話の前段としてアニメイト池袋本店では2013年より、アニメイトパフォーマンスカーニバルアニパフォという素人参加による無料観覧ステージイベントがありまして、これが回を追うごとに大盛況だった訳です。
 アニメ系のパフォーマーらが次々と持ち芸を披露して200人の観客とともに盛り上がる空間は約2ヶ月に一度、1日2回公演。十数組のパフォーマンスチームが数分ずつ出演しますが、その出演希望数は次第に上がって最大で10倍にまでなったとか。ノーギャラなのに。

 しかしこのアニパフォ、通常大会は2017年の10月開催で終了、コンテスト形式での全国大会決勝は同年12月をもって終了。およそ4年の歴史に幕を下ろしました。
 背景を見る限りには…池袋本店内のイベントスペースを、サイン会や握手会といった、より直接的なお金を生む企画に使いたかったアニメイト側の方針があった…かもしれませんが。
 ご丁寧にアニメイト側では公式サイト内のアニパフォページもさっさと全消去してますから。

 熱狂の後に、穴がポッカリ。
 実質その受け皿となるべく動いたのが、アニパフォでMCを務めていた綾川ゆんまお嬢と他、ゆめ企画。
 アニメイトの傘下を外れ、新たな運営母体で、埼玉近郊のショッピングモールでの公演が始まります。

 「モールでコスプレパフォーマンスフェスティバル☆ゆめ企画」として試験的に開催されたのは(アニパフォ終了直前の)2017年10月イオン北戸田。そこから間が開いて、本格的な開催となった第2回は…
■2018.2.25 イオン北戸田(第2回) 一日二回公演の二回目の部

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 観客は開始前から既に数十人が待機。アニパフォ時代からの追っかけファン(10代女子率高め)が主ですが、男性カメラマンや、イオンならではの家族連れが立ち寄ったり、さらに少数ながら新企画に注目したであろうサブカル系のイベンターやDJの方々の姿もあった。公演中はMAXで200人を軽く超えていたであろう。

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 ゆんまおMCは「エヴァンゲリオン」のアスカのコスプレで登場。惣流なのか式波なのかは言及せず。彼女は明確にコスプレタレントという肩書きを立てて活動した先駆者である。時にレースクイーンだったり司会業だったりマルチに活動する、コスプレパフォーマーにとってはお母…お姉さんだぞ!
(間違えてほしくないけど、私自身はコスプレイヤーがタレント活動するのは全く否定していない。ゆえに、コスプレ以外のスキルがなければタレント業が成立しない事も知っているので)

 演目の合間に流れるBGMなどはアニパフォで使用されたものと同一で、これがアニパフォの実質的な後継企画である事を物語っている。
 軌道に乗るまでの間は出演チームは公募ではなく、過去のアニパフォ全国大会入賞者や、アニパフォ通常公演での常連が招集されている様子。

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「ONE PIECE」 
by CBC∞(シービーシーインフィニティ)
ワンピの強めな女子チームですね。

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「名探偵コナン」 
by PSP
第二回ア二パフォ全国大会総合優勝チーム(当時とチーム名と編成は異なる)。
コナンとキッドの恋ダンス…に割り込む真犯人の影。
麻酔針が誤射されてキッド昏睡などネタ満載。

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「刀剣乱舞」 
byアヤカシキ
ステージの上下を使って演舞でした。

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「あんさんぶるスターズ」
by ぷるぽ組
2チームとも客席からの黄色い声援が止まらなかった…

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「プリパラ」
byらぶりーちぇ
今年結成されたばかりという踊ってみた系チーム。かしこま~!ってリアルに目の前でやられるとイラッとさせてくれるぜ。誉め言葉な。

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「スーパーマリオ」
by バックワイルダー
第四回アニパフォ全国大会で総合優勝(当時はFGO)の男性5人組ダンスユニット。スーパーマリオのテーマに乗ってアクロバチックなダンス披露。
アニパフォではコスプレ必須ではなかったので独自のユニフォームでアニメ系のダンスを披露するチームも多かった。

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「らんま1/2」
by愛你飯店
今回の公演では最も古い作品だと思われますが実は好反応。
(ウチは裏番組のスーパー戦隊派だったんだよ…)

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「僕らのヒーローアカデミー」
by ひろパー
第四回アニパフォ全国大会フリー部門優勝チームであり、つまりアニパフォの最期を飾ったチーム(前述のバックワイルダーも同様)である。
ここはセリフとストーリーのあるコメディタッチの学園寸劇から、アクションを織り交ぜていくパターン。

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「美少女戦士セーラームーン」
byムーンパレス。
ももいろクローバーZの「MOON PRIDE」。近年のリメイク版セーラームーンCrystal主題歌ですね。

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「おそ松さん」
byワンデープロジェクト
第三回アニパフォ全国大会優勝チーム。今回は六つ子の配役を全部変えたそうで…わからんわ!

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全チーム終演後には1チームずつ再登場してコメント。

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集合写真から、交流タイムへ。
この辺もアニパフォ時代で完成された構成。

コスプレ:ショッピングモールでパフォーマンス セーラームーンやナミ、コナンも-まんたんweb
https://mantan-web.jp/article/20180225dog00m200004000c.html


 「モールでコスプレパフォーマンスフェスティバル☆ゆめ企画」(長い)としては、このイオン北戸田が第1~2回の舞台。
 第3回が4/30アリオ深谷、第4回が5/6イオン浦和美園というカウントになるらしい?
 アリオ深谷は船橋市民には遠くて、さすがに観覧に行けなかった。ここから話は2か月後に飛ぶ。


■2018.5.6 イオン浦和美園(第4回) 一日二回公演の二回目の部

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ステージの両側を区切って「ファミリー席」が設定された。これは子供連れの場合に優先的に入れる席で、最後列から小さなお子さんを肩車し続けるパパの負担が減り、子供だけでは身長が足らずステージがよく見えないという事態も回避されるのである。
 オタク以外の客層への配慮というのは些細な変化なのだが、これがアニパフォの受け皿でありつつ、既にアニパフォとは違う道を歩み始めている事の表れでもある。
 もう見る側もアニパフォのイメージを引きずる必要も無いのかもしれない。

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ゆんまおMCは「もののけ姫」サンでした。仮面を除く衣装は17年前の製作らしいので、コスプレタレントとしてデビュー(2003年?)する前のものという。

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場内はこんな感じ。北戸田でも浦和美園でも、吹き抜けで上からも見られる位置にあるので2~3Fからも気づいて観覧する人たちがいる。

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「サザエさん」
by ワンデープロジェクト
前々回でおそ松さん六つ子だった役者チーム、この日は日曜の終了を告げる例のEDテーマでキレッキレに踊る。

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「BREACH」
by P.E.A.C.E
アニパフォからおなじみだったアクションチーム、和装で殺陣を披露。

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「Stage☆ON」
by Stage☆ON
ST☆RISHとQUARTET NIGHTフルメンバーで登場。演じるStage☆ONはうたプリのコピーバンド的なパフォーマンスで関東圏ではおなじみチームですが、昨年の大幅メンバー交代により現在のメンバー構成はだいたい二代目チームに当たる。

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「アイドリッシュ7」
by GOLi7(ゴリナナ)
本日の公演のために組まれた限定チームなんですって。

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「プリパラ」
by らぶりーちぇ
北戸田から引き続いて登場。小さな女児と大きな男児に大人気。楽しそう…

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「ワンピース」
by 大盛り乾組!
Cure→ワールドコスプレイでSNS管理人を長年務めてらっしゃる乾たつみさん(右側のレイリー)のチームによるコント。
世界コスプレサミットなどでコスプレパフォーマンスの審査員を多く務めてらっしゃる乾さんなのですが、この日の演目に関しては正直、スベリ芸から、笑いの要素をマイナスした形であった。
何よりコントなのにセリフがよく聞こえないのは致命的である。

なお、ゆんまおMC曰く「一回目よりも(二回目の方がこれでも)受けてた」との事。
以上、コスサミ予選で審査されてた立場の人間からの、入念なダメ出し。

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「ラブライブ!サンシャイン!!」
by 9Mermaid
この日は5人編成で沸かせました。ラブライブレイヤーが集合する際の問題点。まず9人の予定がそろわない。

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「ラブライブ!」
by Chouchou
こちらは初代μ`sの方から制服姿で3人組。

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「刀剣乱舞」
by 鏡花水月
下に降りてステージ狭しと動き回りました。

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「NURUTO」
by CbC∞(シービーシーインフィニティ)
北戸田ではワンピース女子チームだった皆さん。今回は観客をステージに募っていじったりしてます。

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「美少女戦士セーラームーン」
by ムーンパレス
今回はトリで登場。毎回ハズレが無いという意味で安定の実力チームである。

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集合写真から交流会へ。盛況のまま終了。

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この日、イオン浦和美園で買った埼玉土産。

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 雑感として、気になった事を二つ。

 一に版権問題の回避について。
 アニパフォ時代はステージ背景のプロジェクターで公式の画像や映像をバンバン使っておりまして、「アニメイトの集客に役立てば公式グッズや映像ソフトの宣伝になる」という意味で突っ走っていたでしょうが(実際アニメイト店内のPOPや、流れてる映像や音楽にいちいちクレームつける権利者はおらず、むしろ宣伝と受け取られる)、ショッピングモール開催となるとそうも行かず、実際の公式キャラクターショウと被るような作品や、本格的な演目はできなくなる訳です。

 二に客層の変化について。
 アニパフォ時代から追っかけてくれてる常連客の他に、ショッピングモールなのでファミリー層が多くなっていくので、観客数はグッと増えました。
 そうなると、どうしてもオタクな中高生女子が盛り上がる部分(刀剣乱舞だったりアイナナだったり)、子供やパパママが盛り上がる部分(コナンだったりプリパラだったり)が違うので、アニパフォ最盛期のような出演者と観客が全部一体となった盛り上がり方は難しくなっていきます。

 これらは平たく言えばノーギャラ出演者による素人演芸大会ですが、同時に、やっぱりどこかではビジネスに結び付けないといけない。公演を重ねていくといつまでも選抜メンバーでは回せないから、どこかで公募枠も復活(?)させる必要もあるでしょう。
 どうやって、隙を縫って、かつ出演者と主催者と会場と、(権利者に迷惑をかけず)全方位においてwin-winの関係を築くか。
 なかなか難しい舵取りを求められるところでしょうね。

 モールでコスプレパフォーマンスフェスティバル☆ゆめ企画、略して…
コスパフォフェス?でいいのかな?
 この他に関東圏でコスプレパフォーマンス系の小~中規模での定期開催イベントは、秋葉原のアキコス、川崎の2次元アイドルフェスティバル、高田馬場と立川のTokyoCosplayCllectionなどがあります。
 最も大きかったアニパフォが終了した事で分散が進み、人材が拡散されてゆくのでしょうか。

 このコスパフォフェスは関東圏の現行ステージイベントの中では会場面から最も特色を出しやすい(足枷も多い)ポジションでもあるので、注目して見ていこうと思います。



・コスプレパフォーマンスフェスティバル公式ツイッター