邦画メガヒット作が相次いだ2016年、世間の景況感がジリジリ後退していく中、景気が良かったのは映画業界と長靴業界だけだったのかもしれません。
さて日本国内の主要な映画賞が出揃ったところで、各作品の受賞状況を一覧にしてみました。
別に受賞したからって必ずしも自分の感覚で面白い訳ではないのだけど、評価が形になって残るのは良いことです。
なお、日本アカデミー賞は各部門での優秀賞が多数あるので、あくまで各部門の最優秀賞のみに絞ってます。
受賞一覧表。クリックして拡大されたし。
(当初、「この世界の〜」にキネマ旬報の監督賞が抜けておりました)
さて日本国内の主要な映画賞が出揃ったところで、各作品の受賞状況を一覧にしてみました。
別に受賞したからって必ずしも自分の感覚で面白い訳ではないのだけど、評価が形になって残るのは良いことです。
なお、日本アカデミー賞は各部門での優秀賞が多数あるので、あくまで各部門の最優秀賞のみに絞ってます。
受賞一覧表。クリックして拡大されたし。
(当初、「この世界の〜」にキネマ旬報の監督賞が抜けておりました)
◆シン・ゴジラ◆
ブルーリボン賞
作品賞
キネマ旬報ベストテン
2位
脚本賞
毎日映画コンクール
日本映画大賞
女優助演賞(市川実日子)
美術賞(林田裕至、佐久嶋依里)
東京スポーツ映画大賞
監督賞
全国映連賞
4位
日本アカデミー賞
最優秀作品賞
最優秀監督賞
最優秀撮影賞(山田康介)
最優秀照明賞(川邉隆之)
最優秀美術賞(林田裕至、佐久嶋依里)
最優秀録音賞(中村淳、山田陽)
最優秀編集賞(庵野秀明、佐藤敦紀)
◆君の名は◆
ブルーリボン賞
特別賞
毎日映画コンクール
アニメーション映画賞
TSUTAYA×Filmarks映画ファン賞
全国映連賞
5位
日本アカデミー賞
最優秀音楽賞(RAD WIMPS)
最優秀脚本賞
◆この世界の片隅に◆
ブルーリボン賞
監督賞
キネマ旬報ベストテン
1位
監督賞
毎日映画コンクール
日本映画優秀賞
音楽賞(コトリンゴ)
大藤信郎賞
東京スポーツ映画大賞
作品賞
全国映連賞
日本映画作品賞
監督賞
女優賞(のん)
日本アカデミー賞
最優秀アニメーション作品賞
◆聲の形◆
なし
(映画賞以外では東京アニメアワードフェスティバル2017の作品賞劇場映画部門グランプリ)
◆ポッピンQ◆
なし
ブルーリボン賞を受賞したシン・ゴジラさん
いやー…終わってみたら2016受賞レース、シン・ゴジラvsこの世界の片隅に、の一騎打ちでしたねー…。
主要な映画賞ではもう、この2作以外は作品賞に選ばれてないんですよね。
監督賞でも上記2作が圧倒的に強く、他は毎日映画コンクールで西川美和(永い言い訳)、全国映連賞で李相日(怒り)くらいですからね。
共通するのは、見終わった後に誰かに語りたくなる・語らせるパワーがあったという事でしょうか…。
・枝野氏だからこそ語れる『シン・ゴジラ』のリアル -日経ビジネス
https://business.nikkei.com/atcl/opinion/16/083000015/090100004/
・石破氏「シン・ゴジラは全然、リアルじゃない」(前編)-日経ビジネス
https://business.nikkei.com/atcl/opinion/16/083000015/090100006/
・石破氏:ゴジラを攻撃した戦車はどこから来たか(後編)-日経ビジネス
https://business.nikkei.com/atcl/opinion/16/083000015/090600008/
会員限定だった日経ビジネスオンラインのインタビュー記事が、日経トレンディで全公開されたもの。
枝野氏は東日本大震災時の官房長官だったから、想定外の事態に組織がスムーズに機能しない部分を指して「リアルだ」と評し、石破氏は防衛族だから、現実の法律や部隊の運用を念頭に「リアルじゃない」と評した。
どちらの見方も正しいのだろう。
誰も、どうでも良いものを語ろうとは思わないですから。
× × × × ×
しかし!
よく考えていただきたいのは、日本アカデミー賞の授賞式に出席していた「シン・ゴジラ」チーム、樋口真嗣監督と長谷川博巳・石原さとみさんの組み合わせは、ほぼそのまま前年度公開の実写映画「進撃の巨人」チームですから!
よくよく見たら他の主要スタッフだって、音楽の鷺巣詩郎さんも特技監督の尾上克郎さんも、実写「進撃の巨人」から継続している布陣ですからね…。
これはもう、実写「進撃の巨人」が日本アカデミー賞を総ナメにしたのと、ほぼほぼ同じ事と言えるのではないでしょうか?
僕たちはリヴァイ…じゃなかった、シキシマ兵長を忘れません!
……。
…なんですか?
もしや私が、実写版「進撃の巨人」を推すためにトンチキな詭弁と虚言を吐いてるとでも?
あなた達の行為はレッテル貼りです!
印象操作です!!
限度を超えている!!
(※首相ごっこ)
◆ポッピンQ、受賞ならず…◆
えー…僕は大好きなんですけどね。東映アニメーション60周年記念映画「ポッピンQ」。
12/23公開なのに1/10頃には複数の大型映画館で公開終了してたり、最終上映の時点で先着順の入場特典がまだ配られてたり、レイトショーで観客4人だったりしましたが…。
あ、ここからしばらくポッピンQ語りに入ります。
・ポッピンQ 公式サイト
http://www.popin-q.com/index.html
一言で言うと“青春プリキュア”。
現実逃避を繰り返す卒業式直前の中学三年生の少女たちが突如、踏み込んでしまった異世界を救うため、そして自分たちの街に帰るために踊って戦う魔法少女(?)アニメで、全員が学校生活に何らかのトラウマや後悔を抱えてるわ、主人公は終始ムスッとしてるわ、メンバー同士あんまり仲良くできないわ…。
監督はプリキュアのEDダンス映像などを手がけていた宮原監督なので、ダンスの仕草や表情もあえて素人の女の子っぽく上手すぎないイキイキ感を出しておられまして。
そんなこんなで思春期入口に特有の青臭くてグツグツした感情も詰まってるんですけど。
彼女たちが自分自身の忘れ物にケリをつけて、各々が別の場所で卒業式を迎える…ってラスト(ではないのですが)が、青春くさくて実にイイ!
これ、おジャ魔女やプリキュアシリーズで育って卒業していったであろう中高生の(思春期以降の)女の子が見ると、どこかで忘れてたものが思い出されて、ジワッと熱くなる内容でありましょう。
でもでも、中高生のハイティーン層にはキャラのビジュアルが子供向っぽく見えるだろうし、かといって女児だったら本家プリキュア映画の方を見たいだろうし。
イマイチ、どこの層を狙ってるのか分からない映画になってる感はあります。
他には“バンダイに毒されてないプリキュア”として見る事もできると思っていて、困難を迎えた時、近年のプリキュアだったらCGのオモチャが光って解決してくれるような場面でもちゃんと自分たちの知恵と度胸でギリギリ乗り越えていくあたり、“子供だましにならないように子供向けアニメを作り続けていた”東映アニメーションのスタッフ陣のクオリティの高さを、プリキュアファンの30代男性会社員として感じてる訳ですよ。ええ。
だからどこの層を狙ってんだこの映画。
ポスターのキービジュアル第一弾。どうしても女児向けアニメのイメージが強い。
キービジュアル第二弾。こちらの方が引きつけたのでは…。
あ、年末にMXで(未完成のまま)放送された村上隆原作の「シックスハートプリンセス」特番を思い出しながら見ればどうでしょう。
東映アニメの人たちがパロディではなく真面目に(模造プリキュアを)作ったらこうなるんだぜ!…的な本家の意地を感じる事もできますんで。
よく考えたら、メディアミックスしまくてっても全然ヒットしなかったのに、東映はさらに発声&コスプレ可の応援上映会やっちゃうわ、アプリも始まっちゃうわ、本気で大丈夫なんでしょうか。
大ヒットした「君の名は。」「この世界の片隅に」が大がかりなプロモーションを使わずに口コミで広がっていったのに比べると、なまじ東映アニメ全力での大風呂敷の広げっぷりが白けさせちゃってイカンかったのではと思う次第です。
× × × × ×
あと、個人的には最優秀アニメ映画の「聲の形」ですが、もしTVアニメだったら私は正視できなかったと思います。
前半の回想いじめシーン、小学生がちょっとずつ悪ノリしながら、いざコトが起きれば誰もが「アタタシじゃないもん!」で逃げようとするジリジリとした嫌な感じ、これもまた忘れてたものを思い出してしまいました。
障害ある子を持つ母親がどうしても過保護になっていく姿も、とてもわかります。
フツーに見ると気分の重くなる内容を、観客に逃げ場なく見せる事ができるのは劇場映画の利点です。
そこから合唱曲「怪獣のバラード」をBGMにポンポンッと展開していく映像テンポの良さと、そして必ずしもスペクタクルの起きている訳ではない二人の心象を描いたクライマックスには、余韻がありました。
しかしまぁ、アニメ豊作と言われた2016年の中なればこそ逆に埋もれてしまったかもしれない、「ポッピンQ」にしろ「聲の形」にしろ、もうちょっと評価されてほしいんですが。
・秋葉原映画祭-AKIBA Film Festival
http://www.akibafes.com
上記の作品群が4/1~3に秋葉原UDXで、一部は応援・発声上映会の形式で鑑賞できるというイベント。
虚淵脚本でのアニメ映画化を知り驚くシン・ゴジラさん
ブルーリボン賞
作品賞
キネマ旬報ベストテン
2位
脚本賞
毎日映画コンクール
日本映画大賞
女優助演賞(市川実日子)
美術賞(林田裕至、佐久嶋依里)
東京スポーツ映画大賞
監督賞
全国映連賞
4位
日本アカデミー賞
最優秀作品賞
最優秀監督賞
最優秀撮影賞(山田康介)
最優秀照明賞(川邉隆之)
最優秀美術賞(林田裕至、佐久嶋依里)
最優秀録音賞(中村淳、山田陽)
最優秀編集賞(庵野秀明、佐藤敦紀)
◆君の名は◆
ブルーリボン賞
特別賞
毎日映画コンクール
アニメーション映画賞
TSUTAYA×Filmarks映画ファン賞
全国映連賞
5位
日本アカデミー賞
最優秀音楽賞(RAD WIMPS)
最優秀脚本賞
◆この世界の片隅に◆
ブルーリボン賞
監督賞
キネマ旬報ベストテン
1位
監督賞
毎日映画コンクール
日本映画優秀賞
音楽賞(コトリンゴ)
大藤信郎賞
東京スポーツ映画大賞
作品賞
全国映連賞
日本映画作品賞
監督賞
女優賞(のん)
日本アカデミー賞
最優秀アニメーション作品賞
◆聲の形◆
なし
(映画賞以外では東京アニメアワードフェスティバル2017の作品賞劇場映画部門グランプリ)
◆ポッピンQ◆
なし
ブルーリボン賞を受賞したシン・ゴジラさん
いやー…終わってみたら2016受賞レース、シン・ゴジラvsこの世界の片隅に、の一騎打ちでしたねー…。
主要な映画賞ではもう、この2作以外は作品賞に選ばれてないんですよね。
監督賞でも上記2作が圧倒的に強く、他は毎日映画コンクールで西川美和(永い言い訳)、全国映連賞で李相日(怒り)くらいですからね。
共通するのは、見終わった後に誰かに語りたくなる・語らせるパワーがあったという事でしょうか…。
・枝野氏だからこそ語れる『シン・ゴジラ』のリアル -日経ビジネス
https://business.nikkei.com/atcl/opinion/16/083000015/090100004/
・石破氏「シン・ゴジラは全然、リアルじゃない」(前編)-日経ビジネス
https://business.nikkei.com/atcl/opinion/16/083000015/090100006/
・石破氏:ゴジラを攻撃した戦車はどこから来たか(後編)-日経ビジネス
https://business.nikkei.com/atcl/opinion/16/083000015/090600008/
会員限定だった日経ビジネスオンラインのインタビュー記事が、日経トレンディで全公開されたもの。
枝野氏は東日本大震災時の官房長官だったから、想定外の事態に組織がスムーズに機能しない部分を指して「リアルだ」と評し、石破氏は防衛族だから、現実の法律や部隊の運用を念頭に「リアルじゃない」と評した。
どちらの見方も正しいのだろう。
誰も、どうでも良いものを語ろうとは思わないですから。
× × × × ×
しかし!
よく考えていただきたいのは、日本アカデミー賞の授賞式に出席していた「シン・ゴジラ」チーム、樋口真嗣監督と長谷川博巳・石原さとみさんの組み合わせは、ほぼそのまま前年度公開の実写映画「進撃の巨人」チームですから!
よくよく見たら他の主要スタッフだって、音楽の鷺巣詩郎さんも特技監督の尾上克郎さんも、実写「進撃の巨人」から継続している布陣ですからね…。
これはもう、実写「進撃の巨人」が日本アカデミー賞を総ナメにしたのと、ほぼほぼ同じ事と言えるのではないでしょうか?
僕たちはリヴァイ…じゃなかった、シキシマ兵長を忘れません!
……。
…なんですか?
もしや私が、実写版「進撃の巨人」を推すためにトンチキな詭弁と虚言を吐いてるとでも?
あなた達の行為はレッテル貼りです!
印象操作です!!
限度を超えている!!
(※首相ごっこ)
◆ポッピンQ、受賞ならず…◆
えー…僕は大好きなんですけどね。東映アニメーション60周年記念映画「ポッピンQ」。
12/23公開なのに1/10頃には複数の大型映画館で公開終了してたり、最終上映の時点で先着順の入場特典がまだ配られてたり、レイトショーで観客4人だったりしましたが…。
あ、ここからしばらくポッピンQ語りに入ります。
・ポッピンQ 公式サイト
http://www.popin-q.com/index.html
一言で言うと“青春プリキュア”。
現実逃避を繰り返す卒業式直前の中学三年生の少女たちが突如、踏み込んでしまった異世界を救うため、そして自分たちの街に帰るために踊って戦う魔法少女(?)アニメで、全員が学校生活に何らかのトラウマや後悔を抱えてるわ、主人公は終始ムスッとしてるわ、メンバー同士あんまり仲良くできないわ…。
監督はプリキュアのEDダンス映像などを手がけていた宮原監督なので、ダンスの仕草や表情もあえて素人の女の子っぽく上手すぎないイキイキ感を出しておられまして。
そんなこんなで思春期入口に特有の青臭くてグツグツした感情も詰まってるんですけど。
彼女たちが自分自身の忘れ物にケリをつけて、各々が別の場所で卒業式を迎える…ってラスト(ではないのですが)が、青春くさくて実にイイ!
これ、おジャ魔女やプリキュアシリーズで育って卒業していったであろう中高生の(思春期以降の)女の子が見ると、どこかで忘れてたものが思い出されて、ジワッと熱くなる内容でありましょう。
でもでも、中高生のハイティーン層にはキャラのビジュアルが子供向っぽく見えるだろうし、かといって女児だったら本家プリキュア映画の方を見たいだろうし。
イマイチ、どこの層を狙ってるのか分からない映画になってる感はあります。
他には“バンダイに毒されてないプリキュア”として見る事もできると思っていて、困難を迎えた時、近年のプリキュアだったらCGのオモチャが光って解決してくれるような場面でもちゃんと自分たちの知恵と度胸でギリギリ乗り越えていくあたり、“子供だましにならないように子供向けアニメを作り続けていた”東映アニメーションのスタッフ陣のクオリティの高さを、プリキュアファンの30代男性会社員として感じてる訳ですよ。ええ。
だからどこの層を狙ってんだこの映画。
ポスターのキービジュアル第一弾。どうしても女児向けアニメのイメージが強い。
キービジュアル第二弾。こちらの方が引きつけたのでは…。
あ、年末にMXで(未完成のまま)放送された村上隆原作の「シックスハートプリンセス」特番を思い出しながら見ればどうでしょう。
東映アニメの人たちがパロディではなく真面目に(模造プリキュアを)作ったらこうなるんだぜ!…的な本家の意地を感じる事もできますんで。
よく考えたら、メディアミックスしまくてっても全然ヒットしなかったのに、東映はさらに発声&コスプレ可の応援上映会やっちゃうわ、アプリも始まっちゃうわ、本気で大丈夫なんでしょうか。
大ヒットした「君の名は。」「この世界の片隅に」が大がかりなプロモーションを使わずに口コミで広がっていったのに比べると、なまじ東映アニメ全力での大風呂敷の広げっぷりが白けさせちゃってイカンかったのではと思う次第です。
× × × × ×
あと、個人的には最優秀アニメ映画の「聲の形」ですが、もしTVアニメだったら私は正視できなかったと思います。
前半の回想いじめシーン、小学生がちょっとずつ悪ノリしながら、いざコトが起きれば誰もが「アタタシじゃないもん!」で逃げようとするジリジリとした嫌な感じ、これもまた忘れてたものを思い出してしまいました。
障害ある子を持つ母親がどうしても過保護になっていく姿も、とてもわかります。
フツーに見ると気分の重くなる内容を、観客に逃げ場なく見せる事ができるのは劇場映画の利点です。
そこから合唱曲「怪獣のバラード」をBGMにポンポンッと展開していく映像テンポの良さと、そして必ずしもスペクタクルの起きている訳ではない二人の心象を描いたクライマックスには、余韻がありました。
しかしまぁ、アニメ豊作と言われた2016年の中なればこそ逆に埋もれてしまったかもしれない、「ポッピンQ」にしろ「聲の形」にしろ、もうちょっと評価されてほしいんですが。
・秋葉原映画祭-AKIBA Film Festival
http://www.akibafes.com
上記の作品群が4/1~3に秋葉原UDXで、一部は応援・発声上映会の形式で鑑賞できるというイベント。
虚淵脚本でのアニメ映画化を知り驚くシン・ゴジラさん