ですよね。
だって、そもそもスタジオBOOTYって、「男性のみでの利用お断り」ですもん。
本来なら男だけでは使わせてくれないコスプレ撮影スタジオに、マツコさんの番組収録時間帯に偶然、そんな上記のような有名男性レイヤーばかりが集まってる訳が無いじゃないですか?
他の回だって、マツコさんの収録時間帯の中継先に、偶然に面白い人ばかり居合わせる訳が無いので、仕込みというより“演出”でしょうけど。
おそらくは番組の「プロのコスプレイヤーが集う謎のビルから中継!」という企画がまずあって、そーゆー設定に沿って出演してくれる人を集めたんだなー、というのは察しました。
よく見ると冒頭の一名以外は「コスプレで生活してます」とは言ってないですしね。
しかし普段は女性の同伴以外で男性お断りな施設なのに、TV番組だったら良いのか…?
女性スタッフが一人でも現場に居れば良いのか…?
スタジオBOOTYさんの姿勢がとてもよく分かりました!
※ この辺の描写に関してはコメント欄にて、たつさんからご指摘をいただきましたので、併せてご覧ください。
■「コスプレは25歳まで」炎上と、真意
叩かれていた彼女の発言趣旨は、前後の流れでは「自分の人生設計ではコスプレは25歳までに卒業したい」という趣旨であって、「25歳以上はコスプレすんな」と言った訳じゃあアリマセン。
キャプション画像で出回ってるものを鵜呑みにする前に、元の発言を調べるのは重要です。
https://twitter.com/__einyanya/status/736571352128196608
https://twitter.com/__einyanya/status/736608900418412545
なお、自分の中でコスプレ寿命を区切ってしまう事は誰だってありがちな事ですが、大概は
「社会人になる前に、学生の内にコスプレしておこう」
「25歳くらいまでにはやめよう」
「三十路までは頑張りたい」
「結婚するまでは続けてみよう」
「やめられない」
…に段階を経て、沈んで(?)いきますから。
まだ若い彼女だって気が変わるかも/変わらないかも、なので、そんな目くじら立てなくて良いでしょう。
いつでも卒業・再入学・留年OKなので。
■WEBのオマケ動画が面白い!
http://vod.ntv.co.jp/f/view/?index.html&item=N1YmpyMzE6KHG4UEgtuEXYmuKVevEu9u
WEBで公開されてる掘り下げ動画も、4分程度ですのでゼヒ見てほしいです。
ここに登場しているのは麗華さん、山葵さん。
おそらくは最もワールドワイドに活動しているコスプレイヤーな彼女は「コスプレで生計を立ててる」というお話ですが、それでもイベント出演だけでなく、記事原稿料が1本1万円、ウィッグカット講習会をやって1時間15000円、多ければ月収50万円、でも月によっては0円なのでフリーターみたいなもの、と自重気味に語っておられます。
安定した収入を得るのは大変…そりゃ、そうですよね。
日本で一番有名であろう人だって、コスプレをメインの仕事にするのは大変なんですよ。
モンスターや甲冑を作っている山葵さんは造型物の製作を請け負ってるそうですが、バイオハザードのリッカ―着ぐるみで一体40~50万円。製作には2ヵ月かかるそう。
何度か拝見した事がありますが彼のジンオウガ、全長3mくらいありますから。ウロコ一枚ずつグラデ塗装して表面処理ザラついてますから!
シメのナレーションは「コスプレだけで食べていくのはまだまだ大変」…納得。
どっちかって言ったら、この人達を地上波本編で出した方が、濃かったんじゃないの!?
多分、スタジオBOOTYからの中継に呼べなかったんでしょうけども。
他にも、イベンターやスタジオ経営やコンパニオン派遣やヘアメイクやフォトグラファーなどなど、コスプレ活動から派生する裏方仕事は結構あるので、コスプレ関連ビジネスで生計を立ててる人は確実に存在するのです。
でも、写真集や撮影会やイベント出演など、純粋にコスプレイヤーとしての活動“だけ”で、長期に渡って生活してる人ってのは、現在の日本にはまだ存在しないでしょう。(ポルノを除く)
未来は分かりませんが。
× × × × × × ×
よくよく考えたら…
テーマで「なぜ今、コスプレにハマる人が増えているのか?」って振っておいて、純粋に楽しさで身銭切ってハマッてる人よりも、仕事もらおうとしてる人メインで出しちゃったから、趣味人のレイヤーから見たら違和感が出ちゃったんじゃないの??
(日本では「コスプレは趣味でやるべき」論が根強い。そこに必ずしも永遠に拘る必要は無いのでは?と個人的には思いますが)
次やるとしたら、
「なぜ今、コスプレにハマる人が増えているのか?正社員でも残業代ゼロ、社会保険無し…不安定な生活の中で、仮想世界だけが生き甲斐だった」
「親のスネかじり・自己破産・友人との絶縁…コスプレのプロを目指した若者たちの、残酷な現実」
…みたいなテーマだと、バランスが取れて面白いと思います。
笑えないけど。
あ、同じくスタジオBOOTY東京を舞台にしたNHKの「ドキュメント72時間 コスプレ専門ビル 彼女たちの夢の城」2015年4月放送回は、同じ施設が舞台なのに打って変わって重~いドキュメントなので、再放送などあったら見比べてほしいです。
http://www.cosp.jp/news.aspx?id=294
× × × × × × ×
でも私は、この番組、アリだと思うんですよね。
コスプレをビジネス観点で見るってのは偏ってるけど、バラエティ番組ですし、これも世の中の多様な切り口の一つ、ですから。
マツコさんのイジり方も、コスプレを馬鹿にするでもなく、ツッコミも鋭くて楽しい。
昔の深夜番組での下品な扱いに比べたらずっと丁寧で、しかし変にコスプレビジネスとして持ち上げようとするからナナメ方向に行っちゃっただけ。
この番組に怒るっていうよりも、実態とはまた違うよ、TVだから特別な人だけ集めてるよって情報だけ、ここに置いておきます。
もう一度。見逃した方には6/4まで、無料配信中です。
http://cu.ntv.co.jp/matsukokaigi_20160528/
掘り下げWEB動画、4分。
http://vod.ntv.co.jp/f/view/?index.html&item=N1YmpyMzE6KHG4UEgtuEXYmuKVevEu9u
※ なお、“事務所所属レイヤーが出す版権キャラのコスプレ写真集”、“コスプレ衣装の非公式オーダーメイド業者”は著作権的にグレーゾーンなのですが、同様の件に際して過去に裁判まで至った例が無いので、個別の法的な判断はいたしかねます。
(ヒーローショウのマスクから型を抜いて複製販売した業者はさすがに事件化しましたが…)
【過去記事】
・日テレZIP!のオタク調査の金額はおかしいぞ、という一考
・コスプレイヤーのタレント化・アイドル化はどうして上手く行かないかを考える
マツコさんも驚いていた数字ですが、これ、正直マユツバです。
日本のコスプレ業界には全体を横断する俯瞰する業界団体や協会がありません。そういった権威ある団体の調査した金額ではありません。
この数字を出しているのは「矢野経済研究所」という団体ですが…
正直、ここが出しているオタク市場調査は、かなりインフレ数字だと思います。
「コスプレ市場規模400億円」(正確には2012年度で423億円)という数字を聞いて、「多すぎるだろう」と感じる人も「それくらいあってもおかしくない」と感じる人もいるでしょうが…。
これ、衣装の出荷金額ベースで算出してる金額なんですよ。
イベントへの参加費とか、自作派レイヤーのミシンや生地代とか、撮影機材とかは入ってないんですね。
衣装だけで年間400億円ってのは、いくらなんでも多過ぎでしょう。
国内コスプレイヤー10万人として、年間で一人平均40万円も衣装購入に使ってる?ないでしょ?
(最大手のSNSコスプレイヤーズアーカイブでも登録数は10年で15万人なので、現役で10万人というのは概算。コミケでもコスプレサミットでも、一日のコスプレ参加人数は1万人程度が最多)
だいたい、400億円って、ミクシィやアニメイトの年間売り上げに匹敵しますからね?
・2010 オタク市場徹底研究- 市場調査とマーケティングの矢野経済研究所(これは2010資料より調査対象の文面を引用)
>9. コスプレ衣装市場
>(株)コスパ/(株)アニメイト/(株)バンダイ/(株)クリアストーン/(有)カシス/(株)ナーズアンドギークス(ミアグループ)
よくよく調査範囲を見ると、コスプレではなく、パーティグッズやコンパニオン・ウエイトレス用のコスチューム製作会社が入ってるんですよね。
どうもコスプレ市場というよりも、「コスチューム業界の市場」ではないでしょうか?
もしもどこかで「オタク市場●億円!」という数字を目にしたら、調査団体を見てみてください。
矢野経済研究所だったら、実態よりかなり多く出ている可能性があります。
この団体の調査によるイケイケドンドンなインフレ数字は、クールジャパン系の旗を振って予算を動かしている人には、とても都合の良い数字ではあります。
■プロのコスプレイヤー?
プロ=その道で生活できる人、という定義らしいです。ここでは。
冒頭から登場していた彼は元々、メンズナックルの読者モデル出身で、そこからコスプレを始めて、その後ちゃんと事務所にも所属している人ですから、スタートが違います。
「タレント活動をするコスプレイヤー」というより、「コスプレ活動をするタレント」と言った方が近いでしょう。
別にそれ自体は悪い事でもなんでもないですが。
その2000円の写真集が一回のイベントで300冊売れてるという話も、2000円×300冊=60万円。
それだけ大量に売れるイベントが年に何度あるか…国内だと夏冬コミケくらいでしょうか。年間で何十冊も新刊を出してる訳では無いようですし。
海外イベントに月2回出演して物販していても、日本人コスプレイヤーをアイドル視して待遇するのは主に東南アジア圏ですから、物価を考えると…どうなんでしょ。
(あ、最近は海外のクールジャパン系イベントで「日本から来た超人気コスプレイヤー!」みたいにレイヤーが呼ばれてるケースが多いのです。声優やアニソン歌手よりは安く呼べるもの。そしてその海外利権を巡って色んな代理店やプロダクションが暗闘しているのは、本件とはまた別のお話なので)
コスプレ写真集って全ページがカラー印刷ですから、印刷代は漫画同人誌よりも若干高めになります。まとまった売上が出れば税金だって払わないといけません。
また、彼の衣装は自作ではありませんから、そのお金もかかるでしょう。
事務所単位で行っていればその辺も経費かもしれませんが、売上は一人のものにはなりません。スタッフやマネージャーもついてる訳で。
「本業はモデル」と言っていた他にも、舞台版グレンラガンやキャプテンハーロックで俳優の仕事だってしている人ですから、コスプレ“だけ”で生活してる訳じゃー無いと思うんですが。
(ただ、件の彼は自作ルールのコスプレコンテストであきらかな業者製衣装を「自分で作りました」と言ったり、帯同したマネージャーが審査に口出ししてきた例があるので、正直、ああいった売り出し方をあまり好意的には見ていません。…彼もまた、悪い大人たちに利用されてる一人、なんだけど)
■だいたいスタジオBOOTYには男性レイヤーは行かない…?
続いて登場の肉体造型部さんもニコニココスプレクションなどで出演していて、カラダスゲーなーと思いつつ見ている訳ですが、しかし彼らを出演させるって事は、まぁ、やっぱり番組側で出演者を用意していた訳ですよね。
だって、そもそもスタジオBOOTYって、「男性のみでの利用お断り」ですもん。
本来なら男だけでは使わせてくれないコスプレ撮影スタジオに、マツコさんの番組収録時間帯に偶然、そんな上記のような有名男性レイヤーばかりが集まってる訳が無いじゃないですか?
他の回だって、マツコさんの収録時間帯の中継先に、偶然に面白い人ばかり居合わせる訳が無いので、仕込みというより“演出”でしょうけど。
おそらくは番組の「プロのコスプレイヤーが集う謎のビルから中継!」という企画がまずあって、そーゆー設定に沿って出演してくれる人を集めたんだなー、というのは察しました。
よく見ると冒頭の一名以外は「コスプレで生活してます」とは言ってないですしね。
しかし普段は女性の同伴以外で男性お断りな施設なのに、TV番組だったら良いのか…?
女性スタッフが一人でも現場に居れば良いのか…?
スタジオBOOTYさんの姿勢がとてもよく分かりました!
※ この辺の描写に関してはコメント欄にて、たつさんからご指摘をいただきましたので、併せてご覧ください。
■「コスプレは25歳まで」炎上と、真意
叩かれていた彼女の発言趣旨は、前後の流れでは「自分の人生設計ではコスプレは25歳までに卒業したい」という趣旨であって、「25歳以上はコスプレすんな」と言った訳じゃあアリマセン。
キャプション画像で出回ってるものを鵜呑みにする前に、元の発言を調べるのは重要です。
https://twitter.com/__einyanya/status/736571352128196608
https://twitter.com/__einyanya/status/736608900418412545
なお、自分の中でコスプレ寿命を区切ってしまう事は誰だってありがちな事ですが、大概は
「社会人になる前に、学生の内にコスプレしておこう」
「25歳くらいまでにはやめよう」
「三十路までは頑張りたい」
「結婚するまでは続けてみよう」
「やめられない」
…に段階を経て、沈んで(?)いきますから。
まだ若い彼女だって気が変わるかも/変わらないかも、なので、そんな目くじら立てなくて良いでしょう。
いつでも卒業・再入学・留年OKなので。
■WEBのオマケ動画が面白い!
http://vod.ntv.co.jp/f/view/?index.html&item=N1YmpyMzE6KHG4UEgtuEXYmuKVevEu9u
WEBで公開されてる掘り下げ動画も、4分程度ですのでゼヒ見てほしいです。
ここに登場しているのは麗華さん、山葵さん。
おそらくは最もワールドワイドに活動しているコスプレイヤーな彼女は「コスプレで生計を立ててる」というお話ですが、それでもイベント出演だけでなく、記事原稿料が1本1万円、ウィッグカット講習会をやって1時間15000円、多ければ月収50万円、でも月によっては0円なのでフリーターみたいなもの、と自重気味に語っておられます。
安定した収入を得るのは大変…そりゃ、そうですよね。
日本で一番有名であろう人だって、コスプレをメインの仕事にするのは大変なんですよ。
モンスターや甲冑を作っている山葵さんは造型物の製作を請け負ってるそうですが、バイオハザードのリッカ―着ぐるみで一体40~50万円。製作には2ヵ月かかるそう。
何度か拝見した事がありますが彼のジンオウガ、全長3mくらいありますから。ウロコ一枚ずつグラデ塗装して表面処理ザラついてますから!
シメのナレーションは「コスプレだけで食べていくのはまだまだ大変」…納得。
どっちかって言ったら、この人達を地上波本編で出した方が、濃かったんじゃないの!?
多分、スタジオBOOTYからの中継に呼べなかったんでしょうけども。
他にも、イベンターやスタジオ経営やコンパニオン派遣やヘアメイクやフォトグラファーなどなど、コスプレ活動から派生する裏方仕事は結構あるので、コスプレ関連ビジネスで生計を立ててる人は確実に存在するのです。
でも、写真集や撮影会やイベント出演など、純粋にコスプレイヤーとしての活動“だけ”で、長期に渡って生活してる人ってのは、現在の日本にはまだ存在しないでしょう。(ポルノを除く)
未来は分かりませんが。
× × × × × × ×
よくよく考えたら…
テーマで「なぜ今、コスプレにハマる人が増えているのか?」って振っておいて、純粋に楽しさで身銭切ってハマッてる人よりも、仕事もらおうとしてる人メインで出しちゃったから、趣味人のレイヤーから見たら違和感が出ちゃったんじゃないの??
(日本では「コスプレは趣味でやるべき」論が根強い。そこに必ずしも永遠に拘る必要は無いのでは?と個人的には思いますが)
次やるとしたら、
「なぜ今、コスプレにハマる人が増えているのか?正社員でも残業代ゼロ、社会保険無し…不安定な生活の中で、仮想世界だけが生き甲斐だった」
「親のスネかじり・自己破産・友人との絶縁…コスプレのプロを目指した若者たちの、残酷な現実」
…みたいなテーマだと、バランスが取れて面白いと思います。
笑えないけど。
あ、同じくスタジオBOOTY東京を舞台にしたNHKの「ドキュメント72時間 コスプレ専門ビル 彼女たちの夢の城」2015年4月放送回は、同じ施設が舞台なのに打って変わって重~いドキュメントなので、再放送などあったら見比べてほしいです。
http://www.cosp.jp/news.aspx?id=294
× × × × × × ×
でも私は、この番組、アリだと思うんですよね。
コスプレをビジネス観点で見るってのは偏ってるけど、バラエティ番組ですし、これも世の中の多様な切り口の一つ、ですから。
マツコさんのイジり方も、コスプレを馬鹿にするでもなく、ツッコミも鋭くて楽しい。
昔の深夜番組での下品な扱いに比べたらずっと丁寧で、しかし変にコスプレビジネスとして持ち上げようとするからナナメ方向に行っちゃっただけ。
この番組に怒るっていうよりも、実態とはまた違うよ、TVだから特別な人だけ集めてるよって情報だけ、ここに置いておきます。
もう一度。見逃した方には6/4まで、無料配信中です。
http://cu.ntv.co.jp/matsukokaigi_20160528/
掘り下げWEB動画、4分。
http://vod.ntv.co.jp/f/view/?index.html&item=N1YmpyMzE6KHG4UEgtuEXYmuKVevEu9u
※ なお、“事務所所属レイヤーが出す版権キャラのコスプレ写真集”、“コスプレ衣装の非公式オーダーメイド業者”は著作権的にグレーゾーンなのですが、同様の件に際して過去に裁判まで至った例が無いので、個別の法的な判断はいたしかねます。
(ヒーローショウのマスクから型を抜いて複製販売した業者はさすがに事件化しましたが…)
【過去記事】
・日テレZIP!のオタク調査の金額はおかしいぞ、という一考
・コスプレイヤーのタレント化・アイドル化はどうして上手く行かないかを考える
記事(コラム?)楽しく拝見致しました。
レイヤーさん登場前に「お越しいただいてます」って言ってるので
出演者を用意してても嘘ではないかなと思いましたw
あと肉体造型部さんは撮影してたのが女性の方だったので
規約的にはセーフでしょうね。
にこ女装の組はアウトですが・・・