さぁー!今年もやって来ましたお祭りシーズン。
 8月の世界各国代表が名古屋に集まるチャンピオンシップの大きさに比べて、イマイチ注目度の上がらない国内予選。
 一出場者でもあり、コスサミの悪質なファンorストーカーでもある駄チワワによるレポートのシリーズでございます。
 今年は東京国際アニメフェア予選が消滅したので(後継イベントのアニメジャパンには引き継がれなかった)、ニコニコ超会議予選が最初の地区予選になります。

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[ニコ生での音楽使用に関する豆知識]

 えー、まず、ニコニコ超会議予選の特有のルールとして、ニコ生で放送される都合上、使用できる楽曲が制限される、というのがあります。
 皆さんご存知のように、日本の殆どの音楽はJASRACという団体に管理を委託しています。
 通常の放送局というのは、いちいち番組で使用する曲を申請するのが手間なので、年間売上に応じてまとまった金額をJASRACに払う代わりに、いくらでもJASRAC登録曲を使って良いという“包括契約”を結んでいます。
 しかしニコニコ動画やYouTubeといった動画サイトでは、そこまで高度な契約をJASRACと結んでいません。
 楽譜を使用して自分で演奏したり歌ったりするのは自由ですが、CDの原曲をそのまま流してはいけないのです。個人ならまだお目こぼしが現状ですが、企業による番組でそれはご法度です。
 このため超会議予選のみ、楽曲に以下のような制限がかかります。

1, ニコニコ動画が個別に使用許可を得ている楽曲リストから選ぶ
 (発祥がニコニコであるボカロ曲や、ニコニコで公式配信されたアニメの曲など
2, JASRACに登録していない著作権フリーの曲を使う
3, JASRAC登録曲を自分で演奏する


 しかし上記のような制限だと、そのまま使える楽曲は殆どボカロ系になるのに、今度はコスサミのルールが「同人作品不可」なので、ボカロ系の中でもゲーム化・ミュージカル化されてる曲しかモチーフに出来ないという、かなり厳しい条件になります。
 昨年はこの使用制限を本番2週間前に告知したため、内容の変更が効かずに辞退したチームなどもおりまして、あげく前日夜にニコ生の中止が決まるというゴタゴタを招きました。
 今年は1ヵ月前の告知だったので、まだ良心的?

 で、僕は3の方法でやる事にしましたが、PC打ち込み音楽をやってるようなクリエイティブな友人はいなかったので、自分で演奏しました。

 口笛で。
 ウン。

 無謀だと思いましたが、とりあえず他に方法もありません。
 試行錯誤を重ねる内、何が面白いかよく分からなくなって、4/26当日を迎えるのでした。

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[審査員]
・乾たつみ(コスプレサイトCure管理人)
・山本麻子(コスプレ専門誌コスモード副編集長)←大変な時期に…
・万鯉子(2013日本代表チーム沙久)
・FRAN(2013日本代表チーム沙久)
・柴田昭(WCS日本代表選考会オーガナイザー/コスプレイベントCOSSAN代表)
 司会は綾川ゆんまおさん。

 基本ルールとして、日本のアニメ漫画ゲーム特撮をモチーフに(外務省や経産省の後援する大会なので、国産コンテンツへの誘導が責務)、自作衣装で、二人一組による、2分半のパフォーマンス。
 配点はコスチューム10・パフォーマンス10・リスペクト5点満点で集計。

・ コスプレの祭典NiconicoCospllection@ニコニコ超会議3[DAY1]
この日の数時間分のタイムシフト動画↑
予選会は1:10頃~。


■ 伊達心 「進撃の巨人」(1:26頃~)
 ジャンとピクシス。
 友の死を引きずるジャンが、生きねばならないと決意するというお話し。
 ビジュアル的な再現度は一番だったと思う。セリフのやりとりに頼っちゃうと聞こえにくいかな。

■ MUSIC NOW 「VOCALOID」(1:33頃~)
 「指切り」(コスサミは同人音楽不可だが、「プロジェクトDIVA2」でゲーム化されているのでOK!)マイク片手に生歌でダンス。
 ミクとセーラー服の少女が、番傘を使ったりしながら見せていく。
 普段は3人でコピーバンドをやってるチームらしいです。

■ モノクロ団 「カゲロウプロジェクト」(1:39頃~)
 ボカロ小説のカゲプロから、テロリストに囚われたシンタローとカノの脱出劇。
 元ネタが分からないので何が起こっているのかちょっと分からないのですが、セリフや効果音が凝ってるなーと思いました。

■ 今日も元気に狩りに行き隊 「モンスターハンター」(1:45頃~)
 女ハンター(ジンオウガ装備)に叩き起こされて、パジャマ姿の男ハンターが寝起きで鎧(リオソウル装備)を装着していくというコント。
 こ・れ・は…! 今まで早変わりに挑戦したチームは多々あったけど、着替える過程をネタにするってのは初めてじゃないか?
 一人なのに使ってるのがYES/NO枕(曰く、夜のソロハンター)だったり、途中でワイルドタイガーのマスクを装着という小ネタを交えて、モンハンを知らない自分でも見ていて面白かった。
 山葵さんは昨年の超会議予選はバイオハザードのリッカー、一昨年はモンハンのジンオウガで出場していた造型派レイヤー。

■ Seeker 「ドラゴンボール」(1:51頃~)
 セリフ一切なしで、トランクスvs人造人間17号の格闘&剣劇アクション。
 後半でトランクスがスーパーサイヤ人に変身(ウィッグを替えるだけで効果的)して逆転勝利するという展開。
 実はコスサミでは大人の事情で集英社作品が禁止なのだけど(知られてない?)、予選では可になってるらしい。
 スピーディで見所が多く、DB世代としては舞台袖から見ていて興奮した。
(至近距離でレーザーポインタを顔面に当てる演出は、当人達が練習していてもさすがに危険ではと思うのですが)
 ちなみにトランクスのNagiさんは昨年の超会議予選の代表で、FF7のクラウドだったイケメンレイヤー。
 17号のウサコさんは、この日、直前までこの超コスプレエリアステージの司会をしながら出場という強行っぷり。

■ チーム大連立 「仮面ライダーシリーズ」(1:57頃~)
 鎧武(すごろく版)&ディケイド(食玩版)による「中高年に平成ライダーを認めさせる緊急特番」。
 鎧武OPを口笛で演奏しながら踊りつつ、唐突に劇場版の宣伝が始まり、結局は「平成ライダーなど認めん!」と怒られて東Aやバ○○イのロゴと一緒に吹っ飛ばされてしまう、少しだけ皮肉っぽい内容。
 特撮ジャンルの問題として、公式のヒーローショウと被るのが嫌なので、「再現性よりもパロディ」をテーマに我々がんばりました。

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 全チーム演技終了後、(版元のインフォレスト社が倒産して休刊している)コスモードの山本麻子副編集長から、6月に別の出版社からコスモードが復刊予定である事が発表。
 また審査集計中、昨年の日本代表チーム沙久のエキシビション演技(悪魔城ドラキュラXで、大道具を使用しないバーション)を挟んで、結果発表。

 ウィッグ賞は…モノクロ団。カゲプロ。
 そして、最終選考への通過第一号チームは…今日も元気に狩りに行き隊。モンハンチーム!
 アクションが殆ど無いのに、衣装と小道具の造形力の高さ、コミカルな小ネタをまとめるセンスで評価されたように思う。後で「視線を動かさなくてもジックリ見れて、内容が分かり易い」と観客の一人から聞きました。
 ドラゴンボールも凄かったけど、コスサミは去年から再び「パフォーマンスだけでなくやっぱり衣装も重視」という流れになってる様な気がするので。


 ハイ、落ちました!
 条件は誰でも同じなので、純粋に我々の力不足でした。
 でも、勝ったチームも(一人が)自分達と同じ3年前の東京予選から挑戦していた人で(2012年は最終選考のポートメッセ名古屋で一緒でした)、自分達も特撮という得意ジャンルでやれるだけやって負けたので、悔しいは悔しいけど、同時にサッパリした気持ちでもありました。

 終了後にバックステージで落ち込んでる他チームの某氏を見て、あぁ、記念参加じゃなくって、本気で練習して準備して、今日に賭けてたんだなぁ…と思いました。
 大人になってしまうとなかなか、本気で何かに打ち込んだり、その本気がバッサリ切り捨てられて落ち込むって事が減っていくんですけど、それを味わえる数少ない機会ですから。
 青臭いですし、コスプレでの勝敗なんてバカバカしいですけど、その虚像を全力で掴みにかかる人達の姿が、良いのです。
 僕がコスサミの予選を見て各地を回ってる理由はそれです。

 まー、予選会まだ残ってるしね。
 とりあえずニコ生での放送が入らない他の予選には楽曲の使用制限が無いそうなので、そっちで悪ノリしてみたいと思っております。

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 もう一つ書いとく。
 超コスプレステージの隣がね。政党ブースだったんですよ。
 メイン展示の街宣車がね…党のスタッフがずっと麻生太郎大臣の物真似やフリートークしてて、そして集まった希望者を壇上で演説させるという、超会議の名物(?)なんですけど。
 基本的に街宣車ってのは屋外の演説用な訳です。これをホール内で使うと、本当に大音量が流れてくる。
 正直、自民党ブースだってもう去年ほどの人混みは無いんですけど(ただし他の政党ブースがもっと冷めてるんで相対的には一番多いとゆー、日本の政治構造そのまんま)、逆に言うと今このブースに來てる人ってのは、熱心な支持者が多い訳で…。
 ちょうどこの日はコスサミ予選の開始時刻で、自民党ブースには首相(当時)が来場しましてね…。
 タイムシフト動画でもNo.1~3位の演技の合間に、よく聞くと首相や、その後の興奮してる支持者の皆さんの演説音声が入っちゃってるんですよ…。
 隣のコスプレステージの演技の音声にまで「日本の領土が」「集団的自衛権を」みたいな、強い意味を持つ言葉が被さってくるのは、こっちとしてはやり難くて仕方無いのです。
 某チームの人も、演技用の音声が聞こえなくてタイミングがずれてしまったと裏でボヤいておりました。
 別に政策云々の事は言いませんよ。選挙期間中の候補者の街頭演説ならうるさくても政治の行方を決める情報源ですから、我慢しますよ。ただ他ブースと隣接してるホール内でこういう企画を展開するなら、せめて音量をもう少し配慮していただけないものか…。
 無理ですかね。ニコニコ超会議としては「来てもらってる」立場でしょうから。

 ってゆーか、ニコニコ超会議の運営は、首相とコスプレ、どっちが大事なんですか!?
 …あ、首相の方ですか。じゃあ仕方ないです。
 でもダイオウグソクムシは首相数代分の任期期間中ずっと絶食してたんだからな! だからどうって事は無いけどな。


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昨年のコスサミ超会議予選では、こんな社会風刺に挑戦してやっぱり落ちた人がいたらしいですね。

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 あと、注意して見ておくからね。
 今回、6チーム中1チーム通過だったでしょ。
 これがもし後で他の予選会で、昨年の大阪予選みたいに3チーム中1チーム通過、みたいな倍率になったりしたら…さぁ、今回落とされたチームの皆さんが、どんな風に思うでしょう。
 という事を今年の研究テーマにしてみたいです。


 5/4大阪予選、5/10アニメイト池袋予選、5/17刈谷予選、あとWEB予選、6/29スターライズタワー最終選考、全部見に行きますよ?
 という訳で今年もまた、8月の名古屋でのチャンピオンシップと大須コスプレパレードまで、ひたすら駆け回る日々が始まったのです…。

世界コスプレサミット「ニコニコ代表選考会」代表決定 -コスプレイヤーズアーカイブニュース-

(自分達の演技は客観的に見られないので、ぜひ他の皆様の視点から感想を頂きたいです。そして、磨きます!)

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[その後]
 
 予選に落ちて、その後コスプレエリア回って、早目に着ぐるみ片付けて、車に荷物積んだ後。
 今回は出展者用の弁当がもらえたので、車内でもぐもぐ食ってましたよ。
 自分なりに全力出して落ちたのって、やっぱ残念じゃないですか。色々考えちゃいます。

 気を紛らそうとして、久々にスマホの電源入れましたね。
 そしたら、他の特撮オタのリツイートで回って来たのが、「仮面ライダーディケイド」で主人公・門矢司を演じた井上正大君の「!?」という一言と画像で、クリックしたら

https://twitter.com/MAAAAAAAASAHIRO/status/459942870791634944

 うああぁぁぁぁぁッ!!
 超会議に來ていたディケイドご本人が、僕らの箱ディケイドと箱鎧武の写真上げてるぅぅぅ!!

 いやー…このWライダーが並んで外に出ていたのって正味1時間程度なんで、ホントにピンポイントで「通りすがりの」状態だったんでしょうね。
 決してキチンと認めてもらった訳じゃ無いけど、変身前を演じたご本人からリアクションがもらえたのはすごく嬉しいです。

 ホラ、「再現よりもパロディ」って言い張ってたの、当たったじゃん!
 すごい副賞だよ!