シンケンファン   「なんで靖子にゃんじゃないのぉー!?」
ゴセイファン   「あー、横手さんじゃないんだー。ふーん」
他戦隊ファン   「えー?また荒川稔久じゃないのかよッ!」


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   …さて、映画「天装戦隊ゴセイジャーVSシンケンジャー エピック on 銀幕」の長い感想です。
   ストーリー上のネタバレは避けますが(つか、そんな複雑な展開ではありませんでしたが)、事前情報を入れたくない人は読まないで下さいねっ。

・冒頭でレッド同士がお互い初対面なのに「護星天使」「侍戦隊」を知っていたので、面識は無くてもお互いの活躍は認識しているという、不思議な世界観でした。(VS戦隊では他にもあったけど)

・序盤で殿がさらわれた後、両チーム対立シーンは脚本:下山さん曰く「喧嘩させたかった」らしいけど、ちょっとここで対立して(流ノ介と千明がアラタ相手に怒り出して)袂を分かつ過程は強引だったんじゃないかな?と。
   ようするに、明確なリーダーの存在しないゴセイジャーチームと違って、シンケンチームは“殿と家臣”の明確な上下関係が有って、彼らにとって殿を奪われるという事態の危機感は、いまいちゴセイチームには伝わって無い…という事なんだろうけど。
   …そこの説明が無いので、単に流ノ介と千明がピリピリしてアラタに当たってるように見えてしまうんだな。

・トドメを刺されそうになったシンケン4人が、咄嗟に目を背けちゃうのは無いんじゃないか。彼らだって相当あきらめない性格だし、先に一年間も外道衆と戦ってきたのだし。

・一番気に入ったシーンは、ゴセイチームがサムライを理解しようとしてファッションから入る所と、エリとアグリが茉子を迎えに行く所。
   この、“ゴセイジャーは人間では無いので、人間の文化をイマイチ理解できてない”…っていうシュチュエーションコメディは、TV本編でももっと推して欲しかった!

・基本的にシンケンの世界観では、“死んだキャラクターが生き返ったりはしない”ので、今回もそれは徹底。シンケンのストーリー上で死亡したキャラ(薄皮太夫とか)は一切登場しません。

・アイツが三途の川に現れたという事は、きっと幽魔獣編とマトリンティス編の間の時間軸なんだろうと思います。その後、今回の戦いの後に、そのパーツが回収されたのだと。

・下山さんはブレドラン大好きらしいですねー。描写が活き活きしてる。
   ムック本のインタビューで、ドウコクを「ガキ大将」、ブレドランを「友達できなくて、卒業後に『見返してやる!』ってタイプ」と表現。すごく良い表現で言い当ててると思いました。

・殿を流ノ介が抱きかかえるシーン、さりげなく流ノ介は殿を膝枕しているという事を発見。

・他の11人が変身と名乗りをしてる間、よく見るとゴセイナイトは画面の端でジッと待っています。

・シンケンの変身シーンは新規になってて、富士山の画をバックに5人揃って変身するのがカッコイイ。

・役者の顔アップのカットが多く、アクションも全体を引きの構図で見せるカットが殆ど無いので、画作りとしては映画というよりTVやVシネマ的?
   この辺は昨年の中澤祥次郎監督と、今年の竹本昇監督との演出方針の違いから来るのかもしれない。
(戦隊の軽装なスーツは仮面ライダーに比べて、大スクリーンでアップにするとどうしても粗が見えてしまう)

・ロケ地として頻繁に出てくるあのセメント工場(シンケンVSゴーオンでも使ってた)は、今回遂にミニチュアになりました!
   ゴセイグレートが倒れる辺りのシーンで、よく見ると画面左下、グレートのヒザくらいの高さに、あのナナメのベルトコンベア(?)が映ってます。
   戦隊の巨大戦で、実在する建築物のミニチュアを作る事は非常に珍しいのである。

・全体的に、単品の映画としてはボリュームがもうちょっと有って良いのかと。
   もちろんメイン客はマニアではなく子供ですので、彼らが喜んでるのならそれが一番ですが、せっかくの戦隊オンリー映画なのだから、もうちょっとだけボリューム…というかサービスは有って良いと思います。
   EDも昨年の様に、二大戦隊が揃ってダンスするのを期待してただけに。(殿がゴセイマイクで歌うとか…)

・他、細かい所でシンケンファンが見ると「ちょっと違うなー」な部分が散見されました。
   ここは、フツーは戦隊では複数ライターで脚本を持ち回すけど、シンケンは49話中42話も小林靖子が書いていたので、他の人が描くとどうしても細かいイメージが違うんだよね。後述。

・最後の方で、実は壮大な「海賊戦隊ゴーカイジャー」番宣でした。

×   ×   ×

■ここから脚本家の話■

   率直に言えば…下山さんはよく頑張った、という感想です。
   最初に多くのファンが気になったのは、「誰が脚本を書くのか?」の一点だったんじゃないかと思います。
   シンケン小林靖子、ゴセイ横手美智子、それぞれの作品には参加していませんから。

   スケジュール的にさすがに小林靖子さんの不参加は仕方無いと思いましたが、靖子作品は独特の言い回しや心情の表現の仕方があるので、他の作家が書くのは難しかったでしょう。
   本編でも靖子以外の脚本回は、何となくキャラクターのイメージが違ってましたから。

   ぶっちゃけると、ゴセイジャーのキャラ像はメーンライターの横手美智子さん自身が描ききれてないんじゃ無いかと思ってるので、二大戦隊が揃う本作に横手さんの不参加は妥当だと思います。「イカ娘」もあったし。
(横手脚本の不安に関しては、ゴセイ開始時点でこんな記事を書いてました)

   となると、両方の作品に参加してる作家が殆ど居ない(大和屋暁さんとか)という事になりますが(「シンケンVSゴーオン」だって、靖子はゴーオン不参加で したが、ゴーオンって何でもアリだったので)、そこで靖子推薦で登板となった下山健人さんは、シンケンでは   てれびくんDVD、ゴセイではサブライターとしての参加で、賢明な人選だったのかな、と。

   だから靖子的にストーリーを捻るよりかは、ストーリーの整合性は置いといて強引でも見せ場を沢山作る事に徹した作風は、これはこれで大正解だと思います。

   間違えて欲しく無いのですが、すっごい面白い・楽しい作品だったんですよ!
(さっきのボリューム不足の話は、「もっと見たい」の意味でもあるし)

×   ×   ×

   ただ、超個人的にはVS戦隊シリーズは荒川稔久さんの書いた作風が好みです。
   このVS戦隊シリーズは初期では、“現戦隊の世界に旧戦隊がゲスト出演する”様な展開でした。しかし荒川さんが書くと、旧戦隊の設定や小ネタを拾ってきて、“旧戦隊の続編”として描いてくれる事が多いのです。

   「ゲキレンVSゴーオン」で、スクラッチ本社の撮影用セットが現存しないにも拘らず、ロケ地を再利用したりしてスクラッチが現存してるかの様に見せたり、 アバレンジャー以来の“恐竜やカレー”を共通のキーワードとして、実は世界観が脈々と続いてる事を示唆したりと、小憎い事をしてくれるので。

×   ×   ×

[おまけ]
   本年の元日、Gロッソでのゴセイジャーショー終演後に、アラタ(千葉雄大)とエリ(さとう里香)がゲスト出演してトークしたのを観に行っておりました。
   その席上、この映画の見どころを聞かれたアラタ曰く、
「撮影では殿と二人っきりになる事が多くて、お互い見つめあうシーンがあるんですけど、殿の背が高いので(自分が)見上げる形になって、監督から『カップルみたい』って言われました!」

   …ですって。

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小林・下山氏の(ホロ酔い)ロングインタビューが面白かった。