(本記事は2008年6月にmixi日記に投稿していたものを、サルベージして転載したものです)

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   テレビマガジンデラックス186「超ヒーロースーパーメカ超百科」(講談社:¥1,365)
   古今東西の国産SF・特撮作品に登場した“メカ”の写真と解説集なのであります。

   子供向けと侮るなかれ。
   なぜなら1960~70年代の作品は制作会社にも写真資料が残っているケースが少なく、マイナー作品は専門誌でもページを割けないため、ちゃんとした写真が出回りにくいのです。
   今まで作品ごとのDVD特典でもない限り拝めなかった貴重なメカ写真。それが、講談社に所蔵されていた大判の美麗なカラーで、円谷・東宝・東映etc、多くのTV・劇場作品に登場したメカを一気に拝む事が出来るのである。
   だいたい表紙からして、中央こそは1号ライダーのサイクロン号ですが、脇には鉄人タイガーセブン(無きピープロの、怪奇色濃過ぎな変身ヒーロー)が居たり、マイティジャック号(円谷プロが「ウルトラセブン」と同時期に製作した、毎週1時間枠のSF冒険番組の主役メカ)が浮いてたり、思わず泣きそうになる様なチョイスではないか!?
  
   以下、購買欲を掻きたてるような文句を潜ませつつ雑感。
◆   ウルトラシリーズ以外にも円谷プロから、一連の巨大ヒーロー作品(ミラーマンジャンボーグAなど)や恐竜作品(コセイドンアイゼンボーグなど)のメカが収録。
   んで他社の特撮作品にも言える事ですが、70年代初期までの作品には機体カラーリングが“銀色ベース+原色のライン(赤、緑など)”のメカが多い。これは 明らかにウルトラマンカラーのイメージに引っ張られてるという事で、いかに成田亨のデザインセンスがズバ抜けていたかという証。

◆   特撮メカの分離・合体はかなり早くから映像化されてるけど、60年代作品のメカが【大型メカが、用途に合わせて分離可能】(ウルトラホーク1号、シュピーゲル号)といった実用的な描写をされてるのに対し、70年代以降は【小型メカが、合体してパワーアップ】という玩具メーカーとのタイアップ目的の描写が多くなる。
   どちらが上とかは言わない。

◆   円谷メカの発進シーンといえば通称“ワンダバ”と言われる位に、秘密基地の奥から複雑な手順を踏んでの発進が描かれる事が多かったのですが、UGMのシルバーガル発進シーン(ウルトラマン80)は、普通の航空基地の様に格納庫から滑走路へ出て行く…というもので、かえって新鮮?
   なまじ現実のニュースで見る様な映像なので、ミニチュアにするのは大変だと思うのですが。これにチャレンジ出来た背景には、同社がスターウォーズブームの頃に手がけた「スターウルフ」の下地が有るのだろう。夕焼けの滑走路から飛び立つバッカスIII世の雄姿には、鳥肌が立ちます。

◆   スーパー戦隊は別に超百科が刊行されているため、極力被らない様に戦隊ロボを全く収録せず、母艦やバイクの写真。しかし小学館「てれびくん超全集」シリーズで見慣れているメカが、それとは違う写真で紹介されているとやはり新鮮。

◆   そんな戦隊の変り種としては、「ギンガマン」獣走馬(本物の馬)、「アバレンジャー」ライドラプター等が収録。そういえば「デカレンジャー」がパトカー2台・白バイ1台を使用してたのを頂点に、以降「マジレンジャー」スカイホーキー位しか個人の乗り物は無いなぁ。昭和戦隊の、ゴテゴテしたジープに数人で乗り込む描写は大好きなんだけど。
   なお「ゲキレンジャー」はキホン徒歩移動なので未収録。

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◆   「スターウォーズ」ブームの70年代末期、日本映画界も盛んにS.F(従来の「サイエンス・フィクション」ではなく「スペース・ファンタジー」の方ね)へ打って出(てしまっ)た時代。
   右ページ:東宝の「惑星大戦争」、左ページ:東映の「宇宙からのメッセージ」(一部の特撮シーンをTV「銀河大戦」に流用したものの、そっちは全くヒットせず、主演の真田広之の黒歴史と化す。←葉月里緒菜とのハワイ不倫並に)の二作品が並んで紹介されていますが…。
   正直、元々が日本特撮の父たる東宝の方はまだしも、チャンバラとヤクザ映画しか作ってなかった東映は…。左側のページ見ると分かるけどさ、だってS.Wブームの後なのに、背景の宇宙空間が“青い”のよ?

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◆   96年当時、ビデオ撮影の本編とフィルム撮影のミニチュアシーンが、全く馴染んでいなかった「シャンゼリオン」の超光騎士も。

◆   そんな東映特撮は、大昔はメカ戦を等身大ヒーローバトルのオマケ程度にしか考えていなかった節が有って、初期の頃はいかにもオモチャ然とした原色カラーリングまんまで、円谷に比べるとチャチさは否めません。健闘していたのは「大鉄人17」くらいです。
   逆襲に転じるのは、やはり「スターウォーズ」ショック後。溜め撮りしたバンクカットを使い回す代わりに、ミニチュアの細部まで汚しを入れ、微細なモールドを彫り、無数のムギ球を仕込む事で、使い込まれたメカの質感や巨大感を表現したのです。「宇宙刑事」シリーズのメカ戦はその真骨頂。

◆   そんな「宇宙刑事ギャバン」電子星獣ドルの着ぐるみ写真が2ページ見開きで掲載!
   ドルの着ぐるみは3話でしか使用されず、以後、分割してパーツごとに使用されたので、着ぐるみ全身写真は貴重。

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◆   ほぼ1ページ使ってる「兄弟拳バイクロッサー」【ブレーザーカノン】!!
   まさかまさか平成も20年を過ぎて、ブレーザーカノンのこんな大写真が拝めるとは思わなんだ。

◆   東宝怪獣映画からも、歴代の防衛隊~自衛隊の超兵器がズラリ。平成VSシリーズでゴジラを迎え撃ったメーサー戦車シリーズの変遷が一目で分かるのも良い。ヘドラ戦での放電板もなぜか載ってる。

◆   子供向けの本なので、デザイン画やミニチュア流用といった裏側の部分は触れられていませんが、とりあえずMACの特殊ヘリ(ウルトラマンレオ)は、ZATのドラゴン(ウルトラマンタロウ)のリペイントである事は分かった。

◆   期待してたTACメカ(ウルトラマンA)はあんまり載ってない…。デザインラインがMATメカ(帰ってきたウルトラマン)と被ってるのと、円谷プロの最繁 忙期であった事から、スチール写真が残ってないのかもしれない。タックアローの全体像が分かる写真が欲しいのに。

◆   仮面ライダーはキバまで。サイクロン号のバージョン違いも説明されている。ところでマシンキバーの“馬ファンガイアの脳が移植されてて、意思を持ってる”という設定は結局忘れられてたのかね。


…どうでしょう、少しは読みたくなりましたでしょうか?

決定版 超ヒーロースーパーメカ超百科 (テレビマガジンデラックス)決定版 超ヒーロースーパーメカ超百科 (テレビマガジンデラックス)
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