何という大変な時期に当たってしまったのかという大会でしたが、ここで行かなきゃ!とゆー謎の意識に駆られて見てきました。
(そういやmixi日記ではよく書いてるけど、こっちの外部ブログでちゃんとした全日本プロレスの大会を書くのって初めてだ。基本、四天王時代からの意固地な全日ファンですので)

   大型ビジョン無し、入場ゲート無し、暖房も無し、照明は通常の館内照明を点けっ放しに小型スポットライトとまぁ、普段なら有り得ないレベルの超省電力モードでございます。
   ほれ、両国国技館って、天井から大型ライトがぶら下がってるじゃないですか。アレを使わず、通常の館内照明とスポットサイトだけなんですよ。だから光量が足りなくて写真が上手く映らないのはカンベンして下さい。
   ちなみに客席の隙間が多くて寒いので、途中、感想が短い部分は意識が薄らいでいた所だと思います。

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   冒頭、震災の犠牲者への1分間の黙祷。

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   そして前説、MCとして登場したTARUさんが呼び込んだのは…"brother"YASSHI
   2年前に「プロレス撤退」して以来、姿を見せなかったヤッシーが、「ごきげんちゃ~ん!」の懐かしい挨拶で登場。なんというサプライズ!
   「今のオレたちにできることはご機嫌ちゃんでいる事!復興にはパワーが必要なんや!!」と盛り上げて、客席全員を起立させて「ごきげんちゃ~ん!」を大合唱。


■渕正信、宮本和志   ×   ゾディアック、中之上靖文

   宮本和志は…01年、分裂後の全日本でデビューした最初の選手で、武藤社長の時代に本間との“ターメリックストーム”タッグで活躍、しかし04年からアメ リカ遠征(ムタの息子としてグレート・カズシを名乗る)、05年の川田戦を最後に後ろ足でクソぶっかける様に退団、06年にキングスロードへエース候補と して移籍、しかしキンローの空中分解によりその後はインディーや自主興行で活動していた(10年には川田のパートナーとしてノア参戦)。特に前フリもなく 戻ってきてる辺り、本格的な継続参戦というより様子見という事だと思うんだけど。
(ちなみに宮本は福島県富岡町出身。津波の甚大な被害を受けてしまい、行政機関はビッグパレットふくしま内に仮移設している。先に無事に停止した福島第二原子力発電所があるのもココ)

   宮本は張り切っている…だが、久しぶりにボディスラム連発で頑張った渕の方へ声援が飛んでいた。


■カズ・ハヤシ、KAI   ×   大和ヒロシ、BUSHI

   KAIとBUSHIは世界ジュニア王座を巻いてもおかしくないんじゃないかと思っている。しかし、カズと近藤の壁がブ厚いのでまだかな。
   BUSHIはトリッキーな技を、躊躇無くポンッ!と出していくのが良い。
   KAIはバネと思い切りの良さが良い。


■ビッグバン・ベイダー、ジェシー・ホワイト、浜亮太
   ×   TARU、レネ・デュプリ、MAZADA


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殺虫剤でSFマスクのマネをするTARUさん。
(桜庭和志も以前やりましたね)

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本家ベイダーのSFマスクからガス噴射!

   ベイダーが二人いる様に見えるのは、黒マスクの細い方が本物。赤マスクの太い方が浜。
   息子のジェシーが体は大きいが、まだグリーンボーイの印象。
   ベイダーはアグレッシブに動いて、ベイダーハンマー連発。体重を乗せた
   最近はケガやトラブルの多さで(新木場のベイダー興行に本人が来日しないとか)もうさすがに終わりかと思っていただけに、ベイダーがまだ暴れてくれるのはウレシイ。
   浜も本家と一緒にベイダーアタック競演したり、ホント選手権試合以外ではイイ仕事してくれるんだ。

   勝利の後にベイダーが「ガンバッテー!ニッポン!!」を連呼。そこからの英語の挨拶はよく分からないが、熱心な気持ちは伝わってきた。


■アジアタッグ選手権試合
   真田聖也、征矢学   ×   関本大介、岡林裕二(大日本プロレス)


   アジアタッグは若手や中堅で争うのが通例の王座。挑戦者の大日本プロレスの二人は、「アジアタッグベルトを奪って小鹿社長に報告したい」という孝行者。大日のグレート小鹿社長は約30年前、大熊元司との“極道コンビ”でアジアタッグ王座を保持していたのであった。
   その関本はデスマッチ主体の大日プロに10年在籍しておきながら、デスマッチとは距離を置いている選手。大日と同時期に新日プロの入門テストにも合格していたという逸材で、大日きってのパワーファイター。というか、この4人は総じてパワーファイター系の選手かな?

   試合は大日コンビの思い切りの良いファイトが目立った。

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ダブルでのアルゼンチンバックブリーカーなど、見せ場を作っていたのも挑戦者の側で、全日コンビは体はデカイがそれを持て余してる感。いつも言ってるけど。
   ってゆーか大日コンビは「実力あるけどデスマッチを主体にしないから」中堅で、全日コンビは「伸び悩んでるから」中堅なんじゃないのか?

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大日コンビの二段式ジャーマンスープレックス=“眉山”!
(ジャーマンで投げる体勢に入ったパートナーを、もう一人が後ろからさらにジャーマンで投げる大技。たしか99年に新崎人生とアレクサンダー大塚のコンビが、サスケ相手に初披露したんじゃなかったっけ?)

   30分を越える長丁場の末、関本がジャーマンで征矢を沈めて、新王者誕生!
   この日一番のベストバウトだった気がする…。


■武藤敬司   ×   橋本大地(ZERO1)

   大地デビュー2試合目。
   序盤、武藤はグラウンドでねちっこく組み合っていく。これは武藤が初対決や大一番でやるパターンで、「この後どうなる?」というのを想像させるのが好きなんだとか。本人曰く「前戯プロレス」。
   立ち上がって大地はキック連発、しかし当然、ドラゴンスクリュー!さらに低空ドロップキック等で畳み掛ける。大地の痛がり方が蝶野戦の時に比べて絶叫してるので、武藤はあえて本気で潰してるんだろう。
   大地はキック連発、そして倒れた武藤へなんとSTF。そして武藤のシャイニングウィザードを防御して、逆シャイニング!デビュー2戦目ですよ?
   だが武藤は黄金パターンの、低空ドロップキック、シュミット式バックブリーカーから…

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久しぶりのムーンサルトプレス!

   武藤曰く、「大地、ハッキリ言ってまだまだ。ゼロだゼロ!でも今回の地震でゼロから始めなきゃならない人、沢山いるんだよ!オマエはそう言う人達の見本になれ」
(いや、大地は衣食住は困ってないんだから、被災者のゼロとは違う気が…そこは武藤が天然なんだと分かってるけど)

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   これは良い試合、なんだけどね。
   蝶野戦が入試だとしたら、武藤戦は中間テストで良い。つまり、もっと後でやるべきなんじゃないかと。
   橋本大地に必要なのは、第一試合から経験させて、前座のライバルを見つける事なんじゃないかな。
   ハッキリ言って、橋本真也の遺児が三銃士と対戦して父の技を使ったら、そりゃ盛り上がるに決まってます。
   でもそれはあくまで橋本真也の手柄であって、橋本大地の手柄じゃないんですよ。この、ファンからの橋本真也フィルターも、永遠には続かないんです。
   聞けば3.27靖国神社大会では大谷と組んでベイダー親子と対戦とか。前座を経験しないでトップへ持ち上げられると、失敗ができない=どうしてもレスラーとしての幅が狭くなってしまう、というのは(中邑の例もあるし)知ってる筈なんだけどなぁ…。
   彼を興行の柱にはしちゃいけない。
   彼が悪いのではなく、これは大人達が自制すべき。


■船木誠勝、鈴木みのる   ×   獣神サンダー・ライガー、永田裕志(新日本プロレス)

   新日クサいカードを全日でやるってのが面白い。
   そういえばみのるのプロレス回帰って、02年のパンクラス横浜文体でライガーに勝って「ライガーさん、少し錆び付いてましたね!でもやっぱりアンタ、最高だよ!」と言った辺りからだった。当時みのるは性格悪いキャラではなく、さわやかだったのだ。
  
   まずライガーと船木が、23年ぶりにリングで対峙。技らしい技を挟まず、じっくりグラウンドでやり合う。まるで道場でのスパーリングの様…わざとそうしているのだろうか。
   続く永田さんは船木へキック合戦を挑む。
   ここで永田さんはキックの度に構えてから「でぃぃゃっっ!」と声を上げて蹴るんだけど、船木は無言のままスタンディングからシュッと蹴る。細かい事なんだけど、プロレスとパンクラスの差異が見えた様な気がした。

   しかしここで鈴木みのるが割り込んできてからはもう、ひっちゃかめっちゃかの乱戦に。
   あと最近のライガーさんが全身白タイツに白髪バージョンなので、倒れるとどっち向いてるか分かりません!

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フロントスリーパーとチョークスリーパー競演。

   結局わずか8分で永田さんのバックドロップ連発で船木がフォールされる。
   試合後もみのると永田・ライガーが乱闘して、船木は一人で涼し気な顔をしてリングを降りたと思ったら、鉄製の階段をリングへ投げ込んで、さっさと退場。  
  

■世界ジュニア・ヘビー級選手権試合
   稔   ×   近藤修司

   軽やかなキックと飛び技の稔。スピーディでパワフルな近藤。個人的には最も目当ての試合だった。
   稔のキックをラリアットで迎撃とか、稔の腕ひしぎを近藤が持ち上げてコーナーポストへ乗せるとか、力と技の攻防。最後はミノルスペシャルで腕を締め上げてる最中、レフェリーストップがかかった。

   良い試合だった…んだけど、「予想通りの」良い試合というか。全日の世界ジュニア戦は「予想を越える」名勝負が多々くり返されていただけに、あともう一丁!ってのも、ファンのワガママかもしれないが気持ちとして残った。
   というか、これは前試合のアレのせいでテンションが落ちていたからか。どうもガラガラ状態だと後ろの席は温度が下がり易く、上がり難い。


■世界タッグ選手権
   KONO、ジョー・ドーリング ×   太陽ケア、大森隆男


   一つ気付いた事がある。
   掛け声が大きいから盛り上がるのではない。打撃音が大きいから盛り上がるのである。
   例によって試合の流れも作れず、腕回しアピールと「アックスボンバー!」の掛け声をくり返す大森さん。なかなか起き上がって来ないドーリングを、腕を回し ながらただ待っている。当たってもペチンッという小さい音。しかもよく見ると激突した瞬間の腕がクニャッと曲がってるので、こんなんで相手をなぎ倒せる訳 ないじゃない…。

   大森さんは俺らを凍死させる気か。
   寒いのを通り越して眠くなってしまったけど眠ったら死ぬ気がして(だから館内には暖房が入っていないのである)、椅子に背中をゴシゴシ擦り付けて暖をとってました。

   ドーリングとKONOの大味な展開に大森さんの寒さが加わって、ケアがいくらか頑張った所で挽回できる筈も無い。アックスギロチンドライバーで若干盛り上がったものの、結局大森さん敗北。
   うーむ。セコンドのVM軍団がなだれ込んで大森さんが5対1でテンパるとか、そーゆー展開が見たかった。ストレートな試合したら間が持たないんだから。

   正直、ここまでで既に全体で4時間かかっていて、観客が疲れて集中力を失っていた分、この試合の寒さで客席のテンションは第一試合以前まで落ち込んでしまった気がした。


■三冠ヘビー級選手権試合
   諏訪魔   ×   KENSO


   ケンゾーの人気の無さというか…入場してきて、拍手も歓声も、ブーイングさえも湧かない微妙な空気。(さっき大森さんが冷やしたせい)
   しかし試合になると、意外や、諏訪魔に対して初っぱなから場外トペ連発などで見せ場を作っていた。
   最初は無反応だった観客も、ケンゾーが茶化した様なポーズを決める度に声援を送る。

   諏訪魔は最初15分は受けまくって、マットを両腕でバン!と叩いてからが本気モード。
   こうなるとケンゾーは真っ向からやっても当り負けしてしまうので、首締めなどで悪役ファイトへ。体重を乗せた諏訪魔の重いチョップに対しては、ビンタで返してラリー。
(ケンゾーのチョップはあんまり重くないので、諏訪魔のチョップに対してこれをビンタで返すのは、ケンゾーなりのセンスだと思う)
   諏訪魔がジャーマンとラストライドで圧殺するも、ケンゾーの試合としては盛り上がった。
  
   ただ、ケンゾーはやはりビッグマッチでの三冠挑戦者としては一枚足りないのかな。
   タッグ屋としては良いけど、シングルの王座戦で長時間やり合ったりするスタミナ、決め手になる様なフィニッシュホールドを持ってないもの。
   逆に考えるとシングルのリーグ戦であるチャンピオンカーニバルをかき回す存在としては、面白くなるかも…?

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   試合後、諏訪魔の挨拶しているリング上へ次々とヘビー級選手がなだれ込んできて、チャンピオンカーニバルへの出場をアピール。永田さんの参戦に大声援。
   そこへさらに木原リングアナから、「とある選手よりメッセージが寄せられています」と、それを読み上げる。
   「全日本プロレスファンの皆さん、お久しぶりです。武藤全日本ファンの皆さん、はじめまして。以前から全日本プロレスへの参戦を希望していましたが、査定 がどうの、会社同士の関係がどうのという事で、タイミングが合いませんでした…」で始まるそれは、案の定、「プロレスリングノア   秋山準」で締められておりました。
   秋山準が…11年ぶりに全日マットへ…?

   という事は決勝トーナメント進出次第では、大森VS秋山(ノア遺恨)、永田VS秋山(ノアと新日の盟友)、永田VSケンゾー(新日の先輩後輩)、ケンゾーVS大森(WJ旗揚げ戦の再現)   …といった興味深いカードが実現するかもしれない訳か…!

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ラストは全選手がリングに上がって、「がんばれ!東北!!」の幕を持って記念撮影。

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   さて全体の感想。
   全日本の両国大会ってハズレも多いんですけど、その悪い部分が出ちゃったなぁー、と。

   まず、興行時間が長過ぎ。
   全日が一番勢いが有った頃の後楽園や代々木って、全6試合、2時間半だった。
   それが今回の両国では全9試合、4時間半。これじゃダレるに決まってる。
   後楽園や代々木では身内選手だけでクオリティ高い試合をテンポ良く提供してくれるのに、両国になると名前ばかりの大物ゲストを大量に呼んで、試合数は無駄に多くなるわ、試合内容は下がるわ。
   客は選手の顔が見たいのではない。試合が見たいのだ。

   武藤全日の標榜する“パッケージプロレス”は、量より質の筈。

   客入りが半分程度なのは、時期が時期だからもう仕方無いんだけど、でも暖房は入れて欲しかったな…。
   とりあえずチャンカーが楽しみです。

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   あと、この大会をやった事の意味。
   前日3/20のドラゴンゲートの両国大会が中止で、なぜ全日は決行したかというのは、正直、団体の体力の差で、中止できない/やるしかなかったというのが正解じゃないだろうか。
   「チャリティー」という言葉を前面に使うのもあまり良い気はしなかったけど、会場では募金したファンと選手が握手したり記念撮影したりして、現実に結構な金額が集まっているのだから、意味も意義も充分に有ると思う。
   TARUさんの「やらぬ善より、やる偽善」は、阪神大震災の被災者だけあって、言い得てる。
(本人曰く「寝て起きたら、地獄になっていた」。この災害を機にプロレスラーになる夢に挑戦したそう)
  
   綺麗事では済まない話として、ただでさえ大相撲の春場所中止で閑古鳥の鳴いている周辺の飲食店にとっては、数千人の観客の何割かが食事していくだけでも、プラスになった筈。

   見本市に出展する仕事をした事もあるけど、ひとつのイベントが中止になれば、設営や機材レンタル、飲食物の手配、交通網といったあらゆる所に金が回らなくなる訳で、安全以外の理由での「自粛」が嫌な理由はこれです。

   話題のプロ野球にしたって、特撮ファンの皆さんなら東京ドームシティ周辺の店が1月末のあの事故以来、どんな状況かというのも想像できると思うし、そこも考えてあげるべきじゃないかと思う訳ですよ。ナベツネの暴言で全て吹っ飛んでしまってるけど。
(それでも、電力消費の多い平日夜にドームで試合されては、停電させられてる地域の者としてはやってらんない、という心境ですが)

・『2011プロレスLOVE   in   両国Vol.11』結果詳細  
・VM軍が義援金を募集「やらぬ善より、やる偽善」
・全日本プロレスのチャリティ興行で167万円の義援金