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・ コンテンツ産業向け知的財産フォーラム~サンライズのコンテンツ活用戦略~ 
 3/1、中野ZEROのセミナー行ってきましたー。
 対象は「コンテンツ関連事業に従事する中小企業の方」なのですが、空席あれば個人でも参加できるとの事だったので、なかなか貴重な機会じゃないかと思って参加してしまいました。
 劇場を使ったセミナーだったので500席という大規模でしたが、半分位は埋まってたと思います。
 そんなわけで書き起こしてまとめるので、資料として読んで下さい。
 既に語られてる話も多いと思いますが、一通り残します。
 
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■第1部 基調講演 
「メディアの変革とコンテンツの活用
 ~機動戦士ガンダムからTIGER & BUNNYまで~」
 講師:宮河 恭夫氏 ((株)サンライズ 専務取締役)


 宮河さんはバンダイの営業出身なので、非常にトークが饒舌で、言葉がポンポン飛び出してきます。
(94年、「Gガンダム」時期にサンライズはバンダイグループの傘下に入っており、以後、経営陣はバンダイから出向してくるケースが多くなった)
 以下、第一部は「 」で括っている箇所は宮河専務の言葉です。なるべく文意に沿って表現したいと思います。


■■ 「ガンダムユニコーン」のウィンドウ戦略 ■■

「変わった形でのガンダムが作りたいと思いました。TVではなく、小説から始めようと。だから最初は全く映像化は考えていませんでした」

「2006年から始めて、全10巻で200万部。ファーストガンダム世代をターゲットに、30,40台向けガンダムを作ろうとしたので。その後、2008年頃から、映像化を模索する様になりました」

ウィンドウ戦略というのは、通常ならまず最初に映画館で上映して、その数ヶ月後にDVDを出して、有料chで放送して、ネット配信して、最後に地上波でTV放送…みたいに、間を空けて行う戦略です」
(同サンライズの銀魂劇場版のTV放送では「DVDもあらかた売っちゃったからTVで放送」ってネタにしてましたね)

[参考]ウィンドウ戦略とは ~ exBuzzwords用語解説 

「そのウィンドウを、無くしたいと。映画を見たらそこでDVDブルーレイが買えて、ネットでも配信(1話1000円で3日間ストリーミング視聴可)。僕は前から『映画を見て感動したら、すぐソフトを買える様にしたら良いのに』ってずっと思ってたので」

「これらを一緒のタイミングでやる事に、各社の抵抗もありました。『それぞれが売れなくなるのでは?』と。でも僕は、ネットで見て面白ければ劇場の大画面で見たくなるだろうし、ソフトも欲しくなるだろうと」

「ブルーレイはDVDと違って各国のリージョンコードが無くて共通なので、北米・仏・英・台湾・香港でも同時発売」

「劇場でバンダイの限定プラモデルやブルーレイを併せて売って、一人一万円程度の単価になるビジネスにしてます。シネコンでは映画の半券を見せないとブルーレイが買えないという形にしました」

「十数件の劇場で公開して、2週間で7万人。8000万円の興行収入。映画の中では高い売上。これまで4話やって、DVDとブルーレイで計70万枚。フ ツーは回を追う毎に売上は落ちるんですけど、UCは逆に上がっていってる。映画・ソフト化・ネット配信…一緒にする事でビジネスが広がりました

「アメリカに出張した時に見た本屋では、本屋の中にイスが有って、そこに座って中身をじっくり読んでから買って行く。日本では立ち読みって良くないイメージ有るのに」

ガンダムSEEDの時も、放送から6時間後にネット配信しましたけど、視聴率が落ちた訳でもなく、DVDも売れました」

「情報の無い時代は隠す事が有効だったけど、今は内容を見せて、納得して買ってもらう時代。これは作り手には厳しい時代です。名前ではなく、良いものを作らないと売れない」

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Q. ネットで配信するとソフトを買う人は減るのでは?
「国民性もあるでしょうが、日本人は手元に置いてコレクションしたいと考えてる。だから、良いものを作って見せて、手元に置いておきたいと思わせられるかだと思う。所有欲を掻き立てられるかどうか」

Q. UCはともかく、AGEは不評ですよね?
「今の2期目はまだしも、1期目はネットでかなり叩かれた。でも叩かれようがビジネスがしぼもうが、それは仕方無い。後に残せるかどうかなので、信念を持って作っていくだけ。…まさかAGEの話が出ると思わなかったのでドキドキしました(苦笑)」

Q. SEEDの時に女性ファンが多く付きましたが、マーケティングはしていたのでしょうか?
「SEEDの女性受けは全く狙っていなかった。実はタイバニもそう。ダブルオーの時もSEEDで付いたファンをどう裏切るかを考えていた」

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■■ 「タイガー&バニー」に見るTVアニメの新たな取り組み ■■

 1,キャラクタープレイスメント
 2,TVとWEBで同時配信


「2010,11,24日経新聞で、プレイスメント(ヒーローのボディに広告としてロゴを載せてくれる協賛企業)を募集して、多くの問い合わせを頂きました。8人の ヒーローに17社のロゴが入りました。企業ってイメージを大事にするので、僕の方は全く気にしてなかったんですけど、『まさかウチのロゴを背負って人を殴ったり、 壊されたりしないよね?』って心配されました」

(MBSの視聴率/ユーストリーム視聴数の表を見せつつ)
1話目で視聴率2%、ユースト2955人。2話目で7902人。ユーストの数字がドンドン伸びて、10話目で5万人。視聴率は2%前後で変わりません。 最終回は視聴率3.8%、ユーストで93490人でどちらも過去最高。つまり、メディアが増えても、視聴率は落ちないという事です」

「ユーストを選んだのは、ツイッターと連動できるからです。土曜の夜はタイバニ関連でツイッターのホットワードを独占しました」

「最終回のライブビューイング(映画館でイベントを行い、それをさらに各地の映画館で中継する)は、23000人動員しました。そして2万人も映画館に来てるの に、視聴率もユーストの数も落ちないんです。TV放送はMBS・BS11・東京MXだけ。それで全国区の人気になったので、いかにネットのチカラが凄いか」

昔のTVは家族で見るものだった。今は一人一台になってる。映像を見ながら語る機会が無い。みんなで見る一体感が今の地上波には足りない気がする。だからユーストというか、ツイッターと連動したかった」

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Q. 牛角が入ったら安楽亭が入れない様に、一業種一社になってしまう事への心配は?
「それはそんなに気にしなかった。ただ、ロゴを背負ったキャラが商品化できるのか?ってのは気になった。だからそこは始まる前段階でクリアしておいた。でもロゴを背負って戦う形は、タイバニが最初で最後だと思う」

Q. サンライズとしては「セイクリッドセブン」の方が推してたと思うが、タイバニは当初のビジネス規模はどの程度を想定していたか?
「売れないって言う声の方が大きかった。だから最初の方は誰も商品化していない。アニメイトさんでクリアファイル出してた程度。最初3ヶ月くらいは売り込みは不発だった」
「今はエンターテイメントに徹するのが難しい。セイクリッドセブンはSF。タイバニは最近アニメを見なくなっていた人向けのベタなヒーローアニメ疲れて帰ってきたサラリーマンが見るものを、として考えていたので、女性ファンが入って来てくれるとは全く思わなかった

Q. 2chまとめサイトをどう思う?
「ありがたいな、と。今、マーケティングが入ってるとか言われてるけど、便利なツールだと思う。僕は元々バンダイにいたので、必ず現場でお客さんの反応を見る様にしてるので。今、池袋のナンジャタウンでタイバニのキャンペーンやってるけど、平日の昼間に女性が一人でチャーハン食べてる。これも本当にありが たい」

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■第2部 パネルトーク
 パネリスト:
  宮河恭夫氏(同上)
  今泉裕美子氏
  (東京コンテンツインキュベーションセンター(TCIC)ビジネスコーディネーター)
  (マーザ・アニメーションプラネット(株)ビジネスデベロップメント マネージャー)
  田島英行
  (東京都知的財産総合センター 知財戦略アドバイザー)


 後半はパネルトーク形式で、小泉さんの進行に沿って宮河さんと田島さんが発言していく形式です。こちらの方は言葉をそのまま並べるより、まとめた方が分かり易いと思い、そう書きます。

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 著作権に関する判例として二例。

 2001年最高裁判決「キャンディ・キャンディ事件」
 原作者の水木杏子さんが、漫画を作画した いがらしゆみこさんを、無断で漫画のコマ絵を使ってグッズ販売したとして訴えた件。
 これは、漫画はあくまで水木さんの原作ありきで作られた「二次著作物」であるとして、そのコマ絵を使ったグッズ販売などでは原作者の許可が必要とした。
 作画を担当した漫画家単独では、コマ絵を使った商品展開は行えない事になりました。
(なお、これが両者の溝をさらに決定的にしてしまい、キャンディは商品展開が殆ど行えなくなっている)

 2002年地裁判決「アニメ『宇宙戦艦ヤマト』事件」
 ヤマトの著作者は誰かという事が、松本零士監督と西崎義展プロデューサーで争われた件。
 アニメ作品は漫画ではなく、関わる人間が多いので著作権法上の「映画の著作物」に当たるとし、著作者=その映画の全体的形成に創作的に寄与した者(だから通常は監督やプロデューサー)として、西崎さんを著作者として認めた。
(一時期、ヤマトの(C)表記がコロコロ変わって、コミックGON誌に「著作権を借金のカタにしないでほしい」などと書かれてましたが)

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・商標権… タイトルロゴや図形など。保護期間10年、更新可能。
・意匠権… 立体の形状、デザインなど。保護期間20年。

 意匠権は取るのが大変なので、まず商標権を取る
 先日、中国でガンダムの海賊版プラモを売っていた業者を訴えた際、金型の破棄、賠償金まで取る事が出来た。この画期的な判例は、「ガンダム」という商標権で戦ったから。

 中国では日本と同じ先願主義なので、早い者勝ちになってしまう。
 逆に「クレヨンしんちゃん」は先に現地の業者が商標を取ってしまったため、正規商品を売る事が出来なくなってしまった。

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 今多いのが「製作委員会」方式。
 何社かでお金を出し合って、権利も皆で持つ方式。リスクが少ない代わりに、何かする時には全員の合意を得ないといけません。
 サンライズではあまり使わず、独自に制作する事が多いです。
 タイバニも自社オリジナルなので、自分達で決められるメリットがあるとか。

 またサンライズは商品化権も自社で担当を置いて管理する。小さい会社ではなかなか担当を置くのは難しいが、これは自社で商品をコントロールして、クオリティを保ったり、バッティングを防げるメリットがある。

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 中国で最近多いのは「コンセプトコピー」。
 そのまま海賊版を作るのではなく、「5色のヒーロー+巨大ロボ」といった、既存の著作物のフォーマットだけを使って、新しく作るパターンが出てきてるそう。
 逆に、フォーマット権を売るビジネスというのも今ある。ドラマやクイズ番組の海外版みたいに。
 宮河さんが嬉しかった事として、最近、中国で18mのガンダムを作った際は、これが世界中でニュースになってすぐ撤去したので、これはネットの効果。
 
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 コードギアスが海外でどの位、違法アップロードで配信されてるか調査を行った事があるとか。
 放送の24時間後には5言語48時間後には40言語72時間後には60言語に翻訳されて海賊版が配信されていたらしい。
「これはもう、
ファンがやる事に関しては仕方無い事だと思います。でも、それによって利益を得ている方々には、サンライズは厳しい対応を考えます」とは宮河さんの言葉。


 で最後に、こういった知的財産の保護に関して、弁護士の紹介や、費用の助成なども行っている、東京都知的財産総合センターをアピールして終わりました。