毎年恒例のコスプレイヤーズアーカイブが選ぶ10大ニュース座談会の2019年版が公開されましたが、まるで読まれていません!
 せっかく良い資料なのに、前編の公開から2週間で1300ビューという状況に勿体なさを感じ、勝手に拡散に協力します。
 どちらかというとコスプレイヤーよりもその周辺のオタク向けビジネスに興味ある人の方が興味持っていただけるかもしれない。

・アーカイブニュース編集部が選ぶ2019年コスプレ界10大ニュース(前編)
https://www.cosp.jp/news.aspx?id=579
・アーカイブニュース編集部が選ぶ2019年コスプレ界10大ニュース(後編)

 これまではカイブの本拠地が名古屋なので、参加する業界関係者は同じく名古屋に本社がある世界コスプレサミット事務局スタッフや中京地区のイベンターの方々くらいだったのですが、この2019年版からは東京開催でコスプレビジネスに関わる業界の方々(私は違いますが)を多く参加させたところ、貴重なお話が連発した代わりに「この件は書かないでほしい」も多々発生してしまい、編集上かなり削られたり、あるいは発言を別の人に置き換えて再構成されたりしています。

 また、ビジネス視点でコスプレに接する人の話が多いという事は、裏返せば一般的な趣味人としてのコスプレイヤーから見たら「知らんがな」という部分も多くなっているとは思います。

 以下、ザッと項目ごとに紹介するので、興味ある部分だけでも本文に飛んで詳しく読んでいただければ。
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1位「鬼滅の刃、第五人格、ヒプノシスマイクがブーム」
https://www.cosp.jp/news.aspx?id=580&p=8
 アニメ終盤の秋口から一気に増えた「鬼滅」。いまや大型イベントではどっちを見渡してもあの市松模様が目に入る。もっとも、露出度の高い女性キャラがいないのでネットニュースだけでコスプレを見てる人には認識されないだろうが。
 「第五人格」だけこの場にいた誰もプレイしていなかったので、本当に流行ってるのだろうか…?コスモードは第五人格のキャラ設定画(+おすすめ生地)を特集した所、一時アマゾンで売り切れになるなど好評だったとか。私もこの号は書店2軒目を回って買えた。

2位「コスプレイヤーの活躍の場、商業化が更に広がる」

https://www.cosp.jp/news.aspx?id=580&p=6
 乾さん(Cureワーコス管理人だけど今回は一人の爺ぃレイヤーという肩書で参加)の話で「コスプレイヤーをコンパニオンに使う事の潮目が変わりつつあって、レイヤーのギャラが上がってしまった事と、コンパニオン側でコスプレに対応できる人が増えてきた事で、競合するとプロのコンパニオンとしての教育を受けてきた人の方を使うようになりつつある」。
 大門さん(コスモード編集統括)の話では企業からコスプレイヤーの紹介を求められると、とにかくSNSのフォロワー数の多さばかり求められてしまうので(例:セクシー画像でフォロワーを増やした人が女性向けコスメのPRイベントに呼ばれて不幸な事になったり…)、カイブとコスモードの協業で始めたのが「コスプレキャリアバンク」
 これは昨年、コスモードのアカウントで『コスプレイヤーは仕事で評価されるべき!』などというトンチキな告知ツイートに私がツッコんでいた事があって、正しくは『企業から仕事を振るなら単にフォロワー数だけでなく、その人のスキルや経歴を見てほしい』という意味合いだったらしい。
 「駄チワワさんは穿った見方をし過ぎ」と注意されたので、反省する。
 あまりにも反省したので、2018年にカイブが始めた求人サービス「コスジョブ」が開店休業状態になってる事は蒸し返さないでおこう。 https://job.cosp.jp/enter.aspx

3位「TikTokやYouTube動画の人気がジワリ」

https://www.cosp.jp/news.aspx?id=580&p=5
 ようつべ(という略語すら既に使われてないかも)だとレイヤーではなくカメラマンの撮影したカッコイイ動画とかありますよね。

4位「池袋ハロウィンコスプレフェス大盛況」
https://www.cosp.jp/news.aspx?id=580&p=4
 ドワンゴ主催、ハロウィンの定番イベントに。2019年は小池都知事のコスプレ出演は見送られたのが惜しまれる。
 主催者発表では12万人とされているが、これは有料参加者以外にも池袋東口公園や付近の一般客も含まれた数字だと思われる。サンシャイン通り一帯を使っているので通常の週末でも数万人単位の人手はあるだろう。
 文中では詳細は略されてるものの(発言者の希望により)、コスプレ・カメラマン登録の有料参加者数も増えているとの事。
 実際に現地にいた参加者の話だと「一時期よりレイヤーは減っている」という声が上がっているのだけど、どうなんでしょう。

5位「Claps!リリース。コスプレイヤー・オブ・ザ・イヤー初開催」
https://www.cosp.jp/news.aspx?id=580&p=2
 コスプレSNSは広告主体のモデルがすでに破綻しているそうなので、そこに代わるビジネスモデルの手段としてカイブが「推しレイヤー応援アプリ」としてリリースした「クラップス」の話。
・女性レイヤーによる女装
・女性レイヤーによる男装
・男性レイヤーによる女装
・男性レイヤーによる男装
 …の4つの部門に分かれており、あくまでピン写真のみ対象で友人との集合写真などは投稿できないため、純粋なコスプレ画像投稿アプリではなく、コンテストやモデル募集に特化している。ファンはクラップ(拍手)を贈る事ができ、これがランキング変動に繋がる。
 ぶっちゃけモデル募集等の商業的な需要は〝女性レイヤーによる女装〟のみに集中しているのだが、その利益で他の3つの部門を維持しているというのは、カイブが運営するからこその「カワイイだけがコスプレじゃない」という方針
(文中では管理人の吉田さんが「僕たちなりの誠意」と表現している)

 んで。
 そのカイブのクラップスを一次予選、ドワンゴのニコ生アプリを二次予選として用いたコンテスト「コスプレイヤー・オブ・ザ・イヤー」
決勝審査が池袋ハロウィン2019で開催されていたものの、〝コスプレ界の来年の顔を決める〟なんていう変なテーマ掲げてしまい、このコンテストを知っていた人ってどれぐらいいただろうか…。
 結果的に見ればコスプレを建前にしたハダカ要員ではなく、ちゃんと〝コスプレイヤー〟を選んでくれた事は誠意と好感が持てる。とりあえず初回テストケースとしてやってみて、軌道修正しながら続けていけば良いのかな、と。コスサミの予選も最初の方は素人演芸大会でしかなかったし、続けながら形を作るしかないでしょう。

 吉田さん曰く「これからの「人気コスプレイヤー」「有名コスプレイヤー」っていうのは、自然発生的に生まれるものでは無く、一部の大企業やメディア達が自分達に都合の良いように作り出していくものに変化していくはず。そんな時代に向けて、全てのコスプレイヤーが平等に参加出来るようなコスプレ界の総合的なアワードが必要」という発想。

 ワーコスでコスプレイヤーオブザイヤー2020レポ記事 http://info.worldcosplay.net/ja/archives/25643
(コスプレ業界8社連名でやったハズのコンテストのレポが、ワーコスとニコニコニュースしか記事化されてない辺り、その話題性はお察しください)


6位「ワンピースコスプレキンググランプリ開催」
https://www.cosp.jp/news.aspx?id=580&p=1
 近持さん(元コスサミ事務局)のお話で、東映アニメーションの協力で実現。
 世界規模で出場者を募り、各国から最終選考に残った計20名が、世界コスプレサミット内のステージに集った。単一作品の公式コスプレコンテストとしては過去最大ではなかろうか。空港で出場者の武器が一部没収になるトラブルもあったとか。
 コスサミはメイン企画のチャンピオンシップ(38カ国代表チームによるパフォーマンスでの世界一決定戦)で集英社作品を禁止したままなのだが、おかげで派生企画としてのワンピGPと棲み分けが可能だったかもしれない。
 そういえば、10年くらい前まで集英社、特に少年ジャンプ系は「コスプレ」という単語や企画に対しての拒絶反応が強かったハズですが、ここ数年は違うんですねぇ…偉い人が変わったのかしら?子会社に出向した?キャラメルマンにでも改造された???

7位「世界コスプレサミット東京初開催」
https://www.cosp.jp/news.aspx?id=579&p=9
 名古屋の奇祭を東京にも出張開催。会場は東京ドームシティだったが、7月末の台風直後もあって正直、イベントの参加者はガラガラだった。
 38の国と地域の代表チームが(大道具の運搬が必要な)パフォーマンスではなくランウェイを披露し、外国人の本格的なコスプレチームを始めて見たであろう観客は盛り上がった。決勝のチャンピオンシップ(世界一決定戦)は例年通り翌週の名古屋で行われた。
 10年かけて大きくなったイベントをいきなり東京に持ってくるのは不可能なので、時間かけて育ててほしい…と思ったら2020年は東京五輪と被ってしまうので東京での開催は難しいとの事。

8位「コスプレパフォーマンスがコスイベに浸透中」
https://www.cosp.jp/news.aspx?id=579&p=8
 アニメイトが開催していたアニパフォ!、Cureワーコスが開催していたCureCosplayCollectionの定期開催が消滅したものの、全国各地に小規模なステージイベントが生まれていった事で一大ジャンルを形成しつつある。元々日本のコスプレは最大手のコミケでパフォーマンスが禁止されていた経緯もあって静的表現が主流だったのだが、ここ10年くらいで動的表現が広まっていった。
 文中で言い忘れたが、Cureが最初に汐留のイベントでステージをやった時、私は同じ会場でコスプレしてたのである。しかしどうも場違いな空気があってステージには近づかなかったので、それが乾さんの言う「初回は観客ゼロ」の理由でもあるので、運命的なすれ違いを果たしていた。

9位「コスプレイヤーを描いた漫画が増加」
https://www.cosp.jp/news.aspx?id=579&p=6
 その割にコスプレイヤーに〝刺さる〟作品が少ないのは、男性作家が描くのが基本的に男性視点で理想化されたコスプレイヤー像なので、地味な女の子が恥じらいながら露出の多い衣装やフリフリ衣装を着る…みたいな、実態とはかけ離れたキャラが多いせいでは。

10位「マレーシアで二度にわたり日本人コスプレイヤー拘束」
https://www.cosp.jp/news.aspx?id=579&p=5
 3月と6月に起きた、マレーシアのオタクイベントでの日本人ゲスト拘束について。
 海外イベントでゲスト出演も多い乾さんから、注意点など。
 繰り返すがあくまで拘束であって逮捕ではない。予期せず当事者となった彼女たちは前科者ではないのである。


次点「コミケ史上初の4日間開催、となコス休止へ」
https://www.cosp.jp/news.aspx?id=579&p=3
 読んで字の如く…。日数は増えたがコスプレイヤーは昨年比で減っているという事は当ブログの前記事参照。五輪が終わったら帰ってくるのか。

次点「MODEがサービスを終了。Cosplayers.Global休止」
https://www.cosp.jp/news.aspx?id=579&p=2
 コスモードが運営したアプリの「MODE」が終了、コスサミが運営した多言語SNS「コスプレイヤーズグローバル」が休止。
 SNS、特にコスプレSNSはとっくにツイッターやインスタに取って代わられてしまってるので、広告主体のビジネスモデルは破綻しているとか。
 PC時代だととにかく機能を多くしてゴチャゴチャしてる方が人を呼べたのが、スマホ時代だとそれでは見づらくて、機能ごとに特化したアプリ主体になっていったのが大転換だったという。じゃあどこでユーザーに課金してもらうか?…という答えは、5位のクラップスにあると思われる。

次点「NHKねほりんぱほりんにコスプレ特集」
https://www.cosp.jp/news.aspx?id=579&p=1
 2019年1月放送。当初予告では「コスプレイヤー」だったが、直前に「とあるコスプレイヤー」に変更された。
 オレンジさん(仮)の語る半生はかなりエキセントリックな内容だったが、コスプレに関する部分はストイックな姿勢に共感できるという人も多かった。
 ちなみに座談会に参加してる姫崎さんは、2018年の夏コミではスク水で「今日これでシコる人ー?」と呼び掛けてローアングラー騒動を起こしたり、この「ねほりんぱほりん」ではプリンセスさん(仮)として「目立ちたい。チヤホヤされたい」と正直に語っていた人ですよ。あれだけやらかしててまだ未成年だからね…。

 
■いつになくカットされた部分が多いので!
 ったく!私が心を込めて放ったギャグがまるっきりカットですよ。
 コスプレ業界の方々を「反社」(反社会的勢力)と呼んだり。
 クラップスの始めたパーティ企画を「名前からして覚せい剤パーティ」と決めつけたり。
 あげく最後の方は「来年の〝桜を見る会〟にこの中から誰か呼ばれるかもしれませんね」と締めようとしたら某氏に「僕、自民党を応援してないんで…」と真面目にツッコまれるなどという輝かしい部分が陽の目を見なかったので、ヘソを曲げます。

 もとい。
 あくまで多々の発言を再構成して記事化しているのでカットされる部分があるのは当然ですし構いません。
 しかし自分の発言部分に関してはここで自分の責任において再掲やフォローを入れるのもアリだと思うので、そうしてみます。

 例えば2位のプロコスプレイヤーに関する部分、
「個人的にはプロコスプレイヤーが盛り上がったのは2018年がピークだと思います。複数の民放がえなこさんを同時期に(ゴールデンやプライムタイムの看板番組で)取り上げたり、夏にはコカ・コーラのCMに五木あきらさんが登場したり」
 この後カットされている部分ですが、現場では続けて
『だからといって、彼女たちがそのポジションで定着したのかといえば、そうではなかった』
 という発言を挟んでからの
「コスプレから芸能分野に進んで継続できる人って、結局のところ「コスプレ以外にスキルを持っている人」なんです。」
 へと繋がっておりますが、記事だと吉田さんの『マスメディアに出演する以外にも、お仕事の幅や裾野が広がっているように見えます。』というフォローが挟まれているので、若干ニュアンスが伝わりにくいかなと。
 本当はこの辺、もうちょっと発言がゴチャゴチャしてるんですけどね。

 というように幾つか再構成されてるんですが、まぁ別にこれくらいは誰がやっても改変あるよね。180度変わってる訳でもないのでOK,OK。

 
■厳しい時代は続きます
 前にも書きましたけど、今起きてるのはコスプレブームではなくコスプレイヤーブームで、芸能事務所や広告代理店といった企業主導で、容姿に優れた特定の人たちをモデルやタレントとしてプッシュするのが目的であって、趣味としてコスプレそのものの楽しさを伝えたい訳じゃないんですね。

 だからTVでコスプレイヤーを取り上げる番組が増えたからってコスプレ業界の人たちに何か特別なリターンがある訳でもなく、それよりもずっと速いスピードでコスプレイヤーの雑誌離れ・SNS離れ、あるいはイベントの淘汰は進んでいってしまうという。
 
 上記の2位の辺りの発言って一連のプロコスプレイヤーブームに対して各人の温度差が見える部分で、カイブの吉田さんはこの中で最も肯定的に捉えてる人で、私は最も否定的に捉えてる。
 他の人たちはコスプレビジネスに関わってる立場でも、迂闊に乗ると炎上するので(もしくは炎上したので)濃淡はあるけど様子見してる部分もあるのかな?と思う。

 コスプレビジネスに関わる人の中でも、コスプレイヤーとしての経験のが有るか無いかで感覚が別れてて、コスプレイヤー特有の感覚を、頭での理解ではなく皮膚感覚で認識できるかはやはり差異があるのかな?と。
 それでも、意見の異なる人間をあえて呼んでるのはこの場で異論も言わせるためだったと思うし、そんなコスプレイヤーではない人が作った「コスプレイヤーズアーカイブ」が2006年から14年残ってて、新たに始めた「クラップス」でも商業的需要の発生しにくいジャンル(女性レイヤーによる男装、あるいは男性レイヤーそのもの)をあえて扱い続けるというのは、趣味人のコスプレイヤー相手にずっとビジネスをしてきたという一種の矜持(誇り)なんだろうな…。
 最後の方で触れてる「カイブのイベントページにツイートボタンと画像アップ機能が欲しい」要望も、カイブ側に旨味がある訳でもないだろうけど、各地のイベンターのために検討してくれるというのは、そういう事でしょうね。
(結局カイブではなくツイッターでの情報収集メインになると、アニメイト系アカウントで情報拡散してるアコスタの一強を招いてしまう…という発言もカットでした)

 上り坂での試行錯誤は「挑戦」と言われますが、下り坂での試行錯誤は「迷走」と揶揄されやすい。
 趣味だったらイヤなら止められるけど、仕事だったらそうはいかない。
 難しいですね。

 × × × × × × ×

 さて。
 私はコスプレビジネスに関わってる人ではないので無責任な立場であり、現実的に数字を出さなきゃいけない立場の方々の発言とは前提が異なるという事は申し上げておきます。
 だから私は業界人でもないし、コスプレ業界という言葉も嫌いで、いまだに道楽者の集まりとしての認識が強い。
 ましてやグラビアアイドル業界と混同したあげく、写真集売ったり撮影会で稼いだりするのは自由だけど、それを〝コスプレ業界〟の裏側に潜入~などとのたまう深夜番組には反吐しか出ないのだった。

 そんな放言を吐いてる人間をあえて呼んでいただいたのは感謝です。
 もう、本当に私から見ても恐れ多い方々ばかりで、この中に混ぜて頂けた事は感謝感謝です。
 来年、ってか今年の2020年版でも呼んでいただけるでしょうか。

 その時、五輪を終えた後、日本が残っていればですが。
 
 ↑供養だと思って拡散いただければ…