「仮面ライダー×仮面ライダー オーズ&ダブル feat.スカル MOVIE大戦CORE」(長ぇよ)見ました!
   以下、ストーリー上のネタバレは避けますが、事前情報を全く入れたくない人は読まない方が良いのでアレしてください。
   初日に見てきた友人知人は「Wはやっぱりレベル高い」とWだけベタ褒めしててたり、三つ並べて「さすが!やっぱり!またかよ!」と表現してましたが、その通りでした…。

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■   仮面ライダーW編
   Wの脚本はTVでも平均レベルが非常に高いのですが、今回の映画もまた期待以上にやってくれました!

   内容の大半は1999年に風都で起こった怪事件の回想録で、鳴海荘吉を主人公にした超ハードボイルドな内容でございました。
   そこに昨年の「ビギンズナイト」から引っ張ってきた設定や、TVに登場した脇役キャラクター達の横の繋がりが描かれてたりして、ニヤッとさせてくれます。
   TV版の主演キャラクターの出演時間は非常に短いですが、それぞれちゃんと見せ場もありました。(本来主人公だった二人は印象薄いですが…)

   なぜ荘吉が仮面ライダーになったのか、
   なぜ「ガイアメモリを仕事に使わない」のか、
   なぜ「罪を数え」る様になったのか、

   そういった由来もビギンズナイトから一年越しでちゃーんと描いてくれました。

   そして、結婚式直前で自分の周りが皆「仮面ライダーばっかり」という状況で“仮面ライダーアレルギー”を起こしてしまった亜樹子の目線を絡めて、仮面ライ ダーという存在が如何に因果な仕事で、辛い生き方で、そして素晴らしいヒーローであるのか、そこまで踏み込んでくれて描いてくれたのは、非常に嬉しい。
   ヒーローをちゃんと描く事が難しいご時世で、それでも(皮肉やパロディではなく)堂々とヒーローを描いてくれる姿勢には、頭が下がる思いです。

   しかも全編に渡って、イイ具合に歳とった吉川晃司が熱演してるのが伝わってきて、イイんだ!

   なお、主題歌をユニットで歌っている大黒摩季は吉川晃司のファンで、コンサートにアルバイトとして潜り込んだ事もあるとか。
http://mantan-web.jp/2010/10/31/20101031dog00m200029000c.html
http://mantan-web.jp/2010/12/17/20101217dog00m200009000c.html


   「W」の脚本レベルに関して。
   これはTV版の製作体制が、
三条陸長谷川圭一コンビのダブルメーンライターだったので、交代で話を錬れたり、三条さんが劇場版に回ってても長谷川さんが高いクオリティでTV版を維持できたってのが大きかったのだと思います。
   逆に「オーズ」の方は、小林靖子一人の才能に依る所が大き過ぎて、靖子にゃん以外では「オーズ」にならないとゆー、ジレンマの様なものを感じる訳ですが…

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■   仮面ライダーOOO編
   さて、小林靖子以外が書く「オーズ」
   おそらく、井上敏樹という作家にとって、日野栄司は捉えづらいキャラクター像だったのだろうな、と。
   執筆時期がまだ番組の開始前で、初期設定の“何の欲や執着も無くて、小銭とパンツだけあれば生きて行ける”という部分だけで書いちゃった気がします。それでも敏樹先生は普段、自分のメーンライター作品以外は設定書すら読まないらしいので、これでもまだ元作品には沿ってる方だと思います。
   もちろん、そんな他 作品との比較は多くの観客には関係無いので、純粋にTV版との比較で見るべきでしょうが。

   敏樹脚本の悪い部分として、欲望をムキ出しに生きる人間を思い入れたっぷりに描く一方、理想や善意で行動する人間を嘲笑う様な描き方をする、というのがあると私は思う訳でして。
   正直者が馬鹿を見る。
   利己的欲求に従って人を殺めた人間が、何の贖罪もしない。
   利害関係が変わった瞬間に、他人に対していきなり掌をひっくり返した態度をとる。

   …そんな展開は、(特撮ヒーロー=子供向け、の世間からの認識を破壊してほしい…と思っていた若造の頃の自分ならいざ知らず)いち大人としては正直、子供に見せたくないのです。

   栄司はお人好しですが、決してあんな白雉的なキャラクターではないし、何の欲も持って無いけれど、彼なりの人生観や倫理観はキッチリ持って生きている青年ですから、あの冒頭のシーンなんかは非常に「分かってない!」と言いたくなるのです。

(細かいツッコミですが劇中でスマートフォンをいじりながらアレコレするシーンがあるけど、あの会社、あの規模ではきっと上場企業では無いので株式公開はされてないでしょうし、株の売買が成立した瞬間に社長が交代する訳は無く、役員会での解任手続が必要ですから)

(これがもし「帰ってきた仮面ライダー555」なら、諸手を上げて喜んだかもしれません。555は極端にエキセントリックな人間達による、愛憎劇でしたから)

(…と書くと熱心なアンチ井上っぽいですが、私は「敏樹は使い方を選んでくれ!」だと思うので、メーンライターとして1から世界観やキャラを作って、サブライターが補強している体制だったりすれば、良い仕事をしてくれる人だと思います。
   逆に敏樹が途中参加で書くと、そこだけ世界観変わる(悪い意味で)ので止めてほしいのです)

   そしてTV版ではウリである筈の、アンクと栄司の掛け合いシーンも殆どありません。ってか、アンクそのものが出てきません。
   後藤さんは、チラッとだけ出て、オイシイ役回りです。
   宇宙刑事っぽい新ライダーは、デモンストレーション的に出てくるだけです。
   やっぱり、9月に新番組開始と併せて年末の映画作るのって色んな意味で大変なんだなー、と思いました。

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■   CORE編
   昨年同様に新旧ライダーvs巨大CGモンスターという展開で共演させたかったのでしょうけど、さすがにちょっと強引だったんじゃないかなー?
   でもここでようやく出てきた腕アンクとW(翔太郎)との掛け合いは面白かった。腕アンクとオーズとの凸凹な応酬も、「ようやくいつものオーズになった…」と、ちょっと安堵しました。

   この映画、個人的感覚では、オーズファンで靖子ファンならば劇場まで行かなくても良いんじゃないかなー、と。Wのファンならゼッタイ行った方が良いです。


(ついでに)
・   プラネタリウム番組情報「仮面ライダー 恐怖の地球温暖化計画」株式会社五藤光学研究所
http://www.goto.co.jp/contents/pla_detail/p_ditail_maskedrider_w.html



   ところで、W見た後にオーズ見ると、ヒロインが物足りなく感じるのは気のせいなのかしら。