最終回!
最終回!
早朝3時にモーニング買って読みました!
「描写が細か過ぎてコスプレイヤー以外の一般的モーニング読者層に今イチ伝わってなさそうで勿体ないから、レイヤー視点から勝手に解説」、ついに…万感の想いを込める!
最終回!
早朝3時にモーニング買って読みました!
「描写が細か過ぎてコスプレイヤー以外の一般的モーニング読者層に今イチ伝わってなさそうで勿体ないから、レイヤー視点から勝手に解説」、ついに…万感の想いを込める!
【48話】
久しぶりに上京した公子から、結婚式が一年後に決まった事を告げられる。
公子は、渚の部屋からウルルの衣装が消えている事に気づいた。
ウルルは卒業して、新しい形を探しているという渚。
職場では彼女の勤務態度が上がったと話題になるが、同時に、新橋のキャバクラ街でその姿を見かけたという噂が社内に流れていた。
それを耳にして気になった上司・長谷は、新橋駅で降り、繁華街を歩き回ってみる。そこで見たのは…
■「秋葉原と違って」
長谷課長はNゲージマニアなので、多分、秋葉原駅からちょっと歩いて、末広町近く交差点の辺りに出没してるんでしょうね…。
■「決して人付き合いが得意ではない彼女が、夜の蝶に」
ラストシーンにこのキャッチが。
夜の蝶とは夜の街を彩る水商売の女性に使われる言葉だが、1957年の大映の同名映画により広く普及した。
実際の蝶は昼間に行動する。
夜行性なのは、蛾である。
× × × × ×
【49話】
今日もコスプレキャバクラでバイトする渚。
指名して訪ねて来た客は…長谷だった。
固まりながら接客する羽目になった渚は、「やりたいことがあるんです」と告げる。
■アイスペール
氷を入れておく器。
セットで使用される事の多い、氷を砕く鋭い金属のアイスピックは、2時間ドラマでの凶器にも使用される。
プロレスラーの天龍源一郎は試合後、若手選手やプロレス記者を連れて飲み歩き、グラスではなくアイスペールにウイスキーやブランデーを注いで一気に飲ませるというとんでもない行為が「天龍カクテル」と呼ばれて恐れられた。
■キャバレー
本来は欧州で、ショウを見ながら飲食するレストランなどを指す言葉だった。
日本では戦後、進駐軍の米兵相手にダンスやバンド演奏のショウを見せたり、時間制でホステスが男性客へ飲食の接客をする店の意味となる。
昭和30-40年代の怪獣映画では夜の都市破壊シーンの中に、キャバレー●●といったネオンサインが映っている。その後、オイルショック以降は不景気の影響などで、大規模なキャバレーは姿を消す。
■キャバクラ
1984年の風営法改正後(0時以降の営業禁止)に、急速に普及。
前述のキャバレー(ショウ要素が強く、時間制限あり、安い)に、クラブ(一対一で担当が決まっていて接客し、時間制限は無く、高い)要素を加味した形態を指す、和製英語。
基本は時間制であり、ホステスが一対一(もっと呼べる)で接客する。
ウィキペディアによると、(セーラー服やナースではなく)アニメ系のコスプレキャバクラの発端は2000年、神田駅前の店が曜日限定で開始との事。メイド喫茶ブームと同時期に、その変型として生まれたという事かな。
かつてキャバ嬢スタイルをプッシュして話題だったファッション誌「小悪魔ageha」は一部コスプレイヤーにとってメイクの参考に使われていた経緯がある。
キャバ嬢メイクは元を埋め立て塗りつぶして盛って盛って顔を作るので、ナチュラルメイクの概念がほぼ無いコスプレメイクとの親和性が高かったのであった。
「コスモード」「小悪魔ageha」はどちらもインフォレスト社から出版されていたが倒産し、アゲハよりも先にコスモードが復活した(ファミマドットコムに編集部ごと移行し「COSPLAY MODE」に)辺り、時代の変化が見える。
どうでも良いが、アニメ系のコスプレ風俗(飲食ではなく淫触の方ね)の元祖は1996年頃にオープンした、渋谷「聖コスプレ学園」と池袋「きらめきメモリアル」だと思われる。
当時、評論情報系の同人誌サークルが店長へのインタビューを敢行するなど、注目度の高さと盛況ぶりが伺えた。
単なるアニメキャラの衣装を取り入れただけでなく、オタクな女の子を在籍させていたのが大きかった。
メイド喫茶すら無く、情報の少ない時代、オタク男性にとって、コスプレしたオタク女子と会話したり疑似性行為が出来るというのは、まるで夢のような場所だったのである!
■豪腕拳闘士伝の娘々(にゃんにゃん)
渚の接客用の衣装は、偶然にも長谷が唯一ハマッていたという格闘ゲームのキャラだった…。
何かのフラグか。
格闘ゲームには何故か、「チャイナ服のカンフー娘を必ず一人は登場させなくてはいけない」という、業界での協定だか存在するらしい。
個人的にはこの衣装を見て、ギルティギアの蔵土縁紗夢(くらどべりじゃむ)を思い出しました。烏龍茶の空き缶が頭についてるコ。特に固定モデルは無いかもしれないけど。
■ユザワヤの紙袋
その後、数ヶ月の間、忙しく歩き回ってるシーンの渚が持ってる。また部屋にも置いてある。
赤・茶・黒の3色が並んだ、ユザワヤで買い物すると貰える袋である。
自作派コスプレイヤーの部屋には大概これがあり、小洒落たデザインでオタバレしないと思って不用意に使用すると、同類には分かってしまうのである。
ここを書いてる人はペーパークラフトなので、布は使わず、ロフトやダイソーで素材を揃えるので、さすがに持ってないだろうと思って部屋を見回したら…

あった。
■フリル地獄
不倫地獄ではない。フリルである。
渚と一緒に母・佐和子が何かを手縫いしているシーン。
フリルはあのヒラヒラをフワフワに作ろうとすると、すっごい細かい作業を延々と続けなくてはならないのである。特に女児向けアニメの衣装ではこれが非常に多い。
あの母親、元はゴスロリ趣味なのでフリルを作った経験はある筈だが、30年前に捨てた母の技術を駆り出す渚は、さりげなく鬼である。
そして、貯金に成功し、家を出て一人暮らしを宣言する渚。
キャバクラや風俗でバイトしてるレイヤーの子は、もちろん中にゃーおります。
何故なら、フツーの女の子だからです。
フツーのOLやフリーターや学生が何かの理由で、お金を稼ぐために夜の街で働くのと、同じです。
周りにも何人か経験者が居ます。
聞いてみると、学費とか借金返済とか起業資金とか、明確な目標があって働いてる人は貯められるけど、何となくお金欲しい位の意識でやってると、結局は浪費する金額も増えてしまうので、残らない&抜けられないそうですが。
× × × × ×
【50話】
時は流れ、公子の結婚式。
渚は既に28歳を迎えていた。
まばゆいウェディングドレスを着て、人生の門出を飾る公子…。
それは、渚が作って贈ったものだった。
■オタ友テーブル
主に新婦が隠したい黒歴史を握っている友人たちを、隔離するべく設けられる。
親類でも会社関係でも学友でも無さそうな、年齢層のバラバラな(←ありがち!)集団が1テーブル与えられていたら、それは…。
■葉山
痩せて細くなっております。輪郭が丸い以外はほぼ元通りですが、よく見ると胸も痩せております。
もしや痩せると胸から落ちるタイプだったのか…!?
■今週の
新郎の春太が使う抱き枕としてまたまた登場。
自分が作ったものを他人が着ている姿に、感動する渚。
自分のやりたい事、夢のあり方を再確認して、東京への帰路へ。
× × × × ×
【51話・最終回】
片浦渚、30歳の誕生日。
それは働きながら服飾専門学校で勉強してきた彼女と、葉山が一緒に起業した、オーダーメイドコスプレ衣装制作店の開業の日だった。
祝いのために駆けつけてきた公子・綾・志保。
■「私達の会社は公式の許可を取ることを信条としてます」
葉山の営業の腕の見せ所!
(初登場で既に30代だった葉山、そこから4年近く経過している訳で、つまり…)
多分、1995年に起業した老舗衣装業者でおなじみ、(株)コスパ(旧コスチュームパラダイス)の最初ってきっとこんなだったと思うんですよね。
コスプレを自分でやる以外に、イベントやったり衣装を作るのが好きな人たちが集まって、オーダーメイドで受注して、後に起業して会社にして、権利元からライセンスを取得して、「本物を作る」っていうコンセプトを打ち出して、大量生産して…。
(アニメイト系のACOSとの違いは、ACOSは全国のアニメイトでの店舗販売が前提だったから「売りたいものを作る」、コスパは物好きの集まりなので「作りたいものを売る」)
基本、ライセンスを取得すると価格に上乗せされる。
ライセンス料はモノが売れた数ではなく、作った数で発生するので、まとまった数が見込めないと発売も再生産も出来ない。
なので、オーダーメイドでの公式ライセンス取得衣装というのは実際は殆ど無い。人によって体格が異なるし、予算に応じて素材やディティールを調整するのがオーダーメイド品なので、一個ずつ公式が監修できないし、そこを丸ごと任せてくれる権利者は殆ど無いからである。
公式ライセンス衣装でオーダーメイドと呼ばれるものは、生地などは決まっていて、袖や胴回りなどを個人を採寸して作る、「半オーダーメイド」(セミオーダー)である。
どのみち、大量生産品ではないので価格は相当に高くなるだろう。
コスパでの過去ライセンス商品の参考をば。
半オーダーメイドの「エヴァンゲリオン」アスカ用プラグスーツは、50万円を超える。(生地など共通で、店舗で個人の体格を採寸する)
受注限定生産の既製品「スレイヤーズ」リナ衣装なら、8万円。(サイズ別あるが個人の体格に合せてはいない)
大量生産の既製品「ラブライブ」学園制服のリボンタイだけで3500円するので、ライセンス品の高さはご理解頂けるか…。
オーダーメイド品でライセンス取得っていう渚の店に近いのは、コスプレ衣装どっとこむさんかな…。でも取得できてるのは(他社で商品化の機会が無く、割と融通の利く)マイナー作品に限られてるのであった。
[衣装製作の可否なんとなく]
・公式ライセンス衣装 →真っ白
・自作衣装 →著作権法の私的利用範囲内でセーフ
・友人に作ってもらった衣装 →同上
・無許可オーダーメイド衣装 →割とグレーだけど商標ロゴとか使わなきゃ黙認 (?)
・無許可で既製品衣装 →本当は黒だけど割と黙認(?)
・他社から公式衣装が出てるキャラの無許可で既製品衣装 →どアウト(?)
…と言っても現状、調査兵団ジャケットや島風セーラーなんかはライセンス衣装が複数社から販売されているにも関わらず、無許可の既製品を売ってる業者も多くて、安いのでそっちを買ってしまうレイヤーも沢山いる訳で…なぁ。
購入派レイヤーの皆さんにも、公式ライセンス品が出ている衣装は、なるべくそちらの購入を推奨したい。
■「このお店だってこの先どうなるかわかんないしさ」
何となく暗示してるけれども、渚と葉山の選択は、現実的には、非常に厳しい競争を強いられる事になるでしょう。
小さい業者がライセンス品に拘って製作するのは、大手業者だけでなく、無許可の激安衣装業者とも同じ土俵で戦う訳ですから。
昔から小さいコスプレショップは沢山あったけど、最近は店舗型は減っているように見える。
大手のアニメイトや老舗のコスパ(コスパティオ)が大規模な店舗展開をして、公式の既製品衣装だけでなくウィッグからカラコンから小道具まで一店舗ですべて揃えられ、ついでに撮影機材やスタジオ運営までもトータルで行う形になってるので、小さい業者では店舗そのものは構えず、工房+ネットショップで切り盛りし、たまに大規模コスプレイベントに出展して直販売する形が多くなった。渚の店もこの形だろう。
■「それが、あんたなりのコスプレへのしがみつき方ならいいんじゃないの?」
もうコスプレはしないのかと問われた渚、「わかんないや、今は」と反応。
そんな渚を公子(妊婦/安定期)は、上記の言葉でやんわり受け止めます。
コスプレが好きだけど、完璧主義者としての自分に限界を感じ、自分がコスプレする以外の方法で、関わり続ける事の答えが、これでした。
■「オバさんになったって撮ってあげる」
公子は渚と同じ歳なので、30歳はまだオバさんではないと、さりげなく主張しています。
同時に、公子もまたカメラマンとしてコスプレに関わり続けるという宣言ですよね。
■「好きは呪いだ。苦しくて、とても、心地よい」
最終回を飾る名言である。
苦しいのに楽しい。そう、あり続ける事を、彼女は選択したのである。
今年のコスプレ流行語大賞候補。
× × × × ×
あああぁぁ!
終わったぁぁー!!
駆け抜けた!一年間。
昨年5月22日に開始されてから、作者の佐久間結衣さんも、煽る編集の方も、追っかけるファンも、肯定派も否定派も、ひたすら走り続けたであろう日々が、ついに終わりました!
若干、端折ったようにも見えましたが(キャバ生活とか、会社を辞めるくだりとか、長谷とのその後とか)、綺麗に着地してくれました。
読み切り版で物議を醸した「大好きだから、理想と現実が離れてゆくのが許せず、全てを捨てる」結末に対して、「大好きだから、形を変えて関わり続ける」結末は、時間をかけて描いた連載版ならではでしょう。
よく考えたら新人作家による初連載が丸一年ちょっと、全く休載も無しに続いたのって、凄い事だと思います。
抉られ過ぎたので少し休ませてほしい人も、もっともっと深く抉ってほしい人も、両方居ると思うけど、とりあえず今は、おつかれさまでした。
いつかまた、「二代目」「セカンド」みたいな形で帰ってきてくれる事を信じてます。

りう が、な。
~終~
久しぶりに上京した公子から、結婚式が一年後に決まった事を告げられる。
公子は、渚の部屋からウルルの衣装が消えている事に気づいた。
ウルルは卒業して、新しい形を探しているという渚。
職場では彼女の勤務態度が上がったと話題になるが、同時に、新橋のキャバクラ街でその姿を見かけたという噂が社内に流れていた。
それを耳にして気になった上司・長谷は、新橋駅で降り、繁華街を歩き回ってみる。そこで見たのは…
■「秋葉原と違って」
長谷課長はNゲージマニアなので、多分、秋葉原駅からちょっと歩いて、末広町近く交差点の辺りに出没してるんでしょうね…。
■「決して人付き合いが得意ではない彼女が、夜の蝶に」
ラストシーンにこのキャッチが。
夜の蝶とは夜の街を彩る水商売の女性に使われる言葉だが、1957年の大映の同名映画により広く普及した。
実際の蝶は昼間に行動する。
夜行性なのは、蛾である。
× × × × ×
【49話】
今日もコスプレキャバクラでバイトする渚。
指名して訪ねて来た客は…長谷だった。
固まりながら接客する羽目になった渚は、「やりたいことがあるんです」と告げる。
■アイスペール
氷を入れておく器。
セットで使用される事の多い、氷を砕く鋭い金属のアイスピックは、2時間ドラマでの凶器にも使用される。
プロレスラーの天龍源一郎は試合後、若手選手やプロレス記者を連れて飲み歩き、グラスではなくアイスペールにウイスキーやブランデーを注いで一気に飲ませるというとんでもない行為が「天龍カクテル」と呼ばれて恐れられた。
■キャバレー
本来は欧州で、ショウを見ながら飲食するレストランなどを指す言葉だった。
日本では戦後、進駐軍の米兵相手にダンスやバンド演奏のショウを見せたり、時間制でホステスが男性客へ飲食の接客をする店の意味となる。
昭和30-40年代の怪獣映画では夜の都市破壊シーンの中に、キャバレー●●といったネオンサインが映っている。その後、オイルショック以降は不景気の影響などで、大規模なキャバレーは姿を消す。
■キャバクラ
1984年の風営法改正後(0時以降の営業禁止)に、急速に普及。
前述のキャバレー(ショウ要素が強く、時間制限あり、安い)に、クラブ(一対一で担当が決まっていて接客し、時間制限は無く、高い)要素を加味した形態を指す、和製英語。
基本は時間制であり、ホステスが一対一(もっと呼べる)で接客する。
ウィキペディアによると、(セーラー服やナースではなく)アニメ系のコスプレキャバクラの発端は2000年、神田駅前の店が曜日限定で開始との事。メイド喫茶ブームと同時期に、その変型として生まれたという事かな。
かつてキャバ嬢スタイルをプッシュして話題だったファッション誌「小悪魔ageha」は一部コスプレイヤーにとってメイクの参考に使われていた経緯がある。
キャバ嬢メイクは元を埋め立て塗りつぶして盛って盛って顔を作るので、ナチュラルメイクの概念がほぼ無いコスプレメイクとの親和性が高かったのであった。
「コスモード」「小悪魔ageha」はどちらもインフォレスト社から出版されていたが倒産し、アゲハよりも先にコスモードが復活した(ファミマドットコムに編集部ごと移行し「COSPLAY MODE」に)辺り、時代の変化が見える。
どうでも良いが、アニメ系のコスプレ風俗(飲食ではなく淫触の方ね)の元祖は1996年頃にオープンした、渋谷「聖コスプレ学園」と池袋「きらめきメモリアル」だと思われる。
当時、評論情報系の同人誌サークルが店長へのインタビューを敢行するなど、注目度の高さと盛況ぶりが伺えた。
単なるアニメキャラの衣装を取り入れただけでなく、オタクな女の子を在籍させていたのが大きかった。
メイド喫茶すら無く、情報の少ない時代、オタク男性にとって、コスプレしたオタク女子と会話したり疑似性行為が出来るというのは、まるで夢のような場所だったのである!
■豪腕拳闘士伝の娘々(にゃんにゃん)
渚の接客用の衣装は、偶然にも長谷が唯一ハマッていたという格闘ゲームのキャラだった…。
何かのフラグか。
格闘ゲームには何故か、「チャイナ服のカンフー娘を必ず一人は登場させなくてはいけない」という、業界での協定だか存在するらしい。
個人的にはこの衣装を見て、ギルティギアの蔵土縁紗夢(くらどべりじゃむ)を思い出しました。烏龍茶の空き缶が頭についてるコ。特に固定モデルは無いかもしれないけど。
■ユザワヤの紙袋
その後、数ヶ月の間、忙しく歩き回ってるシーンの渚が持ってる。また部屋にも置いてある。
赤・茶・黒の3色が並んだ、ユザワヤで買い物すると貰える袋である。
自作派コスプレイヤーの部屋には大概これがあり、小洒落たデザインでオタバレしないと思って不用意に使用すると、同類には分かってしまうのである。
ここを書いてる人はペーパークラフトなので、布は使わず、ロフトやダイソーで素材を揃えるので、さすがに持ってないだろうと思って部屋を見回したら…

あった。
■フリル地獄
不倫地獄ではない。フリルである。
渚と一緒に母・佐和子が何かを手縫いしているシーン。
フリルはあのヒラヒラをフワフワに作ろうとすると、すっごい細かい作業を延々と続けなくてはならないのである。特に女児向けアニメの衣装ではこれが非常に多い。
あの母親、元はゴスロリ趣味なのでフリルを作った経験はある筈だが、30年前に捨てた母の技術を駆り出す渚は、さりげなく鬼である。
そして、貯金に成功し、家を出て一人暮らしを宣言する渚。
キャバクラや風俗でバイトしてるレイヤーの子は、もちろん中にゃーおります。
何故なら、フツーの女の子だからです。
フツーのOLやフリーターや学生が何かの理由で、お金を稼ぐために夜の街で働くのと、同じです。
周りにも何人か経験者が居ます。
聞いてみると、学費とか借金返済とか起業資金とか、明確な目標があって働いてる人は貯められるけど、何となくお金欲しい位の意識でやってると、結局は浪費する金額も増えてしまうので、残らない&抜けられないそうですが。
× × × × ×
【50話】
時は流れ、公子の結婚式。
渚は既に28歳を迎えていた。
まばゆいウェディングドレスを着て、人生の門出を飾る公子…。
それは、渚が作って贈ったものだった。
■オタ友テーブル
主に新婦が隠したい黒歴史を握っている友人たちを、隔離するべく設けられる。
親類でも会社関係でも学友でも無さそうな、年齢層のバラバラな(←ありがち!)集団が1テーブル与えられていたら、それは…。
■葉山
痩せて細くなっております。輪郭が丸い以外はほぼ元通りですが、よく見ると胸も痩せております。
もしや痩せると胸から落ちるタイプだったのか…!?
■今週の

新郎の春太が使う抱き枕としてまたまた登場。
自分が作ったものを他人が着ている姿に、感動する渚。
自分のやりたい事、夢のあり方を再確認して、東京への帰路へ。
× × × × ×
【51話・最終回】
片浦渚、30歳の誕生日。
それは働きながら服飾専門学校で勉強してきた彼女と、葉山が一緒に起業した、オーダーメイドコスプレ衣装制作店の開業の日だった。
祝いのために駆けつけてきた公子・綾・志保。
■「私達の会社は公式の許可を取ることを信条としてます」
葉山の営業の腕の見せ所!
(初登場で既に30代だった葉山、そこから4年近く経過している訳で、つまり…)
多分、1995年に起業した老舗衣装業者でおなじみ、(株)コスパ(旧コスチュームパラダイス)の最初ってきっとこんなだったと思うんですよね。
コスプレを自分でやる以外に、イベントやったり衣装を作るのが好きな人たちが集まって、オーダーメイドで受注して、後に起業して会社にして、権利元からライセンスを取得して、「本物を作る」っていうコンセプトを打ち出して、大量生産して…。
(アニメイト系のACOSとの違いは、ACOSは全国のアニメイトでの店舗販売が前提だったから「売りたいものを作る」、コスパは物好きの集まりなので「作りたいものを売る」)
基本、ライセンスを取得すると価格に上乗せされる。
ライセンス料はモノが売れた数ではなく、作った数で発生するので、まとまった数が見込めないと発売も再生産も出来ない。
なので、オーダーメイドでの公式ライセンス取得衣装というのは実際は殆ど無い。人によって体格が異なるし、予算に応じて素材やディティールを調整するのがオーダーメイド品なので、一個ずつ公式が監修できないし、そこを丸ごと任せてくれる権利者は殆ど無いからである。
公式ライセンス衣装でオーダーメイドと呼ばれるものは、生地などは決まっていて、袖や胴回りなどを個人を採寸して作る、「半オーダーメイド」(セミオーダー)である。
どのみち、大量生産品ではないので価格は相当に高くなるだろう。
コスパでの過去ライセンス商品の参考をば。
半オーダーメイドの「エヴァンゲリオン」アスカ用プラグスーツは、50万円を超える。(生地など共通で、店舗で個人の体格を採寸する)
受注限定生産の既製品「スレイヤーズ」リナ衣装なら、8万円。(サイズ別あるが個人の体格に合せてはいない)
大量生産の既製品「ラブライブ」学園制服のリボンタイだけで3500円するので、ライセンス品の高さはご理解頂けるか…。
オーダーメイド品でライセンス取得っていう渚の店に近いのは、コスプレ衣装どっとこむさんかな…。でも取得できてるのは(他社で商品化の機会が無く、割と融通の利く)マイナー作品に限られてるのであった。
[衣装製作の可否なんとなく]
・公式ライセンス衣装 →真っ白
・自作衣装 →著作権法の私的利用範囲内でセーフ
・友人に作ってもらった衣装 →同上
・無許可オーダーメイド衣装 →割とグレーだけど商標ロゴとか使わなきゃ黙認 (?)
・無許可で既製品衣装 →本当は黒だけど割と黙認(?)
・他社から公式衣装が出てるキャラの無許可で既製品衣装 →どアウト(?)
…と言っても現状、調査兵団ジャケットや島風セーラーなんかはライセンス衣装が複数社から販売されているにも関わらず、無許可の既製品を売ってる業者も多くて、安いのでそっちを買ってしまうレイヤーも沢山いる訳で…なぁ。
購入派レイヤーの皆さんにも、公式ライセンス品が出ている衣装は、なるべくそちらの購入を推奨したい。
■「このお店だってこの先どうなるかわかんないしさ」
何となく暗示してるけれども、渚と葉山の選択は、現実的には、非常に厳しい競争を強いられる事になるでしょう。
小さい業者がライセンス品に拘って製作するのは、大手業者だけでなく、無許可の激安衣装業者とも同じ土俵で戦う訳ですから。
昔から小さいコスプレショップは沢山あったけど、最近は店舗型は減っているように見える。
大手のアニメイトや老舗のコスパ(コスパティオ)が大規模な店舗展開をして、公式の既製品衣装だけでなくウィッグからカラコンから小道具まで一店舗ですべて揃えられ、ついでに撮影機材やスタジオ運営までもトータルで行う形になってるので、小さい業者では店舗そのものは構えず、工房+ネットショップで切り盛りし、たまに大規模コスプレイベントに出展して直販売する形が多くなった。渚の店もこの形だろう。
■「それが、あんたなりのコスプレへのしがみつき方ならいいんじゃないの?」
もうコスプレはしないのかと問われた渚、「わかんないや、今は」と反応。
そんな渚を公子(妊婦/安定期)は、上記の言葉でやんわり受け止めます。
コスプレが好きだけど、完璧主義者としての自分に限界を感じ、自分がコスプレする以外の方法で、関わり続ける事の答えが、これでした。
■「オバさんになったって撮ってあげる」
公子は渚と同じ歳なので、30歳はまだオバさんではないと、さりげなく主張しています。
同時に、公子もまたカメラマンとしてコスプレに関わり続けるという宣言ですよね。
■「好きは呪いだ。苦しくて、とても、心地よい」
最終回を飾る名言である。
苦しいのに楽しい。そう、あり続ける事を、彼女は選択したのである。
今年のコスプレ流行語大賞候補。
× × × × ×
あああぁぁ!
終わったぁぁー!!
駆け抜けた!一年間。
昨年5月22日に開始されてから、作者の佐久間結衣さんも、煽る編集の方も、追っかけるファンも、肯定派も否定派も、ひたすら走り続けたであろう日々が、ついに終わりました!
若干、端折ったようにも見えましたが(キャバ生活とか、会社を辞めるくだりとか、長谷とのその後とか)、綺麗に着地してくれました。
読み切り版で物議を醸した「大好きだから、理想と現実が離れてゆくのが許せず、全てを捨てる」結末に対して、「大好きだから、形を変えて関わり続ける」結末は、時間をかけて描いた連載版ならではでしょう。
よく考えたら新人作家による初連載が丸一年ちょっと、全く休載も無しに続いたのって、凄い事だと思います。
抉られ過ぎたので少し休ませてほしい人も、もっともっと深く抉ってほしい人も、両方居ると思うけど、とりあえず今は、おつかれさまでした。
いつかまた、「二代目」「セカンド」みたいな形で帰ってきてくれる事を信じてます。

りう が、な。
~終~