・コミックマーケット90アフターレポート
http://www.comiket.co.jp/info-a/C90/C90AfterReport.html

 現在まだ数字データ部分のみで詳細なレポは後日だそうですが、なかなか面白い数字です。
 グラフ化してみました。
コミケ更衣室グラフ

【サークル申込減、コスプレ登録増】
 サークル申込数が、夏冬ともに3日間開催となった2006年以降では最少を記録。
 よって6年前は66%だったサークル当選率は、今や76%に上昇。
 作品のWEB掲載やダウンロード販売が普及して、弱小サークルは赤字前提で即売会にサークル参加する必要が無くなっているのでしょうか。

 サークル申込数に代わって伸びているのが、やはりコスプレイヤー。更衣室登録数では夏コミで下がって冬コミで上がる傾向がありまして、やはり汗をかくのが忌避されますから。
 前回の冬コミではついに2日目、男女合計で更衣室1万人を突破という新記録で、女子更衣室では登録証の「ちぇんじ」が足りなくなり急遽コピーで追加していたそうですが。今回はそこまでは行きませんでした。

 ただ今年は昨年の夏コミと比べてもコスプレが若干減ってるのは…日程的な都合でしょうか。
 これまで夏コミは1,2日目で更衣室登録はそんなに変わらない傾向があったものの、今年は1,2日目で1,5倍くらいの差があります。
 つまり、社会人は初日が休みではない人が多かった。

 あと、西の屋外展示場コスプレエリア(駐車場の方)がビッグサイト工事の仕材置き場になっていたので使用できず、代わって登場した防災公園はまだ様子見されていたのかもしれません。
 1日目では殆ど人がいなかったのが当日夜にツイッターで周知されて、2,3日目は賑わってたのはそういう事でしょうね。

 で、東ホール外周から横断歩道を渡ってその防災公園まで行った人の感想では、総じて好意的でした。
 カメラマンよりもレイヤーの方が多く、広いスペースが確保できる状態は、往年の晴海会場(96年3月に閉鎖してビッグサイトへ移行)を想起させます。
 近年のコスプレエリアにありがちだった、身動きできない人混みや、カメラマンの囲みに紛れて無断撮影といった光景はありませんでした。

 次回冬コミでは新規オープンする東8ホール“も”更衣室として使用できるそうで、そうなると東ホール~防災公園までの参加者の流れが変わるかもしれません。


【各コスプレエリアの傾向と対策、2016夏】
 今後しばらくビッグサイトの運用が流動的になるので、コスプレエリアの使い方の参考にどうぞ。

■庭園コスプレエリア
 露出系レイヤー多く、ローアングラー多し。
 噴水や植え込みなど遮蔽物が多いので、周りからは見えていないと思い込んで、タガが外れやすい。
 ROM宣伝のために半裸や卑猥なポーズ(ここまではルール内だが)、パンチラや盗撮(迷惑防止条例違反である)がしばしば起こる。
 レイヤー・カメラマンともに初心者向けではないので、タイツなど着用するか、近寄らない方が無難。

■エントランス コスプレエリア
 ビッグサイトの逆三角形の下に位置し、イベント帰りの人が寄りやすいので、常に大混雑。ネタ系多い。
 身動きできない密集度なので、ここではカメラマンは列を作らず、囲み撮影が殆ど。
 更衣室に近いので、歩きにくいロボ系着ぐるみなどは(西の屋外駐車場エリアが現在は使えないので)この辺りに集中し、一般参加者の待ち合わせ目印になっていたりする。
 TV局の取材が最も入りやすいのはココ。

■屋上展示場コスプレエリア
 企業ブースに近いので行列を流し終わるまで使えないが、屋上で空がバックなので綺麗。吹き抜ける海風が気持ちいい。
 床タイルが明るくてレフ板効果で肌色が映える。
露出系はそれほど多くないが、タレント活動の一環でコスプレしてる人(元アイドルとか)や、大道具を使ったネタ系も多い。
 ただし屋上までは階段移動なので、ロボなどの着ぐるみ系は自力では上がれないエリア。
 企業ブース(今回より西1,2ホール)とセットで回りやすい場所なので、WEBニュース系の取材が多い。

■有明西ふ頭公園コスプレエリア
 海がバックなので艦娘や軍装が多い。小道具や帽子が海風で飛ばされると…ポチャン。
 西ホール外周から階段を降りていくという寄りにくい場所にあるので、カメラマンは少なく身内グループやレイヤー同士での交流が主。
 ただし面積は広くなく、あくまで海沿いの遊歩道なので、道を塞がずに譲り合いの精神が必要。
 隠れ家的なエリア。

■東トラックヤード コスプレエリア
 小規模で流行作品が多い。サークル列が無くなった後でないと使いにくいので、実質的には午後からの運用になる。
 456ホール外周よりも、123ホール外周の方が南向きで明るい。また、どちらも屋台が出ているので飲食のついでに寄れる。
 サークルで売り子してるレイヤーがちょっと外へ移動して撮影するのに便利だが、他に比べてこちらのエリアは同人誌メインの参加者が多いので、コスプレへのテンションは低めで、ネタ系は居ずらい空気が。
 大手サークル巡り専門な参加者だと、このエリアとエントランス位しかコスプレは視界に入らないと思われる。

■防災公園コスプレエリア
 ビッグサイト開業当時は広大な駐車場だった場所が、現在はガン研究センターと公園と防災センターになっている。
 東ホール前から横断歩道を渡ると、その名の通り広ーい公園に。直射日光を遮る物が無いので、夏は熱中症に注意。自販機が多く設置されているので水分は取りやすい。
 奥の方にあるヒマワリ畑が小規模ながら隠れた人気撮影スポット。ただし今年(?)は生育が悪く、まだ青い花も多かった。
 使用が始まったばかりでまだ色がついていないが、大人数での集合には最適。ゆるい空気でカメラマンよりレイヤーの方が多く、昔のコミケの風景に近いかもしれない。 なので撮られまくって有名になりたいという人には向かない。
 夏コミでは今後も防災フェアとコラボする事になるのだろうか?
 
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防災公園の芝生。
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「ゴジラと戦った人たち」合わせ。
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ひまわり畑。
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屋上コスプレエリアにて。


(休止中) 屋外展示場コスプレエリア
 現在はビッグサイト拡張工事の仕材置き場になっているが、2016冬コミは工期の切れ間になるため一時的に復活予定。
 西駐車場の辺りを区切って使用している。だだっ広いエリア内には仕切りポールなどは殆ど無いので、主に全体では反時計回りに人がぐるぐる回っているが、あちこちで流れが撮影列にぶつかって複雑な海流を形成している。
 エリアの外周には荷物の大きいネタ系・着ぐるみ系が陣取り、中央部分に行くと女性レイヤーの囲み撮影が行われている。
 一度入ると出口を発見しづらいのと、夏の日差しがコンクリートに反射してキツイのがネックながら、カオスでフリーダムなコミケらしいコスプレの醍醐味がある。

(別主催) となりでコスプレ博
 TFT東京ファッションタウンビルで開催の、伝統あるコミケ便乗イベント。周辺の公園も使用している。
 管轄が別なので、コミケからコスプレのまま移動はできないのと、若干高めの参加費が必要。
 コミケと違いカメラマンも有料なので参加は少なく(=盗撮が起こりにくい)、コスプレイヤーだけのサロン的な雰囲気があり、ビジュアル的な拘りの強い(=メイクに手間のかかる)レイヤーは空調を求めてコミケよりこっちに多く参加する傾向がある。
 専門誌のCOSPLAY MODEはコミケではなくこちらの方へブースを作って取材している位なので、会場内では“コスプレ雑誌でよく見かける有名レイヤー○○さん”と会ったりしやすい。
 ただしレイヤーばかりで観衆は殆ど来ないので、目立ちたがりのネタ系・着ぐるみ系・露出系には不向き。

× × × × × 
 
 さて。
 今回の準備会更衣室アンケートでは、「今後、会期中にビッグサイト会場以外での有明地区でコスプレが可能となった場合、 どのあたりまで行ってみたいですか?または、どのあたりまで移動できると思いますか?」という質問だったので、夢の大橋辺りまでという回答にチェックしました。
 現状、コミケ同日にTFTで開催してる「となりでコスプレ博」がテリトリーとして使っているエリアです。
 もしかしたら将来はビッグサイトを拠点に、有明一帯での“フェス”のような形になるのかもしれません。…コスサミのように?


【世界コスプレサミットとのコラボ成果は?】
 今回、個人的に注目案件として、東西の雄であるコミックマーケット×世界コスプレサミットのコラボが本格的に開始されましたが、その成果は…未知数!
 今年は国内予選ではなく、本場・名古屋での世界コスプレサミットチャンピオンシップ(各国代表チームによるステージパフォーマンスでの世界一決定戦)に、準備会の安田かほる共同代表が審査員として登場しました。
 審査員コメントでは「コスプレというよりお芝居のようで…コミケでもやってみたいけれど、でも場所がね…」というようなお話を5分ほど自問自答しつつ語っておられまして、何はともあれ、コミケでは80年代末に禁止されていたコスプレでの動的なパフォーマンスにも興味持っていただけたなら、そこはプラス。
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愛知県芸術劇場。世界コスプレサミットの8/7(日)チャンピオンシップ表彰式に、安田共同代表。

 そのコスサミの翌週が夏コミだったのですが、30ヵ国中6チームが滞在を延長し名古屋から東京へ移動してコミケに来場、1日目の東ホール外周で撮影会や交流会を行ったのですが…人の集まりはそれほどでもなかった様子。
 ハッキリ書きますが、コスサミの参加者はコミケの存在を知ってるけど、コミケ参加者はコスサミをよく知らないんです。
 名前を知ってる人でも漠然と「コスプレ世界一決定戦とかやってる名古屋のイベント」くらいの認識でしょう。実際は街全体を使った“コスプレの夏フェス”みたいなもので、ステージイベントはその一端でしかありませんが。
 単日でのコスプレイヤー参加数で夏コミを抜いた国内唯一の巨大イベントでもあるのですが、「国際的にも有名、だけど日本国内での認知度は名古屋ローカル」なのがコスサミを取り巻く実態でもあります。

 とりあえず巨大イベント同士のコラボは一歩踏み出したので、これを二歩三歩と進めるかは、次回、冬コミとコスサミ2017の課題でしょうか。

 もしかして。
 東京ビッグサイトが東京五輪の影響で使用不可になる2019夏コミ~2020夏コミ時期に向けて、分散も視野に各地のイベントとの接点を増やしておく作戦だったりして…?まさか、ね。

 

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