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 先週から週刊モーニングで連載始まった「コンプレックス・エイジ」読んだのですよ。
 かなり綿密にコスプレを取材してて、完コス主義の26歳レイヤー女子の不毛なまでのこだわりとか、周囲とのギスギス感とか、人混みの中での中傷とか、あるあるネタを越えて具体的事例を思い起こしてしまい、胃痛起こすレベルで面白いよ!

 基本的にコスプレを題材とした漫画って、過去にもあったけど、ヒットしてないんですよ。
 商業誌で版権キャラの衣装使えないし、ハウツーものにしても読む人限られてしまうし、だから中途半端なお色気路線になってしまったりするし。

 そこへ、コレ。
 徹底的にリアルに、かつ、コスプレ村の住人だと触れにくい、ギスギスした部分をテーマにして来ましたねー。
 例えるなら、同人誌を作ってる人達が平野耕太作品の「大同人物語」に出会った時の衝撃…と書くと、レイヤー以外にも分かりやすいかな?

 切り口としては佐久間結衣さんのデビュー作となった、ちばてつや賞入選作(同名)とほぼ同じですが、前者が34歳ゴスロリ主婦の物語だったのに比べて、こちら26歳コスプレイヤーの派遣社員で、より趣味人の層が厚くて広い分、群像劇の臭いがしてきます。

 デビュー作の読み切り版「コンプレックス・エイジ」はweb公開されてます。
http://www.moae.jp/comic/complexage/0 

 でもこれ、描写細かすぎて一般モーニング読者に伝わってねーだろな部分が結構ありましてね…。
 主人公達の会話シーンが更衣室ではなくメイクスペース(ビニールシート上で靴脱いでる)になってるとか、せっかく細かく描かれてるのに、コスイベを知ってる人じゃないと分からないの勿体ないなーと思いました。
 同誌で連載中の「いちえふ」が解説だらけなのに。

 なので私、目についた部分を勝手に、「コスプレ知らない人が読んで分かるように」超訳してみようと思います。
(仮面ライダークウガがCSで放送された際のグロンギ語超訳版みたいな…)
 あくまで勝手に!

[追記]連載版「コンプレックス・エイジ」の第一話が無料公開はじまりました。
http://www.moae.jp/comic/complexage 
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「私は完璧だわ」
 完コス=完璧なコスプレ主義者、の事。本作の重要テーマの一つだと思われる。
 手が届かない二次元キャラに対して、どこまで行っても完璧などある訳も無いのに、だからこそ追い求める人もいるのかもしんない。遊びというより求道者のようになってしまう人もいる。
 自分がこだわるのは結構だが、他人の色間違いやパーツ省略などに文句を付けるのはウザがられる。

「26歳」
 平成元年が1989年なので、最後の昭和生まれ世代…。
 コスプレ雑誌のアンケートによると、始める時期は10代後半の学生期に集中している。
 次から次へと若いコが出てきて、数年ごとに入れ替わっていく世界なのである。
 26歳は世間的にまったくババアではない。レイヤーとしても珍しくはない。
 が、女児向けアニメの魔法少女キャラをやるにしては…リアル10代と並ぶと違和感が出ますね。

「あんなマーク入って…」
 原作が存在しないオリジナルアニメで発生しがち。設定画では見えない部分がふいに画面に出てきた瞬間の驚きと「しまった!」。
 劇中のセリフで「ウルルコスに命かけてる」というのがあるので、同キャラをやり始めてから時間が経過している事が分かる。おそらく1クールアニメではなく、1年あるいは長期シリーズの女児向けアニメなのだろう。

「あと22時間」
 スマホの時刻が7:58なので、土曜の朝8時のアニメを見て、日曜の朝6時に家を出るという時間軸かな?
 主人公が26歳という年齢を考えると、ちゃんと寝ないと目の下にクマの出る年齢でもあるから、土曜に他の用事がある場合は作業時間は限られる。
 
「ビッグサイトの隣」
 1996年に開業したTFT(東京ファッションタウンビル)は、かつては臨海地区開発のために独自の第三セクターによって運営されていたが経営破たんし、周辺施設とともに2006年に株式会社東京ビッグサイトへ統合される。
 大理石の壁や自然光の入る大きな窓が特徴で写真が綺麗に撮れるので、デジカメ普及後の2000年代の殆どの土日はコスイベに使われていたが、最近はイベント&スタジオ乱立で開催減少気味。
 なお、お台場~有明地区(プラザ平成・テレコムセンター・東京レジャーランドetc)のコスプレイベンターといえば、主に勇者屋&C-NETさんのテリトリーである。

「コスプレする人2000円/しない人3000円」
 コスプレイベントではコスプレイヤーとそれ以外(カメラマンなど)で参加費が異なる事が多い。概ね、レイヤー以外の方が参加費が高い。
 ただし、コミケやゲームショウのようなコスプレ専門以外のイベントでは、コスプレイヤーだけが更衣室料金という形を負担する。(カメラマンも無料での登録は必要という場合もある)
 作品中の会場にいるカメラマンは3000円も払って写真を撮りに来てるガチな人達なので、声をかけられる=被写体としての価値を認められる、という事。

「描くのは嫌」
 …衣装に直接、模様を描く行為の事。時間や予算が無い場合にやる人が多いが、失敗してブレやすいのと、あまり見栄えは良くない。
 ただし全体に細かい模様をビッチリ描いていく恐ろしい技術者もいる。

メイクのシーン
 大きめのイベントでは、女子更衣室とメイクスペースが分かれている。ありがちな着替えシーンではなくメイクシーンで物語が進む辺り、お色気路線には行かないという現われかもしんない。
 多人数の女子(ウィッグネット使用状態)が靴を脱いでビニールシート上に座り、密集して一心不乱に顔を描いているという、まるで修行僧のような光景は、その辺の耐性の無い男子が見るとトラウマを発生させるので注意。

「デカババア」
 聞こえるように悪口を言うのが女子のたしなみです。

高島屋タイムズスクエア
 1カットのみ背景に登場。新宿南口。ユザワヤと東急ハンズが入っており、価格帯は若干高めだが、都心勤めの人が帰宅前に寄りやすい。
 ハンズには甲冑の作例などが展示されており、完全に客層として狙われている。

第一話ラストシーン
 自分が過大な努力で近づこうとしているキャラのイメージを、素で持っている若いオンナノコが、自分のファンを名乗りながら現れた…という衝撃と恐れ?

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 と、自分が着ぐるみレイヤーなので当事者ではない部分もあるのですけど、一歩引いた視点で見られてる可能性もあるのでご容赦を…。
 これ、毎回は無謀でも2.3週に一回ずつまとめていくと、壮大な現代コスプレ文化録になるかもしんない(笑)
 とりあえずモーニング読もうぜ! 


・ Dモーニング(電子書籍版) 
http://app.morningmanga.jp/


 そして、第二話のまとめにつづく→
 


コスモ昨年号にはウルル型紙付属。