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 それは、優秀な宇宙の悪を教育する、ザンギャック第三高等学校の卒業式の日…。
 ジェラシットは帰宅する気になれませんでした。
 あまり裕福ではない家の末っ子な彼は、卒業と同時に軍へ入隊し、明日からは厳しい訓練を受けなくてはなりませんから。
 さしたる思い出も無い校内をうろついていると、ふと、裏庭に咲いている“宇宙伝説の樹”の下で、同じクラスのインサーン(宇宙3月の早生まれなので、卒業式の時点では宇宙年齢17歳)が、たたずんでいるのが目に留まりました。 実は彼は、インサーンに密かに思いを寄せ続けていたのです。
 「(これは…チャンスだ。何度も告白しようとして諦めてたけど、思いを伝える、最後のチャンスなんだ…!)」
 勇気を振り絞り、そっと声をかけたジェラシットでしたが…次の言葉が出てきません。
 なぜならインサーンは、早々に推薦で宇宙の有名大学へ進学を決めてしまった才女。自分なんかに釣り合う訳が無い…。
 しばし見つめ合い、沈黙の後、ようやく出てきた言葉は
「上京しても頑張れよな。もしイ ンサーンが、夢だった科学者になれたなら、お、俺…何だってしてやるよ…なんてな!」
「うん…?またまたー…でも、ありがとう!」
 あと一歩が踏み出せなかった後悔、意気地なしの自分自身への怒りが、その後のジェラシットに重くのしかかりました。
 そして、時は流れ…。
 改造手術と実験の繰り返しで、 互いに人格は幾分か変わってしまいましたが、地球へと派遣される艦隊の中には… 
 夢をかなえて科学者になったインサーンと、「何でもする」と約束した ジェラシットの姿があったのです。

 …たぶん。

× 
× × × ×
 
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