(以下、2008年10月の彦根ゆるキャラまつりに関して書かれていたmixi日記ですが、本年のまつりを直前に控え、読み直してみたら異様にプロレスライクで面白かったので転載して公開します。
   なおこの時点で なーむくんは着ぐるみ完成直後でしたが、まんとくんはまだ着ぐるみが存在していなかったのである)
2008ゆるキャラまつり_1

 
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   ゆるキャラ界に激震が走った。
   2008彦根ゆるキャラまつり初日において、なーむくん陣営から せんとくん側への、度重なる挑発行為が発生したのである。以下、時間軸に沿い写真にて詳報をお伝えする。


   この日の彦根城下のキャッスルロード歩行者天国には、参加ゆるキャラ達がそれぞれテントブースを設営しており、その周辺にて自由に記念撮影などが出来る。またこれとは別に、A・Bステージを使い、土日両日に分けて、各キャラ15分ずつのステージイベントが行なわれた。
   しかし、同郷・さらには同行事に関するマスコットながら、「平城遷都1300年祭」公式キャラである“せんとくん”と、それに対抗する形で奈良の仏教会が仏術により召還した“なーむくん”は、いわば仇同士なのである…。
   彼らが如何な関係かは、出展ブースが歩行者天国のそれぞれほぼ南北端に配置され、使用ステージもAとBに分けられている事から、決して交わることの無い形に設定されているという事が伺える…。


2008ゆるキャラまつり_6
12:30〜   Aステージ
   既にせんとくんを一目見ようと、開始前にこれだけの観衆がステージを囲む。

2008ゆるキャラまつり_5
   登場したせんとくんは軽やかな動きで観客を沸かせ、「♪せんとくん〜なら知っている〜」とテーマ曲に乗ってダンス!   通訳を介した質問コーナー、そして最後の決めポーズを3方向へ向けて行なうなど、とても15分とは思えない密度で、完成度の高い試合を見せた。

   これら大いに沸いた観客の反応こそが、このイベントにおいてせんとくんの認知度・そして人気が裏主役級の高さである事を証明している。
(なお主役の ひこにゃんファミリーはイベントの招待役であり、他の無名キャラがステージに上がる際のエスコート役として、盛り上げ役に徹している)


   ここまでは、いやこれ以降もしばらくはこの、純粋なお祭りムードが続いていたのだ。
   そのムードを破り、“仕掛けた”のは…なーむくん陣営であった。

   各キャラは周りに1〜2人の補佐役スタッフ(多くは自治体職員や、地方イベントのスタッフ)が配置され、人混みでの誘導やファン対応をサポートするのが常である。
   だが、なーむくんに付いたスタッフは…?








2008ゆるキャラまつり_4
   ご覧の通り!
   これはフィンファンネルでもハイファミリアでも無い。本当に奈良の僧侶が4人、周囲を固めているのである。この神々しいまでの存在感に、筆者は反射的に手を合わせてお辞儀をしてしまった(実話)。
   言っとくが、ハロウィン行列でも文化祭の仮装パーティでもないぞ。
   
2008ゆるキャラまつり_3
14:45〜   Bステージ
   この日最後のステージでトリを務めるべく、ついにリングに上がった なーむくん&僧侶。まずはダンスで観客の視線を釘付けにする。ちなみに、向って左側の高年のお坊さんだけ、ちょっとタイミングが遅かった。
   そしてこの後、女性スタッフとのトークコーナーにて…事件は起こった!

「ところでなーむくん、“せんとくん”って知ってる?」
   …女性スタッフの突然のタブー発言に、客席が一斉に沸いた!
「(首を振るなーむくんに)え〜、知らないの〜!?   なーむくんと同じ、奈良から来たお友達だよ!」
「(合掌したなーむくんに)…今のは、『知らなくてごめんなさい』の合掌だね!」
   な、なんという事か!?
   知らない訳が無いではないか!なーむくんはせんとくんへの対抗キャラとして召還された筈だ。それをこんなに白々しく名前を出してくるとは…
   挑発行為以外の何物でもない!!

   さらには終了直前。
「これからもせんとくんと一緒に、平城遷都1300年際を盛り上げて行こうねっ!…この後4時から、宗安寺の境内で せんとくんと一緒に記念撮影を行いまーす!」
   再度せんとくんの名前を出し、そして終了後に両者揃ったイベントが有る事を明かしたのだ。

   これは…?
   事前にこの記念撮影会の件は一切告知されておらず、まさにビッグサプライズ!
   しかしこの件に関してはせんと陣営からは告知されていない。第一せんとくんは一言も「なーむくん」の名前を出していないのに…。
   これはまさに、マスコミを通じてジャイアント馬場を挑発し続けたアントニオ猪木の如きであり、
維新軍を率いてA猪木に挑戦した長州力の如きであり、
“インディーの権化”として長州力を付け狙った大仁田厚の如きでもある。


2008ゆるキャラまつり_2
そして16:00〜
   猛烈に膨れ上がった観衆の列を飲み込んだ境内で、撮影会は始まった。

2008ゆるキャラまつり_1
   エスコート役(調停役?)の ひこにゃんに付き添われ、史上初めて、せんとくん&なーむくんが同じフレームに収まったのだ!まさに歴史的瞬間である。
   場所も相俟って、まるで、敵対するプロレス団体のスター選手たちが(力道山の眠る)池上本願寺での豆まき行事に顔を合わせる…そんな情景がダブった。

   勿論これはサプライズ企画として両陣営が承諾し、準備されていたことだろう。
   だが、見方によっては、なーむ陣営はこれを自身のアピールとして(せんとくんの名前を出しつつ)利用した、とも言える。
   平城遷都1300年祭は2010年だが…しかしその前のあまりにも早い時期に、両陣営の対立構造が崩壊してしまう事は、話題性の持続という観点から見るとマイナス要素も大きいのではないか。
   この辺の構造は、馬場と猪木が互いに意識しつつも直接対決を避ける事で、荘厳なる緊張関係・そして話題性を持続させてきた史実と通じるものがあるだろう。


   ここで気になって来るのが、所属団体の資金力の差(=着ぐるみ未製作)で出遅れた“まんとくん”の存在である。まんとくんは彼らと共闘するのか?それともさらに別の勢力と合流して、敵対し続けるのか…?
キン肉なーむくん


   ゆるキャラまつりを飛び越え、ファンの視線は既にネクストへ…平城遷都1300年祭へ、再び移行しつつある。

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<以上、旧週刊ゴング調にお送りいたしました。あくまで2008年の話だという事を重ねて伝えておきます>