全日本プロレスがピンチなんだよ!
 そんなわけで6/12は、としまえんのコスイベも行きたかったけど後楽園ホールへと舵を切りました。
(プロレスの話題に関しては、普段はmixi日記だけでやっていますが、
メモリアル大会や、何かしらの節目となるもの、資料性の高いものに関しては、こっちの外部ブログにも載せる方針です

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 社長は交代しちゃうわ、ポスターに載ってる選手が出てないわ、 パンフにも「これは5月24日に出来上がりました。現状と異なる部分が多々ある事をお詫びします」的な補遺の紙が入ってて、まぁ、異常な事態です。
 そういや全日のHPが落ちるのって、馬場さん急逝、鶴田急逝、三沢離脱、武藤移籍に次いで、9年ぶりな気がします。

 その事故(事件という表現はまだ避けます)。ヘイトが試合後に脳卒中で緊急手術をした事、TARUが事前に控え室での喧嘩で殴っていた事、その場に居合わせたKONOMAZADAも含めて5人が欠場している事。この事件そのものに関しては、ヘイトが自分の口で何かを語ってくれるまで、コメントは差し控えます。

 ただ…客席の盛り上がりは、いつも以上だったと思う。
 心配された客入りも、当日券が延びたのか6割程度、いつぞやのチャンカー連戦の平日夜よりかは埋まっていたと思う。

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 まず冒頭で全選手がリングに上がり、内田新社長が事故のお詫びと、就任の挨拶。
 選手が去った後も、1人残って四方へ深々と頭を下げた。

■ 渕正信 vs 中之上靖文

 渕は腰痛がキツいらしく、入場時に外していた腰痛ベルトを途中で着用。
 久しぶりのバックドロップを炸裂させる。
 頑張っちゃったのか、スタミナ切れが早く、後半で中之上のが押しまくる…と。

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 しかしお約束?の丸め込み!渕が決めました。

 渕は両国で鈴木みのると一騎打ちが決まったけど…大丈夫か!?

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■ジョー・ドーリング vs レネ・デュプリ

 5選手の出場停止によるヴードゥー・マーダーズ解散。
 これにより行き場を失った“シカゴの暴走機関車”“地獄のナポレオン”二大ガイジンのシングル。

 握手から始まり、互いに場外へ落下した相手を、ロープを開けてリングインをうながす等、クリーンファイトに徹して、客席からは「悪い事をしろ!」と突っ込まれる…と思ったら。
 デュプリ、ジョーの顔面掻きむしり+目つぶし、場外落下したジョーへコーナー最上段からボディプレス&ハンマー。悪いヤツだぜ…!
 ダメージを負ったジョーに「立ってくれ!立つんだジョー!」と声援が。

 しかし力押しになるとジョーが上。チョップ、ラリアット、そしてレボリューションボムで圧殺。

 ぶっちゃけ、ジョー・ドーリングに関しては、悪役ラフファイターというより、単に大味なだけなので、善悪どっちでもなれるし、その大味さが魅力でもある。
(キック一発で相手をリング下まで吹っ飛ばしたり、逆に交わされて自分がロープに突っ込むだけでリングが揺れたり)

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■世界ジュニア・ヘビー級王座決定戦進出決定戦~ナンバーワン・コンテンダー・ラダーマッチ~
 近藤修司 vs BUSHI vs 大和ヒロシ

 本来はの世界Jrヘビー級王座にKAIが挑戦する事が決まっており、この試合はさらに時期挑戦者決定戦だったのだが。
 稔の出場停止と王座剥奪により、この試合の勝者とKAIで両国でのJr王座決定戦を行う事になった。

 リング下の4方向に置かれたハシゴを使い、登ったり、落とされたり、上空から技を繰り出したりしつつ、吊り下げられた権利書を狙う3人。

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 権利書を目の前に、文字通りハシゴを外されたBUSHIに、近藤がジャンプして体当たり。権利書は近藤の手に渡ったのであった。

 しかしこの形式、非常に面白いんだけど、互いに技を放ったり受けたりするタイミングを見計らってるのが見えてしまうので、王座への挑戦権を賭けた真剣味には欠ける気がする。

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■世界タッグ王座決定戦進出チーム決定戦
 太陽ケア 大森隆男 vs 曙 浜亮太


 おおもりさんは、イロモノやキワモノとぶつかると面白い人です。
 そして対戦相手は、角界出身の曙&浜が再結成した“SMOP”ですから。(訴えられるんじゃないか…)

 相も変わらず腕グルグルアピールから、エルボースマッシュとアックスボンバーを連発してタイミングが合わずにペチンペチン鳴ってるだけの大森さんです。
 しかも曙もアレなので、攻撃をかわした大森さんと、攻撃をかわされたボノさんが、共に次は何をやるべきか分からずリング上でマゴマゴしたあげく、突っ立てるだけの大森さんに強引にもう一度攻撃を仕掛けて行くボノさん。たのしいです。あいらしいです。

 そこへ行くと経歴では最も新人である浜は、センスが高い。
 色んな角度からのハンマーやケツ圧殺を繰り出し、同じ技でもバリエーションを付けて出してるのが分かります。ボディプレスもただのしかかるだけでなく、ローリングしながら押しつぶす、とか。
 結局、Wボディプレスでケアが敗れました。これによってSMOPが両国で世界タッグ王座決定戦進出へ駒を進める。

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 本家SMAPの「シェイク」に合わせて踊る浜。
 全日マットの新たな名物シーンになるか!?
(面白い団体は、デブとジジイの使い方が上手い!、というのが私の考え方)

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 ここでK-1世界ヘビー級チャンピオン京太郎が登場し、挨拶。
 両国でのプロレスデビュー戦、船木との一騎打ちに向けて、「幼稚園の頃からプロレスを見てきました。プロスLOVEです。船木さんに全力で勝ちに行きますので、よろしくお願いします」

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■ グレート・ムタ KENSO TAJIRI
   vs
  船木誠勝 鈴木みのる KAI


 ケンゾー曰く、このアメプロでの成功者3人を「チーム・スマックダウン!」と称した。(本日2回目の訴えられる危険性が…)

 ぶっちゃけ、この3人はプロレスというより、パントマイムの集団みたいでしたが。
 入場時に寝そべったり、あらぬ方向を睨んだり、無意味に格好良いポーズを決めたり。

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 トリオで毒霧。ケンゾーはポーズだけ。
 しかし試合ではムタとタジリが好連携を披露する一方、ケンゾーは蚊帳の外…。

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 W毒霧が誤爆。しかも連続で。
 計4発の毒霧を受けたケンゾーが悶絶。
 しかも腰のヒモをみのるに奪われ、腰ヒモスリーパーの餌食に。
 船木のバックドロップでケンゾーが固められ、カウント2で返していたのにゴングが鳴って終了。

 タジリとみのるは何かしら波長が合ったのか、落ちてた腰ヒモを無意味に引っ張り合う競争。
 ムタとタジリはケンゾーを置いて、さっさと二人で引き上げてしまい、残ったケンゾーは客席へ「ちゃんとキックアウトしただろ!?」『したー!!』と煽って、「ありがとうございました」と言い残して去る。

 ケンゾーって今まで、スター気取りの勘違いキャラだったと思いますが。しかしその勘違いキャラがウザがられてたのも事実で。
 しかしこの日、勘違いして酷い目に合わされるイジられキャラ、への転向を果たした様な気がする。客席の反応も上々なので、これなら面白いと思うのであった。
 タジリの方は、WWE時代のお調子者キャラより、ECW時代の精神異常者キャラのが好きだったかなー。

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■ 諏訪魔 真田聖也 征矢学
   vs
  永田裕志(新日) 関本大介(大日) 岡林裕二(大日)


 大日本プロレスコンビに奪われたままのアジアタッグ、新日本の永田さんが挑戦する三冠ヘビー級の、合体前哨戦。まさか永田さんも、こんな所で大日本プロレスの選手と組むとは思わなかっただろうな。
 試合開始から3者による激しいぶつかり合い。

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 場外戦で永田と諏訪魔が客席へなだれ込んで、パネルにぶつけ合う。諏訪魔は永田の事しか眼中に無い様子。

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 大日コンビのアルゼンチンバックブリーカー&ナガタロック競演!

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 お返しに永田のキックを捕らえて、諏訪魔のアンクルホールド&鎌固め&サソリ固め!

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 3段式バックドロップは…さすがに失敗し、諏訪魔のチョップで3人まとめて吹っ飛ぶ。
 しかしこの後、大日コンビの2段式バックドロップ“眉山”が征矢に炸裂。

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 そして永田は諏訪魔を指差してアピールしてから、バックドロップで征矢を沈めた。

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 勝利の永田さんと大日コンビ、3人で敬礼!

 26分の長丁場の中で、諏訪魔はバックドロップはおろか、ラストライドもジャーマンも放つ機会が無かった。そのグツグツした感じは見ていて伝わる。
 そして急造の外敵トリオが意外にも好連携を披露していたのに対し、全日勢はまだ荒さや雑さが目立っている。
 諏訪魔は雑ではあっても力押しスタイルで強引に押し切ってしまうのが魅力なのだが、征矢は力押しスタイルなのに押し切れてないので、何も出来てないというか…。真田は未来のエースを感じさせるけど、まだ突き抜けるものは無いかな。
 そして全日は連携らしい連携も出来ず。タッグの全日、と言われるくらいなんだから頑張らないと。


・スポーツナビによる詳報
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/fight/other/live/2011/2011061201/index.html

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 さて、意外や意外、ここ何回かの後楽園ホールでは最も内容の濃い大会だったと思う。
 出場停止となってしまったTARUとヴードゥーマーダーズは、その悪役っぷりとヤラレっぷりで全日マットに多大な貢献をしてきたのは間違いない。
 だが5年もやってるとマンネリ気味だったのも事実なので、これを機にマンネリ打破・新展開に繋げるべきだと思う。
(起きてしまった事、選手管理・安全策の問題は責められて然るべしだが、それを今試合している選手達が引きずるのは良くないので。)

 試合数が6試合なのも丁度良い。後楽園で7~8試合も見せられると集中力切れてダレるから。
 試合数は少なく。バリエーション多く。で、全体にボリュームを持たせるのが理想的。

 惜しむらくは…というか、おかしいと思ったのが、社長を引責辞任した武藤から、何の言葉も聞けなかった事。
 内田取締役→新社長だけ挨拶させて、事故の時点で(巡業に同行してなくても)責任者だった武藤から一言も無いというのはどうなのか。ファンは一言、謝罪でもハッタリでも良いから、武藤の生の声を聞きたかった筈だ。


 あと全日本プロレスという団体そのもののピンチに昔からのファンが駆けつけたたらしく、全体的に野次は多かったけど、それは激励であったりツッコミであったりして、嫌なものではなく、懐かしい感じもした。

 そんなわけで「マイナスをプラスに変える」のが、プロレスの力だと思います。