趣味のコスプレイヤーが主人公の漫画でありながら、ゲーム「ダンガンロンパ」との公式コラボ回とゆー事で注目を集めた前後編、ゲームに負けず劣らずサスペンス満載でした。
(人の命ではなく、女子の価値観やメンツを殺す、という意味)

 モーニング本誌内での掲載順が後半に下がり気味なんですけど、中綴じ週刊誌ってジャンプみたいに掲載順と人気順って連動してるのかな?看板作品のカバチタレ!だって後ろ行ったり巻頭になったりするし。
 みんな、巻末アンケートに感想書いてモーニング編集部に送ろうぜ!
 では今週も「この細かすぎる描写をコスプレイヤー以外の読者にも伝わるよう勝手に解説」してみます。

・ 第1話の公式無料配信ページ 
・ 1話解説まとめ記事 
・ 2話解説まとめ記事 
・ 3話解説まとめ記事 
・ 4,5話解説まとめ記事 
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>派遣社員イジリ
 いきなり重い描写ですが、その会社の正社員から見ると、派遣社員ってのはやっぱり外部の人間で、自分の仕事を奪うかもしんない人/いずれ居なくなる人、なんですよ。
 「かといって転職先もないし」とボヤく主人公・渚ですが、この先も“自分一人で生きていく”つもりなら、その仕事によってもたらされるキャリア形成も含めて、考えないといけないんだよね。
 その現実逃避や鬱憤晴らしが、変身願望=コスプレだというのも、非常によくある話で、別に女優やアイドルになりたいのではなく、ひたすら“日常の外側”に行きたいんだよね…。
(という様なシビアな描写から入るコスプレ漫画って無ぇだろ…)

>「そんな優しい人ばかりじゃないよ…世の中には私達のことをまるで別の生き物みたいに見てくる人もいるのよ?」
 重いッつの!でも、ウンウンとうなずくレイヤー読者は多いと思う。
 これは環境にも寄るんですけど。
 日本人って特にムラ社会と言うか、普通ではない事=悪い事、みたいに解釈しがちなんだと思うんですよ。
 アヤは学生なので、バイト先などでもあまり立場の上下は無いし、友達感覚でオープンにできるのだと思う。
 社会人だと、立場の異なる(責任を負う)人達、つまり好きでもない人達と常に同じ場所で仕事しなくてはならないので、特に余計な趣味の話などして突っ込まれたりイジられたりしたくないのである。
 あと我が社の●●課の人達は、忘年会の席でブログの感想伝えて来なくていいですから。

>お母さん
 回想ながら第一話以来の登場。右目の下に涙ぼくろが二つ…?やっぱりどこかで見た様な。

プラザ平成(東京国際交流館)
 バブル期のウォーターフロント計画、夢の跡。お隣は日本科学未来館。
 日本学生支援機構JASSOが運営する、多目的ホール。
 国際交流のためのホールなので(?)、建物周囲の万国旗、広い芝生の庭、ホール内の絨毯が特徴。コスイベに参加してもなかなか、まったりできる。
 ただし劇中の様な同人誌即売会は当会場では行われていない。

 またプラザ平成に入る幾つかの主催団体の中には「日本コスプレ協会」なる大層な名称があるが、実体は老舗イベンターのC-NET。かつて2007年に同名の業界団体を作ろうとして頓挫し、このプラザ平成での開催時のみ、このヘンテコな主催名が残っているのであった。
(※日本にはまだコスプレの協会や業界団体は存在しない。それっぽい名称を冠する組織があってもそれは実体を伴っていない)

 その後、勇者屋さんは当会場でのイベント開催時、模造紙を貼った看板にモノクマの画を描いて、この漫画のシーンを再現していた。

テレコムセンター 
 バブル期のウォーターフロント計画、夢の跡。お隣は日本科学未来館。(さっきも書いたな…)
 都の第三セクターにより運営される、多目的ホール+オフィスビル。
 巨大な凱旋門のような形状で、広い窓が並ぶ近未来的な地上21Fからなる施設内と、付近の公園にも外出できる。

 お台場~有明の臨海地区の施設は第1話のTFT(東京ファッションタウンビル)などもそうだが、基本的に金余りのバブル期にウッカリ設計・開発されたので、景色や装飾が綺麗かつ一般人は少ないとゆー環境が、コスプレイベントを開催するにうってつけだったのである。
 そしてこのバブル遺産施設がコスプレイベントの聖地化する現象は、全国各地で起こっている。

>オンリーイベント
 コスプレでの特定作品オンリーイベントは殆ど存在しない。同人誌即売会と違ってサークルと買い手に特定作品に絞った売買が発生する訳でも無く、コスイベにおいて重要なのは主にロケーションなので、作品を限定する意味が無いのである。
 オンリーイベントと呼ばれるものは、基本的には特定作品の同人誌即売会+コスプレも可、のイベント。劇中でもダンロンの本を買ったりする描写がある。
 なお、「ダンロン公式とコラボ」はあくまでコンプレックス・エイジという作品に対しての公認であって、コスプレイベントや同人誌即売会にダンロンが公認を出した例はない。

>モノクマ
 ダンガンロンパシリーズのマスコットにして重要なファクター。
 声を演じる大山のぶ代さんは、サンライズ初期の問題作「無敵超人ザンボット3」神勝平役でおなじみ。
 しかしモノクマは「ザンボット3」で例えるなら、人の命を玩具にする残忍
な性格はキラー・ザ・ブッチャーであり、ポジション的にはコンピューター・ドウル8号でもある。
 という様に、今後も若い読者にも分かりやすい説明を心掛けたい。
「アキ、お前は何のために生まれてきたんだ…ガイゾックに追いかけられ、殺されるために...?」
「俺たちは、つまらないことなんか、しなかったよな…なぁ…アキ…」
「さ、寒いよ…父ちゃん…」

 希望と絶望、善と悪がひっくり返る富野アニメの“毒”、ぜひ体験してほしい。
 大山のぶ代さんは他にも有名な役があった気がするけど忘れた。

>大神さくら
 集合コマにいる“超高校級の格闘家”。
 ヒゲの剃り残しとセーラー服の胸の詰め物感で、おそらくは男性レイヤーによる女装コスなのだろう。
 すっごい細かい事を言ってしまうと、この辺の会場にさくらの女装コスプレイヤーがいる光景は厳密に考えると珍しいのである。
 毎週のようにコスイベの開催されているお台場の各イベント会場だが、会場や警察の無理解だったり主催イベンターの方針だったりして「男性による女装コスプレは禁止」となっているケースが多い。
(個人の考えとして、ルール設定は主催や会場側の持つ権限だけども、外見が問題なら男装女装ともに「他人に不快感を与えないように注意」、行動が問題ならその問題行動を起こした個人を排除するベきであって、性差を基準に一律の禁止事項を設ける事は本来、「合理性を追った不条理」だと思っている)

 しかし、さくらは女子ながら“超高校級の格闘家”という設定なので、男性が女装しないとあのガッチリ肉体にはならないのである。
 基本的にコスプレってのは日常にはあり得ないトンチキな滑降する遊びなのだから、一律の男装OK女装NGなんてのも、なんだかよく考えるとアホらしいルールなのだが。
 なお、このダンロンレイヤー達の集合コマは、棚橋なもしろ先生の作画らしいです。

>不二咲千尋
 一応言っておくと、“超高校級のプログラマー”千尋はダンロンキャラ内で一番華奢で小柄でふんわりした、男の娘です。
 そのコスプレしてる主人公の渚は本当に小さくてカワイイキャラが好きなんだなー…。

>江ノ島盾子
 渚の隣で公子がやってる“超高校級のギャル”胸囲80cm。
 最も軽装なのでカメラマン指向の公子はコレなんでしょうな。ソバカスはきっと茶系のアイペンシルで描いてる。
 読者モデル設定のキャラなのでスタイルが良いが露出度はそれほど高くないので、おそらく公子は乳の左右から補正を入れる事で、ギュッと胸を押し上げて谷間を強調しているのだと思われる。

 オタク界隈には「ピンクは淫乱」という言葉があり、盾子以外に、すーぱーそに子・巡音ルカなどピンク髪のコスプレしてる場合、ビッチ認定を受けやすいので気を付けよう。

>澪田唯吹
 志保がやってるのはダンロン2“超高校級の軽音楽部”イブキ。
 市販セーラー服の改造で作れる衣裳、左右非対称のゴテゴテ装飾品などで、難易度の低さの割にコスプレ感が高いので、初心者レイヤーにも人気。

>セレスティア・ルーデンベルク
 アヤがやってる“超高校級のギャンブラー”二重人格…ではなく、怒ると豹変するタイプ。なお設定上は純粋な日本人でありこれは偽名。
 あの巨大縦ロールは元々がウィッグ着用という設定である。なのでレイヤーはウィッグ加工の腕の見せ所…と思いきや、最近はあの髪型も既製品で売ってるんですね。

>「一般の方の視線が…」
 上記のように、この十数年で全国各地、閑散期の遊園地・不振な商業施設・観光振興を狙う自治体などなどがコスプレイベントを誘致・開催しまくってるので、一般人の目に触れる機会は非常に多くなった。
 コスプレの集団と遭遇した際、中には怖がる人や怒る人もいれば、見て楽しんでいる人もいて、まぁ後者の方が割と多いので成立している。
 それでも頑に「コスプレは一般人に見せては絶対ダメ」みたいに思い込んでるレイヤー(特にスタジオ撮影メインの若年層がね…)もいるが、それは時代ごとに移り変わる社会常識の中で考えるべきではないか。
 もちろん何をやっても良い訳では無い。だが卑屈になり過ぎる必要も無い。
 往来を妨害しない・過度の露出を防ぐ・変身ヒーローは子供の前でマスクを脱がない・武器や甲冑の安全配慮…マトモなイベンターならガイドラインなどをHPで示しているので、確認しておくと良いでしょう。

>6話ラストシーン
 “仲の悪い職場の人間にコスプレ姿を偶然見られる
とゆー、おそらくは連載中で最もレイヤー読者の心をえぐっているであろうシーン!
 例えば、演劇やダンスをやってる人達ならば、その衣装を着た姿を見られたとしても、そこまで恥じないだろうが。
 コスプレの場合、
オタクがアニメやゲームのキャラの格好をマネしているので(趣味嗜好性癖フルオープン…)、見られると心臓止まりそうになります。きっと。

 この主人公の狼狽っぷりのまま3ページくらい引っ張ってくれても良かったのに…!
 以下、7話。

>「まさか片浦さんもなんて…」
 その苦手な人が、実は同じくコスプレイヤーだった展開!
 予想はあったけど…他人に公言しにくい趣味を持ってる人達ほど、繋がりは強固になります。社会人だと特に。
 コスプレじゃないけど、職場の人とコミケ会場で鉢合わせした経験はあります。ええ。

>四角いカート
 前にも言ったように、この!四角いカートは!コスプレイヤー女子の基本ツール!
 四角くて直立できるカート上に折りたたみ式の鏡を置いて簡易鏡台に早変わりさせるので、この形じゃないとダメなのよ。
 主人公がコレを目にした瞬間にピン!と来たのも、うなづける。
 ってゆーか葉山が原色ウィッグと制服姿の凪=片浦渚を一瞬で見抜いたのも、当人もレイヤーだったから相手の元の顔が見抜けたんだね?
(ホクロを消していなかったのが決定的なのだろうが)

>終里赤音
 ダンロン2の“超高校級の体操部”胸囲93cm
 つまりこの胸囲をほぼそのまま再現できたという事ですよ、葉山さんは!!
(体操キャラとしては不利な設定の体型だと思いますが…)
 本来は健康的な褐色肌なのだが、それを再現するのは社会人的には難しいよね。

>「歳で趣味を諦めるのって…ちょっと違う気がしますし」
 さりげなく、この漫画のテーマなんですよね、これ。
 この直前で葉山の言ってる(打ち上げに)若い子達だけだと気後れしますから」「自然とね、孤立って言うか…」って台詞もそうなんですけど、自分は変わってないつもりでも、周りの人たちが辞めていったり若い子が次々と入って来たりするので、いつの間にか環境が変わってしまう事への戸惑いや寂しさとか、この辺ですごく描かれてるんですよ。
 やっぱり「好き」でやってるからこそ、「好き」だけでは続けるのが難しくなっていく事への恐れは、20代後半に差し掛かるレイヤー女子には多くあると思うんですよね…。
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 全くどうでもいい話ですが、ダンガンロンパシリーズは“超高校級の~”というキャラ固有フレーズがあるように、基本的にメインキャラが高校生なんですよ。
 なので主人公のように20代後半以上のレイヤーがダンロンキャラに手を出す場合は、
『超高校級の年齢』
『超高校級の派遣社員』
『超高校級のほうれい線』
などと陰口を叩かれる覚悟をするように。
 そこの君だ。

 単行本第一巻の発売が8/22に決まったらしいですね。
 よしアンケートハガキ書いたら、単行本も予約しよう。
 さぁて…どう戦い抜くかな…?(最後までザンボット3…)