ネットニュースや深夜番組が量産している安直なコスプレ記事とは裏腹に、コスプレイヤーのコミケ離れ・イベント離れはどうして起こっているのか。
 史上初の4日間開催となった2019夏コミc96ですが、コスプレイヤー登録数は最盛期の2015年から4年間で25%減という驚くような減少を見せているので、久しぶりの長文でこれを色んな方向から考えてみます。
 コスプレイヤーが参加しづらくなる何かの事象が起きているハズです。
コミケ_コスプレ推移2019夏GI
コミケ_コスプレ一覧2019夏GI
[追記1] 夏コミ参加者(入場者)におけるコスプレイヤー(更衣室登録)比率: 
2014夏 0.037
2015夏 0.041(最多回)
2016夏 0.039
2017夏 0.041
2018夏 0.034
2019夏 0.023(4日間)
※小数点4位以下切り捨て

データ引用元:コミックマーケット96アフターレポート -コミックマーケット準備会(2019.9.21データ公開)
https://www.comiket.co.jp/info-a/C96/C96AfterReport.html

【ポイント】
・コスプレイヤーの参加数=更衣室登録数は夏冬ともに2015年が頂点(夏2万2663人/冬2万9386人)で、その後はほぼ一貫して減少傾向を続けている。
・2019夏コミでは昨年比で開催日が1日増えて4日間開催、全体の参加者数が20万人増えているのに、コスプレイヤーの数は1600人減。最盛期の2015夏からは4年間で25%減
・この4日間1万6886人という数字は、コスプレの規制緩和の始まった2011夏コミの3日間1万7229人を下回っており、つまり「長物30cm以下・露出対策でボディタイツなど着用義務」だった時期までレイヤーが減っている。
・男性レイヤー数は近年ほぼ一定だが、女性レイヤー数の落ち込みが激しい。
・全国的に同じような傾向があり、土日開催だったイベントが単日開催になったり、前売券が完売しなくなっている。
・なおコスプレ撮影スタジオも新規オープンが減り、老舗や小規模店が閉店したりするので、下火になっている。
・ぶっちゃけ、コミケでも他の大型イベントでもコスプレヤーが減って、カメラマンが増えている傾向。

 …ハイ。
 「コミケは同人誌即売会だからコスプレは消えてもいい」と考える人も当然いるでしょうが、コミケットアピールに記された理念は時代に合わせて改定が行われておりまして。
コミケ理念新旧
旧)「基本的には同人誌、ディスクや電子媒体物などの展示即売会」
現)「コミックマーケットは同人誌を中心としてすべての表現者を受け入れ、継続することを目的とした表現の可能性を拡げる為の『場』である」

 2011年以降のコスプレ規制緩和と自己責任化を見るに、現在コミケとしては同人誌とコスプレを同等に扱う方針があります。
 もっと言うと同人誌にしてもサークル申込数は2010年を頂点として減り続けており近年はサークル申込数の公表自体が無くなってしまいましたが、本を発行しても赤字になってしまう弱小サークルの発表の場がピクシブやツイッターに移行している現状を考えれば、今はもう同人誌だけではない多様な表現の場をコミケが作ろうとしている事はうなづけると思います。

 コミケの抱える問題と他のイベントが抱える問題はまた別だったりもするのですが、常にコスプレイヤーにとっても最大規模だったはずのコミケでの減少理由を考えれば、他イベントの参考にもなると思います。
 コスプレイヤーから忌避される・もしくは新規参入を拒む何かの事象が起きている訳ですから。
 「減少」という一つの結果に対して複合的な理由があるハズなので、仮説ごとに考えてみます。
 ちょっと長文かつ、いつもよりさらに散漫です。10000文字。ヒマな時に読んでね。

【今回の目次】
・暑いから説
・イベント乱立で特別感が消滅した説
・学園やスポーツ系の軽装コス作品のブームが無い説
・規制や値上げの影響説
・オタクビジネスの多様化と公式2.5次元ビジネスとの競合説
・イベントの撮影会化で環境(治安)悪化説
・大人の事情によるプロコスプレイヤーブーム不評説
・本当は減っておらず、イベント参加が減っただけ説
■暑いから説→△
 この説、コスプレイヤー以外の人からは最もよく挙げられた説ですが、個人的には薄いのではないかと思います。
 なぜなら、冬コミでも同時に減り続けているから。
 気温だけ見ると近年確かに猛暑ですが、実際の開催日の気温を見てると毎年そんなに違わないですし、2016年以降で夏冬ともに減り続けている理由としては弱いです。
 ただし夏と冬を比べた時には、レイヤーは冬コミの方が2割程度多いです。これは夏コミが暑くてメイクが溶けたり接着剤が解けたり熱中症の危険があるせいでしょう。

 なお熱中症になりやすいコスプレって何を想像します?
 意外と甲冑や着ぐるみって倒れないんですよ。冷却シート貼ったり扇風機を仕込んだりと、暑さ対策してるんで。
 個人的に見てきた中で倒れてる光景を何人か目にしたのが「進撃の巨人」の皆さんで、シャツの上に合皮や麻の分厚い兵団ジャケット、首にスカーフ撒いてウィッグ被ったら、煙突にフタをするようなものですから。


■イベント乱立で特別感が消滅した説→〇
 確かに全国的に見てると最近は町おこしにサブカルを利用してコスプレイベントを併催するようなケースも多くなりまして、大型イベントが同日もしくは同時期にぶつかって食い合ってる状況があります。
 ただ、コミケに関しては同時期に関東でぶつけてくる大型コスプレイベントが皆無なので、考えられるとしたら他と競合してるというよりも、大型イベントの乱立と台頭(加えてスタジオ撮影からSNSでの写真発表の普及)による〝特別感〟の喪失かな?と思います。

 昔はコスプレできる機会そのものが少なかったのでコミケは圧倒的に〝特別〟なイベントでしたが、最近コスプレを始めた層にとってはそんなに特別な思い入れのあるイベントではないのでしょう。
 前向きに考えたら、コミケは圧倒的に特別なイベントではなくなったものの、全国各地に〝少しだけ特別〟なイベントが点在する時代になったとも言えるのです。

× × × × × 

 さて競合というより便乗ですが、TFTの〝となりでコスプレ博
は2002夏コミ時期から10数年も続く由緒正しい便乗イベントであると同時に、2010年まではコミケのコスプレエリアが屋上しかなかったので、あふれたレイヤーの受け皿としても機能していました。TFTホール内は冷暖房完備で、カメラマンも有料入場なので必然的に撮影者が少なくなり、変な集団に囲まれる心配も無いですから、コミケとのハシゴ参加組が大半を占めつつも、となコスだけ参加組のレイヤーも集客(あえて表現)できているでしょう。
 しかし減少期と言っても、となコスにレイヤーが流れている訳でもなさそうです。聞くところによれば、となコスの方はここ何年か参加者数に大きな変動が無いそうなので、コミケで減ったレイヤーがとなコスへと移行していた訳ではないでしょう。
 2019冬はとなコスが休止になるので、となコスから一部の参加者が移行してコミケ側のレイヤー数は増えるかもしれません…?

 またコスホリックに関してはコミケでは難しくなった18禁系のコスプレROM(同人AVだと思いますが…)を売ったり撮影会したりする年齢確認アリ即売会なので、コミケの受け皿としての意義はあっても競合する対象ではありません。


■学園やスポーツ系の軽装コス作品のブームが無い説→◎
 これらは軽装かつ集団化しやすいので総数を押し上げる効果があるのですが、そういった作品の大ブームがありませんよね。
 コスプレ登録が最多だった2015年を席巻した作品、覚えてますか?「刀剣乱舞」「おそ松さん」「ラブライブ」です。
 まだ「弱虫ペダル」「黒子のバスケ」「ハイキュー!」熱が残ってて、「刀剣乱舞」が年初から猛ダッシュして、「ラブライブ」映画化など女子アイドル作品のブームもあって、さらにそこへパーカーとジーパンだけでもコスプレできてしまう「おそ松さん」ブームまで乗っかってた訳ですから、そりゃー多くなります。
 以降、学園やスポーツ系で大きなブレイクが無く、「FGO」「第五人格」の凝ったデザイン、そして「A3」「あんスタ」「アイナナ」「ピプマイ」といった男子アイドル系だと衣装を作るハードルがやや高いので、一気に増殖しない。

 ここ、コスプレイヤーとそれ以外で認知の差が生まれる部分なので解説しますが、コスプレで一番多いのは〝女性人気の高い作品の男子キャラ〟女性による男装表現です。少年漫画や乙女ゲームの男子キャラを男装で表現する訳ですね。
 ただし、彼女たちはコミケのコスプレエリアにはあまり行きません。
 コスプレエリアで列や囲みができるのはコスプレのクオリティよりも“カワイイ・エロイ”です。
 カメラマンは男装した女性レイヤーに対して、列を作ることは殆どありません。まとめサイトでは取り上げません。ニュースサイトも取材したがりません。
 別に不特定多数から撮られたい訳でも囲まれたい訳でもなく、彼女たちはコスプレエリアに行くよりもサークルブースを回って押しキャラの本を買い漁ってファン同士で交流を深めるタイプです。
 なのでコスプレで最多数であるところの男装レイヤー(♀)は、コスプレエリアやその取材記事だけ見てる人には認知されない傾向があります。
 ネットニュースのコミケ記事や「野良カメコのピラミッド」(個人的には愛読)だけ読んでコスプレを知った気になっちゃいけません。
木を見て、森を見ず。


■規制や値上げの影響説→△
 コミケでは2011年以降、コスプレに関して大幅な規制緩和路線へと舵を切りました。
 コスプレを同人誌と同じく〝表現〟として位置付け、露出や武器類について規制緩和する代わりに、スタッフからのサポート(更衣室前の相談所など)を減らして自己責任とした訳です。
 それが露出系の衣装に対する再規制の動きが出たのは2017冬コミ。暗に会場の東京ビッグサイト側からの要望で、下着に思われるような衣装はエントランスや庭園エリアでは不可となり、また移動時に公道を歩く際にはマントなどを上から羽織るように求められました。
 これは露出系レイヤーとローアングラーの皆さんの出現場所が(ビッグサイト管轄ではない)防災公園エリアに移っただけで、全面禁止になった訳ではありません。
 2017冬コミ以降に再規制が入った後のルールでも、2010年までの「長物30cmまで・露出対策でボディタイツなど着用義務」時代よりかはよっぽど緩和されてるのですが、もう、その規制緩和以前の人口までレイヤーが減ってしまってるので規制云々の問題じゃありません。

 面積的には献血や防災コラボイベントにより防災公園が開放され、コスプレエリアが過去最大の面積となった2016夏コミから減少傾向が始まってるので、広さの問題でもなさそうです。
 
 更衣室登録料は2016冬コミから東8ホールにも女子更衣室が増床された代わりに800円→1000円に値上げ。そして2019夏コミからはリストバンド込みで+500円。
(ただしリストバンドはサークル参加やカタログ購入者には付いてくるので新規購入不要)
 他のコスプレイベントだと現在2000~2500円がザラなので、若干影響はあると思われますが、大きな影響とは考えにくい。コミケのコスプレイヤーは平均年齢が高めなので、数百円単位での値上げでは大きな問題にはなりにくいでしょう。

 ただコミケの構造的な問題なのですが、同人誌即売会としては変更点などあるとあらかじめ他の即売会…コミック1やコミティアなどで試験運用しているのですが、コスプレ関連に関しては変更点があっても提携イベントが無いので試験できず、割とぶっつけ本番になってる節があります。


■オタクビジネスの多様化と公式2.5次元ビジネスとの競合説→◎
 昔はオタ活動といえば同人誌作るかコスプレする位しかありませんでしたが、今は企業によるオタク向けビジネスが発達し、特に女性向けにおいて多様化しています。
 とりわけ2.5次元ビジネスの隆盛と競合(財布の中で)も関係あるのではと推測します。


 ぴあ総研の資料によると、2.5次元舞台は2016年以降の動員数が年間で約2~3割ずつ増加しています。現行の2.5次元舞台の主要な客層がオタク女性である事を考えれば、時期も客層もコスプレイヤーの層と合致します。
 つまり、今まではあこがれのキャラを3次元で具現化しようとすると自分たちで作るしかなかったのが、公式のビジネスでプロの俳優や演出家による高レベルの舞台が継続して上演されるようになった訳です。
 もちろん2.5次元舞台とコスプレは精神的には別物ですが、客層と財布は被ってますから、あっちを追いかける事に資金と労力を費やすとこっちをやる資金や労力は相対的に減ってしまいます。

 他にも公式の2.5次元ビジネスといえばコラボカフェや声優のライブなども非常に盛んですね。そしてそれらを追っかけたり限定グッズ争奪戦には資金と労力が必要です。
 個人的にフォローしているレイヤーのアカウントも、時間の経過とともに舞台感想やグッズ取引アカと化していくケースがあって、2.5次元ビジネスによる侵食が進んでいるように見えます。
 それはそれで幸福なのですけど。


■コスプレエリアの撮影会化で環境(治安)悪化説→◎
 ブルーギル入れすぎてメダカ絶滅みたいな。
 世の中がコスプレイヤーに求める商業的な価値ってのは、キャラに似てるとか衣装の作り込みがすごいとかじゃありません。
 繰り返しますが商業的に求められてるのは〝カワイイ・エロイ〟です。
 露骨な商業主義は嫌がられます。
 美人のセクシー衣装が注目を集めやすいのは大昔のトゥナイト2時代からそうなので仕方ないのですが、近年は大手企業が続々とネットニュース事業に参入した結果、コミケで美人・セクシーなコスプレイヤーを大量に取材すれば、タダみたいなコストでPV稼げる記事が作れるという事に気付いてしまいました。
 結果、2016年ごろから一気に芸能系ネットニュース取材が増大しますが、何せ対象がPVを稼げるような女性レイヤーに偏りまくっています。
 木を見て、森を見ず。

 さらにこれによって起きたのが〝押しキャラよりも自分の売り込みが優先のコスプレイヤー〟〝コスプレを撮りたいのではなく女性の身体を撮りたいカメラマン〟の、今まで以上に急激な流入です。
 グラドルやコンパニオン写真を撮り回ってた人たちが、より安価に撮影できるコスプレイヤーにも目を向けてしまった。

 振り返れば2013年ごろからデビュー前のAV女優や地下アイドルによってコスプレエリアが利用される傾向はあったのですが、近年特にタレントのプロモーションの場としてコスプレエリアが利用される例なども散見されまして、結果的に長い列や囲み撮影がステータス化し、コスプレエリアが埋まってしまいます。
 そしてそれらに群がったカメラマンというのはコスプレではなく女体を求めてる層ですから、どうしても被写体以外のレイヤーを邪魔者に扱ったり荷物を踏んづけたりローアングラー化もしやすいので、環境が悪化して元々いたタイプのコスプレイヤーは参加しづらくなってしまった…という説です。
 結果ますます、コスプレイヤー減って、カメラマン増える。
(コスプレイヤーが「痴女を一緒にするな!」ってよく言ってるように、カメラマンだってローアングラーや不心得者と一緒にされたくないだろうさ…)

 そもそもコスプレエリアってのは撮影目的もあるけど、元は交流というか〝たまり場〟みたいなものでした。
 デジタルカメラが普及する00年代中期まではアナログフィルムの現像にお金がかかるのでそんなに何百枚も撮れなかったんですね。
 高度なデジタル一眼が普及してくるのが00年代後半で、以降はコスプレイヤーよりもカメラマンの方の人口増大の方が顕著になっていくのですが…近年は上記のような事情があって、特に一般的なコスプレイヤーから見ると怖がられるタイプのカメラマン(コスプレを撮りたいのではなく女性を撮りたい)が増えすぎてしまったので、忌避された節があります。

 コスプレイヤーって皆が皆不特定多数のカメラマンから囲まれたい訳じゃないんですよ。分かる人だけで楽しみたい・同好の志を探したいってのが主流なので。
 長大な撮影列や巨大な囲みを作る事が(ネットニュースなどのメディアで持ち上げられて)一種のステータス化されちゃってるのは、違うんじゃないかなーって思います。〝悪い〟ではなく、〝違い〟の話です。

25_自堕落レイヤーと内と外の需要
そろそろ記事の半分を超えた辺りですよ
× × × × × 

 さて囲み撮影のステータス化・プロモーション化の話で避けられませんから、えなこ嬢の話をしておきます。
 彼女を取り巻くカメラマンの巨大な囲みが恰好の写真ネタになりつつあるのですが、この巨大な囲み、作られるにはちょいとした仕掛けがございます。
 別にエキストラ雇ってヤラセしてるとかじゃないです。現地にいる人ならば知ってる事なので秘密でも何でもないのですが。

 あの囲み自体は一日中ずっとあるものではなく、あらかじめ時間帯指定をして、事務所の人やよくできたファンの方々が仕切る形でカメラマンの輪を作っておいてから本人が登場し、短時間しか出現しないものです。
 が、彼女の囲みの特異性は輪が最大化したシーンに取材を入れる事で、これを(主に事務所や広告代理店が)プロモーション映像として利用している部分です。
 もし彼女が2,3時間コスプレエリアに出てるタイプだったらば、囲んで撮影するカメラマンは少しずつ入れ替わっていくので輪は巨大化しません。
 他にもフォロワー6ケタ台のコスプレイヤーは存在しますが、仮に彼女の半分のフォロワー数がいても半分のサイズの囲みができる訳じゃないんですね。他の人たちはもうちょっと長い時間コスプレエリアに出ているので、撮影者が順次入れ替わって、そこまで囲みが巨大化しないのです。
 2019夏コミで言えば小林弁護士の烈海王とか寅さんの車寅次郎とか、彼女よりも多く撮影されたり情報拡散されたであろう人は複数存在するのですが、撮影希望者を短時間に集約して巨大な輪を作る事で彼女のステータスとプロモーションになってる訳ですね。

 これは同人誌で言えば限定本サークル(部数や販売時間帯を絞る事でプレミア感を煽る)のようなものなので、別にルール上は禁止ではありませんし悪い事じゃありません。
 しかし、そうやって作られた巨大な囲みのインパクトを利用して、ネットニュースや深夜番組でコミケ名物だのコスプレの象徴として持ち上げる(持ち上げさせる、か)やり方はどうにもおかしい。本人じゃなくて事務所や広告代理店やメディアが嘘つきなのですが。
 週刊誌のえっちなグラビアで活動してる人をタダで撮影できるとあらば、カメラマンはたくさん来ます。でもそれがコスプレの価値か本質かといえば、違うでしょう。彼女は別にコスプレの第一人者ではありません。
 これは〝悪い〟ではなく、〝違い〟の話です。

 あの囲みも元々は屋上エリアでやっていたものが通行の妨害になるので2016年の防災公園開放とともに移行したのですが、その際ゾロゾロと集団で移動すると通路を塞ぐのであらかじめ輪を作っておく形式になりました。安全性や効率化の産物ではあります。現在はえっちな衣装は商業媒体以外ではしていないので露出度は低めになっていますが、彼女が自作衣装を披露する限られた機会でもあります。

 好意的に書けば、巧みだな、効率的だな、と。
 少し悪く書けば、あざといな、えげつないな、と。

 んで、別に元キャラに似せてなくても容姿アピールのためのコスプレも表現の自由なんだから、それはそれでいいんです。悪くはないんです。
 えなこという存在を虚飾するために嘘と誇大広告を並べてしまうのは事務所と広告代理店、メディアでの取り上げ方の問題です。

 ただ、彼女を囲んだカメラマンの皆さんって、その後すぐ帰宅してくれる訳じゃないので。
 彼女の囲みは仕切る人がいるから整然としているけれど、散会後は防災公園内で他のコスプレイヤーの囲み撮影がバラバラに始まります。そして仕切り人は誰もいない…。
 囲まれてる本人のせいではないですがどうしても〝コスプレを撮りたいのではなく女性の身体を撮りたいカメラマン〟、もっと言うと〝無料グラドル撮影会に来たつもりのカメラマン〟の割合が多いですから、問題が起きやすくなるというアレ。
 別に囲まれたい訳ではない他のコスプレイヤー女子からしたら、そこには怖い状況が発生する訳です。
(中にはこの前後したタイミングで囲まれたいレイヤーが露出多めの恰好で防災公園に行ってるのも事実なのですが)

× × × × × 

 閑話休題。
 交流の余裕なく撮影会になってしまいつつある現在のコスプレエリアには、それも誰かが望んだからこうなってるのだとしても、あまり良い傾向ではないでしょう。
 もちろん囲まれる楽しさもあるというのは、自分自身がネタ系や着ぐるみで目立ちたがるタイプでもあるので、少しは分かっているつもりです。
 個人や同人レベルで活動するなら、エロ衣装だろうが捏造アレンジだろうがネタコスだろうが、ルール内であらばお互いに全て許容されて然るべき。
 カメラマンだって撮りたいものを撮る自由がある。
 それらの自由は裏返せば、自分が何か尖った表現をした時にも許容してもらえるという担保になるからです。
 しかしそれが今や同人ではなく商売っ気丸出しのタレント事務所や代理店含みでプロモーションの場になっているとなれば、食い荒らされているようにしか見えませんが。
 各々が自由を行使した結果、弱い立場の人間が参加しづらくなってしまってる現状はやはりあると思います。
 どうしたら良いかは正直分かりません。

DSC08325防災公園ワイド
特に本文とは関係ない防災公園の一コマ


■大人の事情によるプロコスプレイヤーブバブル不評説→◎
 これはコミケの外で全国的に起きた事で、上の話から少々つながりますが。
 例えば、eスポーツから生まれたプロゲーマーって、割とゲーマーから受け入れられてるじゃないですか。
 でも、コスプレから生まれたプロコスプレイヤーって、割とコスプレイヤーから受け入れられてないんですよ。
 だってコスプレのクオリティの高さじゃなくて、容姿の高さでのヒエラルキー築いちゃってる訳ですから。木を見て、森を見ず。

 さて。
 今現在あらゆるメディアで起きているのはコスプレブームではなくコスプレイヤーブームです。
 企業主導で容姿に優れたコスプレイヤーをモデルやタレントとして売り出そうとしているのが実態です。
 コスプレの楽しさを伝えてる訳じゃありません。
 そもそもコスプレ業界の人が仕掛けたブームじゃありません。
 注視している人なら気付く事だと思いますが、プロコスプレイヤー云々を積極的に持ち上げてきたネットニュースや、WEB広告に使ってきた企業って、よく見るとだいたい特定の大手広告代理店に近い筋だったりします。
 つまりそういう事です。なので、今後しばらくは止まりません。
 神輿の飾りがすげ変わる事があっても、神輿の担ぎ手は変わらないですから。
 だから露骨な商業主義は嫌がられるってば…。

 しかしゴリゴリにゴリ押しされた割には、誰もタレントとしては定着せず…。
 あえて誰とは申しませんが、企業プッシュで一時は各局の看板バラエティ番組やWEBアニメ声優やアニサマで新曲披露といった大チャンスを与えられた人も、容姿以外の演技やら歌やらトークやらの芸能スキルを磨く訳でもなかったので、ほぼほぼ一発きりで二回目のオファーに続きませんでした。結果、週刊誌での下着グラビア路線で定着しつつあります。

 企業広告としても、本当にお金持ってる企業はコスプレイヤー使うくらいなら全国区の有名なタレント呼んできてコスプレさせた方が早いしアピール力も高いって気付いちゃったので…。
 ひたすら週刊誌のグラビアに半裸のコスプレイヤーが重用される流れが確立しつつあります。
 とても〝コスプレのプロ〟なんて呼べたものではございません。グラビアアイドルやコンパニオンを低コストで代替えしたのが実態です。
 ちょっと!これじゃプロコスプレイヤーじゃなくて、エロコスプレイヤーじゃないの!?

 結局、悪い大人たちが大人の事情をムキ出しにしつつ、コスプレ村の住人に対して強引に貨幣経済…じゃなかった容姿による価値判断を押しつけては、若い時分だけ使い捨ててしまってるビジネスがまかり通ってる訳でして、反面、若年層にとってはコスプレそのものにハードルを感じたり、ずっと活動してきた人も冷めてしまう。

 名もなきコスプレイヤー(これがコスプレ文化の主役)から見たら、版権回避で業者製のオリジナル衣装から太ももやヘソをチラチラさせたプロコスプレイヤーが、「日本一」「あこがれの的」と虚飾に満ちたキャッチフレーズで喧伝され、しかしコスプレの技術も見識もなく、芸能スキルも持ち合わせてないのでひたすらお金と美容の話を連呼する光景が繰り返されてしまった訳で…そりゃイヤにもなるわ!

 これらプロコスプレイヤー現象がネットニュースや深夜番組でことさら強く喧伝されるのは2016年頃からなので、同じ時期からのコスプレイヤー減少期とはほぼピッタリ重なっていますから、偶然ではないでしょう。相関関係か因果関係かは意見分かれると思いますが。


■本当は減っておらず、イベント参加が減っただけ説→?
 最後に希望がなければ…と思いまして、本当はイベントやスタジオ利用者が減っただけで、コスプレイヤー総数はそんなに減ってないんじゃないの?と調べたところ、直接の数値は出てこず。当たり前だ。

 曰くつきですが矢野経済研究所の資料によれば、最盛期は2015年で423億円とされた「コスプレ衣装」の市場規模は、2017年に350億円程度まで下がっています。
 2015年を頂点に2年で10数%減は、コミケのコスプレイヤー減少期とほぼ時期も割合も同じですから、完成品の公式衣装そのものが以前より売れにくくなってるんですね。
(矢野経済研究所の調査方法って、年間個人消費額はWEBアンケートで出すのでアバウトながら、市場規模は(株)コスパを含めて企業相手に調査してたりするので、数値はインフレながらも毎年の増減傾向くらいは分かる)

 体感としては、一生のうちにどこかでコスプレを経験する人は増えてる筈です。安価な衣装がパーティグッズとして発売されるケースも増えましたし、宅コスや学園祭やハロウィンでコスプレを経験する人も増えているでしょう。
 ただ、そこから継続して活動する人や、積極的にイベント参加する方向へはあまり繋がっていない…。
 
× × × × × 

 少しだけ希望があるのは、地域によっては中小規模のイベントにコスプレイヤーが戻りつつあるという話を聞いた事でしょうか。
 コミケみたいな大型・複合型イベントは更衣室が大変に混むし、半裸のお嬢さんが長い列や囲み作っちゃうし、群がるカメラマンも女体目当ての変な人が多くなっちゃうし、TVやネットニュースの取材とかリポーターからのイジリとかもちゃっと勘弁してほしい…みたいな人の足が中小規模のイベントに向かいつつある、と。
 規模が小さいとやっぱり参加してるコスプレイヤーもカメラマンも〝分かってる〟人同士なのでトラブルも起きにくい。
 静かに、まったり、分かってる人だけで楽しみたい人からは大型イベントが忌避されて一部が中小規模のイベントに向かうのって、同人誌にもかつて起きたオンリーイベントブームみたいな傾向かもしれません。


■まとめ:できる事は何でしょう??
 ハッキリ言うと起きてる事象の解説はできるけど断罪する立場じゃないから、どうすれば解決するかまでは分かりませんが。
 大きな流れの中で個人ができる事なんてたかが知れてます。
 まず重要なのは一つ。
 〝続ける事〟しかありません。コミケであれ他のベントであれ。まずコスプレが好きなら続ければいいんです。列が出来なくても、囲まれなくても何ら構わない。

 コスプレイヤー減少期が必ずしも不幸だけとは言い切れませんが、2.5次元舞台を追っかけたいとか結婚出産とかでコスプレから去っていく人は他に幸せがあるのだから何ら構わないですけど、それ以外の後ろ向きな理由で去っていくのは勿体ないよ?と僕は思っています。

 とにかく、続けてみる。
 上でも書きましたけど、個人や同人レベルで活動するなら、エロ衣装だろうが捏造アレンジだろうがネタコスだろうが、ルール内であらば全て許容されて然るべき。
 裏返せば、自分が時事ネタとか社会風刺で何か尖ったコスプレ表現をした時にも、批判されつつ存在を許容してもらえるという担保になるからです。それしかない。
 その上で、弱い立場の人間が阻害されない、表現の機会がどう担保されるべきか考えていかないといけません。
 悪い大人による悪いビジネス利用の流れがあるとして、咎められるべきは神輿の上の飾りではなく、神輿を担いでる人間なんですよ。
 
 されど盛者必衰なので。悪い大人たちが今のポジションを永遠に維持できる訳もないですね。
 いちレイヤーとしてはこの趣味を可能な限り続けて、そしてこれまでのバブルに踊り狂った人たちがいずれ迎えるであろうカタストロフを見届けてから、この星を去りたいです。
 


[次回更新は「防災公園のカオス化」について書いてみたいです希望!]

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