「すぎやまこういち 音楽の道~恋のフーガからドラクエまで」
 テレビ朝日「題名のない音楽会」、先日また、オペラシティホールで観覧させていただく機会を得ました。

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 私、人生で最初に買ってもらったCDが「交響組曲ドラゴンクエストIII」(NHK交響楽団)でしたからね。
 いや、それ以前の子供の頃はまだ、CDじゃなくてレコードとカセットテープの時代だったからなんですけど。
(一般家庭にCDが普及するのは80年代後半。ちなみに特撮ヒーローでは最初にCD発売されたのは1987年「交響組曲・超人機メタルダー」から)
 同じく すぎやま先生の「交響組曲ゴジラvsビオランテ」も1989年の当時品のCD持ってるからね!
 自衛隊のスクランブル・マーチと、IVの勇者のテーマ、出だしの音がほぼ一緒だって気づいたからね!
 
 そんなわけで当日の収録での内容を、番組の勝手な宣伝を兼ねて可能な限り、記してみます。これらは既に別の場所で語られてる事も多く、また細かい表記ゆれもあるでしょうが、全体の流れや文意はこれで合ってると思います。
 ただ、音楽の専門用語はあまり分からないのと、トークが弾んでメモしきれなかった部分も多いので、ぜひ!10/9の本放送を全力で確認してください

(あらかじめ申しておきますが、私が愛して止まないのは作曲家としてのすぎやまこういち先生と、その作品達です。すぎやま先生が2ちゃんに傾倒した辺りから起こした政治活動や、憲法9条への発言に関しては、共感も同意もいたしません。と、最初に書いておきます)

× × ×

 待ちきれない会場の空気を察してか、開始早々、司会の佐渡裕氏と本間智恵アナに呼びこまれて、細身でスーツをビチッと着た老紳士が、スタスタと歩いてくる。
 後述のトーク内でも触れられますが、すぎやま先生は直立した姿勢、たたずまい、タクトを振る動き、惚れ惚れするくらい大変に美しいのです。
 まず簡単な経歴などのトークから。

すぎやま「ポップスを聴かない家だったので、僕が初めてジャズを聴いたのは大学時代の、グレン・ミラー楽団」(1954年の映画「グレン・ミラー物語」?)

佐渡 「僕はドラクエを7までやってるんですよ。ゲーム音楽なのに、まるでワグナーみたいな感じがして」

すぎやま「嬉しいねぇ~」

佐渡 「(すぎやま先生が歌謡曲でやってた)ポップスってアメリカなのに、(DQの曲は)ヨーロッパのクラシックの匂いがするんです」

すぎやま「一番最初にクラシックを聞いたのが終戦後のベートーベンの5番6番。レコードがすり切れる程 聴いたねぇ」

佐渡 「音楽家を目指してるのに、何で文化放送やフジテレビに入社したんです?」

すぎやま「旅になりました! (大学入試で)あらゆる音大の資料取り寄せたんだけど、みんな入試にピアノがあったので、僕はピアノ弾けなかったから、ダメ。(作曲は)まるまる独学。だから放送局へ入って、その中で音楽の仕事をしていた」

× × × 

◆ ドラゴンクエストIより“序曲”

 昨年のゲーム音楽特集などの時と同様、御自ら指揮台へ。演奏は東京交響楽団
 最早、何の説明もいりませんが、シリーズ全体のオープニング曲で、シンプルかつ勇壮な、DQ1のバージョンです。
 演奏後、本間アナにうながされて、これらの作曲法の説明へ。

本間 「すぎやま式作曲法その1、『大ヒットは5分で生まれる』」

すぎやま「理屈でこねまわしたメロディってのは、良くないんです。5分くらいでスーッと出てきたのが良い。ただ、5分で出る様になるまでが大変。だからドラクエの音楽ってのは、5分+55年。(の積み重ね。DQ1作曲時点で54歳)」

× × × 

◆ すぎやまこういちヒットパレード

 「亜麻色の髪の乙女」「学生街の喫茶店」「恋のフーガ」をオーケストラで。
 「亜麻色」はオーケストラアレンジだと、まるでDQのどこかの街の音楽の様なイメージで、明るくてリズミカルな曲だった。
 「恋のフーガ」のちょっとしたアレンジを入れた遊び心は、ぜひ番組をチェックされたし。

佐渡 「今のも5分ですか?」

すぎやま「そう甘くない。亜麻色の髪の乙女は5分だったけど、恋のフーガは、ザ・ピーナッツの曲を作ってくれってんで、作詞家と一緒にホテルにカンヅメでした」
(この辺で、曲名の由来なども話していたが、専門用語が多くて記憶できず。基本的にすぎやま先生の時代は作詞家の立場が上で、曲名は作詞家がつけていたとの事)

佐渡 「CM音楽も沢山やってらっしゃいますけど、コツは?」

すぎやま「そりゃ、やっぱり商品を売らなきゃいけないんで、15秒で客の心をつかむ!」

佐渡 「(歌ってみる)♪ハウスバーモント~カレ~!ヒデキ、カンゲキ~…あ、ホントや。つかみが沢山ある!」

× × × 

本間 「すぎやま式作曲法その2、『モチーフが命』」

すぎやま「モチーフはレンガの一個。積み上げて建物が出来る。…ちょっとやってみましょう」
 (ここで指揮棒を振り上げ、ベートーベンの交響曲5番の、ジャジャジャジャーン!部分を演奏)

 次に、テッテレレ~!という4音のモチーフを演奏。
 文章では表現しづらい音だけど、これはDQ6では街の井戸や洞窟へ入った瞬間の前奏などに何回も使われてる。

すぎやま「さて、次の曲はこの4つの音が、延びたり裏返ったりしながら、何回出てくるか数えてみてください…」
(ここですぎやま先生は、DQ6を「組曲6番」と呼んでいた)

× × × 

◆ ドラゴンクエストIVより“魔王との対決”

 大魔王デスタムーアとの決戦シーンの音楽です。
 話が少し逸れますが、DQ6は、前作DQ5に比べて地味というか暗い印象があって、同人誌やコスプレでの人気もあまり高くないんだけど、昨年のリメイク版をやってみて印象が変わりました。
 夢と現実を行き来する個々のイベントが決してハッピーエンドにならない、明確な仇がいる訳でもなく、自分自身を探す為に旅をする…というのは、90年代後半の鬱屈した空気の中でこそ生まれた、非常にハードかつアバンギャルドなドラクエだと思う。
(同年に、エヴァ最終回やカーレンジャーやシャンゼリオン等の異色作が生まれていた事と併せて考えるべし)
 大魔王デスタムーア自体は、魔王ムドーとダークドレアムに挟まれてイマイチ印象の薄い大魔王なんだけど、この、同じモチーフの音が重なっていって、迫り来る様な迫力は、ぜひとも聴いていただきたい。
 ちなみにテッテレレ~!のモチーフが演奏中に何回使われていたのかは…それは放送をお楽しみに。

すぎやま「戦前には学校にピアノが無かった。高3の時、坊っちゃん学校だったんで仲間と音楽部を作ったけど、僕は楽器できないんで指揮になった。その時の後輩のトランぺッターが、服部克久」
(この後、当時の服部克久氏の演奏中の失敗談など)

× × × 

本間 「すぎやま式作曲法その3、『いくつになっても感受性』」

すぎやま「いくつになっても、感動できる心を持ってる事、これが一番大事!」

佐渡 「今日見てて、ホントに立ち姿が美しいんです」
 (ここから指揮の形などの話)

すぎやま「元々、指揮は我流だった。でも、演奏家の方から教えてもらった」

佐渡 「(客席へ)今日生まれて初めて、さっきのベートーベンの5番を指揮したらしいですよ!」
 (客席から大きな拍手)

佐渡 「80歳、このあとどんな音楽人生を送っていきたいですか?」

すぎやま「命あるかぎり続けたい!今も次の作品作ってるけど、初心を忘れず頑張りたい!!」

本間 「では最後の演奏は、ご自身も思い入れがあるという、この曲です…」

× × × 

◆ ドラゴンクエストIIより“この道わが旅”

 DQ2のEDテーマ。そして「ダイの大冒険」では歌詞つきでEDに使われましたね。
  あの、ゲームバランス調整を忘れた様な凶悪な難易度。たった一文字違いで数時間を台無しにする復活の呪文。ロンダルキアの洞窟を抜けて広がる雪原、ハー ゴンと戦うまでの3幹部、ハーゴン戦の後に不意打ちで降臨されるラスボス…このEDテーマを聞きながら、長い苦労が報われたという達成感や感動に浸った 事、思い出します…。

× × × 

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 今回の放送はちょっと先で、地上波では10月9日予定です。
 つまり、昨夏の「ゲーム特集」みたいな夏休みの子供向けを意識した企画ではなく、本当に一人の音楽家としての「すぎやまこういち特集」、なんですよね。

 ちょっと悔しいなーと思ったのは、客席が2週前の「仮面ライダー・スーパー戦隊特集」(→こちらの記事参照)より明らかに埋まっていた事と、司会の佐渡氏の態度が渡辺宙明先生の時より、明らかに かしこまっていた事。
 やはり世間では、ドラクエ>スーパー戦隊なのか…。
 いや、戦隊もドラクエに負けないポジションまで押し上げていきますよ!


 だからガソリンは出光で入れます!


[関連記事]
昨年6月のTDCコスプレフェスタでの“ドラクエ コスプレコンテスト”レポ
 (審査員だった堀井雄二先生や すぎやまこういち先生らを拝見してきた際の記事)


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