マイナー作品の“でも面白い部分”の発掘に尽力しております。
  よく長期番組においては「シリーズで1.2を争う不人気作…」なんて文句がありますが、戦隊シリーズに関してはブッちぎって「オーレ」が不人気なのです。
  以前、各戦隊コミュ参加人数を比較したことが有りましたが、何度測ってもオーレが最下位です。同年代のほかの戦隊と比べても、ケタが一つ違います。
http://pixiv.cc/zubunuretiwawa/archives/51461448.html
  同じく不人気と言われたファイブマンやカーレンジャーには着いてる“コアなファン”が、オーレには殆ど居ないんですねー…。 


  不思議。初期設定にしても数々のテコ入れ(ちゃんと入ってないんだけど)にしても、部分的に面白くなりそうな要素は含んでいても、いざ映像になった時には面白くなくなってるんです。
  ですので、以降、“作品”としてではなく“ムーブメント”として、オーレがなんであんなコトになったのか、ちょっと考えてみませんかとゆー内容。


● 技術の壁
  初期に有った“ハード&メカニック”路線は設定こそ壮大であったが、当時の東映にはまだ、これを破綻無く映像化できる技術が無かった。
  かといって、開き直ってパワフルな作風で押し切る事も、チープさを売りにする事も出来なかった。
(結果、地球に迫る未曾有の危機に、隊員の誰か が毎週の如く休暇を取って、そこで事件に遭遇するという不自然な展開が続出する)

● “職業ヒーロー”の難しさ
  この当時、ダイレンジャー・カクレンジャーといったアクの強い作品が続いた事で、既に戦隊のファン層が入れ替わっていたのだと思います。
  ダイレン・カクレンを見慣れた視聴者とっては、比較的オーソドックス(原点回帰がテーマですから)なヒーローのオーレンジャーは印象の薄いものであり、正 統派ヒーロー物が受け入れられるにはまだ時期が早かった。
(3年後のギンガマン、ゴーゴーファイブが丁度良い頃合だったのだと思う)

つまり、色んな意味で時期尚早だったのではないでしょうか?

  以下、ダラダラと続きます。

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ウィ キペディア
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B6%85%E5%8A%9B%E6%88%A6%E9%9A%8A%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%BC
  チカラ入ってたのは事実なんですけどね。
  第一話冒頭で人類側が大打撃を受けて、収集された国際空軍の精鋭部隊が途中で襲撃されて、それをレッドが一人で救出に向かう…ってハードな展開だし。一話 目でレッドしか出ないのも斬新でした。
  レギュラーで宮内洋、声優陣も大平透に肝付兼太に関智一にあげく神谷明。
  音楽は横山菁児で海外録音の交響組曲。ロボとアクション用の挿入歌は渡辺宙明が戦隊シリーズに復帰。
  放映開始直前には、戦隊シリーズを振り返る特番(VTRだけじゃなくて、ちゃんとスタジオで収録)もやってましたね。しかも司会は田代まさし!

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  中盤で、ファンタジー路線の導入を図ってるんですね。
  10億年の眠りから目覚めた少女ドリンと、それを守る少年リキ=キングレンジャー(変身時に大人の体格になる)。あと願い事を叶えてくれるガンマジン。設 定だけ聞くと人気出そうなのに。
  メーンストーリーに絡むわけでもなく、いかんせん、いきなり過ぎて付け焼刃な印象でした。

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  演技面でも脚本面でも主人公側がキャラ薄かった分、マシン帝国バラノイア側がやたら濃かった気がします。
  ロボットなんだけど、妙に人間くさいんですよね。
  作戦の失敗を怒り狂う皇妃ヒステリア(起こると口元が割れて牙が覗く)に、頭の上がらない皇帝バッカスフンド、ボンボンの皇子ブルトント。従者のアチャと コチャ。

  で皇帝バッカスフントが討たれて、新敵役のボンバー・ザ・グレートが帝国を乗っ取って政変。でも急成長して帰ってきたカイザーブルトントが実権を奪い返し て、さらに王女マルチーワと結婚まで。
(息子の即位を見届け、皇妃ヒステリアは退位。以降ちょっと老ける)

  最終回はヒステリアが生まれたばかりの孫を、「この子だけは…」ってオーレンジャーに命乞いするんですよ。(最近やらないけど、この、ヒーローが悪の居城 に突撃する展開ってカタルシスだよな!)
  主人公側のキャラの弱さも手伝って、この構図って、もうオーレンジャーが悪者じゃん!みたいな。
  きっと後半に行くにしたがって、バラノイア目線で見ていくと面白いのかもしれません。オーレンジャーはあくまで国際空軍の職業軍人なので、個人のドラマを 描き難かった分、バラノイア側を濃く描いていったのでしょう。

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  DXキングピラミッダーの不細工さ、売れ残りの山も伝説を作った。けど生産数を絞ったのか、マックスマグマほどには在庫の山を築かず。

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  でもこれだけは言えます!
  挿入歌「虹色クリスタルスカイ」は本当に名曲!



  最終回EDではこの曲をバックに、1年のダイジェストとスタッフロールが流れるんですけどね。
  それがまるで、相次ぐ路線変更とテコ入れ(入ってないって)を振り返ってる様で、スタッフにも「おつかれさまでした」と言いたくなったりします。


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  ただ不思議なもので、いまTV放送してる「オーレVSカクレンジャー」や「カーレンジャーVSオーレンジャー」を久しぶりに見ると、当時は惰性でしか見て なかったオーレンジャーが、妙に愛おしく思えるんですよね。