立錐の余地なく超満員に膨れ上がった名古屋は栄、オアシス21内特設ステージ!
吹き抜け型の地下2F広場を使ったこのステージと客席を、さらに取り囲む周辺立見席からの熱視線。
数千人を超すであろう大観衆の興奮は、地上2Fの近代的な形の屋根を吹き飛ばさんばかりに沸点を迎えております!
(古館伊知朗的プロレス実況パターン)
さて、昨日8/7(日)に迎えた、世界コスプレサミット2011チャンピオンシップ大会、優勝決定戦の模様をレポします。
毎年都合が悪くて、土曜のパレードは参加できるのだけど、日曜の本選は観覧できなかったのです。今年は週明けの有給をぶん取って、はるばる千葉から行って本選まで観覧できました。記憶が鮮明な内に記しておきたいので、レポりますよ。
あ、検索で来られた皆さん、素人のブログの中では多分、詳細な方ですよ。
だってここを書いてる人は記者でもなんでもなく、本当に好きで見に行って、好きで書いてる、物好きだもの。
(書いてる人は観客席の隅っこで、ミミックの被り物をしてました)
※ あくまで大会のコスプレの対象は日本の漫画・アニメ・ゲームだけです。
(特撮は非対象)
※ 今年から舞台上に持ち込める小道具やオブジェに、総重量の制限が加わりました。
(大型化が続いてて、輸送費の有無(チーム毎の資金力や、その国の貨幣価値)で不公平になってしまうからな…)
※ 今年から持ち時間が3分から2分半に、若干短くなりました。
(17カ国も参加してるからな…)
あと、厳密に考えるなら、根本的にはファン活動や自己満足の延長であるコスプレに、「世界一」を決めるもへったくれも無いんじゃないか…というのは思うのですが、世界各国から日本にコスプレイヤーが集まって競い合う…という企画自体が非常に盛り上がるので、お祭り的に十分アリだと思います。
× × × × ×
18:30より本選、各国代表のパフォーマンス開始。以下、メモしながら観戦したレポ。
ただ特撮オタとしては原作を知らない作品も多いので、感想としては的外れな部分もあると思いますが、必ずしも原作が知られてない前提で何を描くか?ってのもきっとワザだと思うの。
No.1 スペイン: ロミオ×ジュリエット
剣劇をメインにしたオーソドックスなスタイル。恋人を殺してしまうシーンで、表情の作り方が迫真ですばらしかった。
いきなり一発目でキスENDかい!
(男女コンビは恋人同士が参加してるケースが多いのである)
No.2 デンマーク: アヴァロンコード
二人がカタコトの日本語で掛け合いしながらの、ドタバタ劇。
(他チームもそうだが)台詞は当人たちが事前に吹き込んでいるのだが、微妙に日本語が違うのが気になった。
例えば、「もう去ってほしい」は、「帰ってくれ」の意味だろうと思うの。
No.3 ドイツ: カレイドスター
二人の女性が、蝶の羽を身につけ、大きな扇子を使いながら舞う。とにかく美しい。
そして蝶の羽を外すと、中から天使の羽が開いて出現するという早変わり。
中の人の美しさという意味では、ドイツと中国だなァ。
(コスプレはそーゆーのを基準にするファッションではありませんが)
No.4 大韓民国: 美少女戦士セーラームーン
直径3mもの大型スカートのセレニティが、早変わりでスーパーセーラームーンに変身。全高3mの敵と戦う。
で、この大会は二人一組がルールなので、キャラは二人だけか、途中でキャラチェンジするネタが多い中、逆転の発想が見えた。
(舞台上に登場しない)他の4戦士の攻撃を、電飾を使う事で表現し、ダメージを受けた敵の体が4色に発光、そしてセーラームーンがトドメを刺す。
終わった瞬間、セラムンミュージカルのような錯覚を覚えた。飛び交った歓声ではトップだったと思う。
No.5 タイ: 斬撃のレギンレイヴ
鎧の造型が、ものすごい細かくて綺麗…!
ヒロインが剣を振るって巨大なモンスターと戦いながら、その肉片が千切れ飛んでいく演出。
(剣劇もモンスターもオーソドックスなネタだが、これは「斬る」表現に力が入っている)
そしてモンスターが避けて中から転げ出た男性が、ヒロインとキスEND。(本日二組目)
~ スペシャルプログラム1 ~
各代表は次々に、間を置かず交代で舞台に登場してパフォーマンスを行う。一回ずつインタビューなどは無し。
(モニターに、事前収録していた短いコメントは流れる)
代表チームは数チームごとに4つのセクションに分けられており、次のセクションが準備する間にはスペシャルプログラムで間をつなぐのであった。
ここでは歴代日本代表4組8人が再結集した“コスプレteam JAPAN”が、「鋼の錬金術師」の後日談を演じる、というオリジナルの寸劇。10分くらい。
ただ、実はハガレンを読んだ事が無いもので、何が起こってるのか分からず…。
(ちょっと意地悪な書き方しちゃうけど、コスプレって基本的に仲の良い・ウマの合う人だけでやる趣味なんであって。まして女性コンビの関係性って強固でしょう。
なので、歴代日本代表から8人を大目的のために集めて、監督がこれをやろう!って振っても、だからといってよりハイレベルな演目にはならないんですよ。全員ヒロインだけの劇団なんて、ありえないんだから…。
これが8人でひとつのチームになるには、もう少し場数が必要かな。今後チームとしての成長を期待)
ところで、エドとアルと声が本物っぽいんだが…え?気のせい?もしや新録?
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No.6 日本: スーパーマリオブラザーズ
マリオとクッパが、ピーチ姫をめぐって互いをdisりながらダンス。
さらに決着をつけるため、カート(三輪車)レースで勝負。
しかし勝利して喜ぶマリオの前に現れた姫は…というオチがついた。
コテコテのギャグで、前夜の日本代表選考会(後日レポします)でも見たけれど、やっぱ関西出身の方なんですって。あ、ちなみにクッパも中身は女性です。
No.7 メキシコ: 華札
知らない作品なのだが、着物姿の二人が斬り合う、耽美でホラーっぽい内容。追い詰めて障子を裂いて、血糊べったりEND。
外国人の考える日本のイメージってこんなかなー、とか思って見ていた。
群を抜いて中二病クサいのだが、それが面白い。
No.8 オランダ: 舞-乙HiME
電飾の入った衣装でダンスを披露。
ライトペンを蓄光紙にあてて動かし、キャラの背に羽を描くなど、光と影を使った演出が美しい。そういや、いつの間にか空が暗くなる時間帯になっていた。
ちなみにオランダは今回が初参加。
No.9 オーストラリア: 吸血鬼ハンターD
天野顔! FFシリーズでおなじみ天野喜孝デザインの、きらびやかな細かい装飾の衣装と、あの血色の悪ーい真っ白な顔を再現。
二人とも厚底で背を高くして、白塗りに唇が真っ黒なのだよ。
演技が完成されていて、(ストーリーは分からないのだが)さながらプロの舞台の様であった。
ここでコメントを求められた審査員席の(株)ブシロード木谷社長、興味深い事を言ったので書いておこう。
「予想よりレベルが高い。知らない作品もあるんですけど、(パフォーマンスを)見てたら原作を知りたくなった。これもう、メディアミックスになってるんです」
…さすが商売人。面白い視点で見ている。
木谷社長は(株)ブロッコリーの創業者でもあり、初期は同人誌即売会コミックキャッスルの主催などもやっていたのだが、キャッスルは池袋サンシャインで男性向けという性格上、コスプレに対して非寛容であった。
つまり、木谷社長が“コスプレイヤー”“コスプレイベント”というものに直に触れたケースは、これまで非常に少なかったのだろう。(ブシロードレスリングでの長島☆自演乙はちょっと違う…)
何か動くやも知れぬ…。
~ スペシャルプログラム2 ~
ここで、JAMプロジェクトスペシャルラーイブ!
ガオガイガー・少女革命ウテナ・ドラゴンボールZなど、JAMプロの面々が各々ソロで、燃えたぎるアニソンを熱唱!
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No.10 中国: 真・三国無双6
二人の女性が、太鼓を生演奏。布を巻きつけたバチで太鼓を叩いて…と思ったら、これ、よく見るとバチではない?
パッと開いたら、扇子だった。そのまま扇子を両手に舞い始めると、布もフワリと一緒に宙を舞い、クルクル。
う、美しい…。演じてる二人も、演舞も。
演舞系はいくつもあるが、最も高い完成度だったと思う。
No.11 ブラジル: FF X-2
金色のオブジェの上に、上半身ムラサキの女性。それと男性が銃撃で戦う。
クライマックスではオブジェから真横に巨大な翼が広がったり、大量の煙を噴き出したりと、とにかくデカくて派手。
この二人は2006年の優勝チームの再登場でもある。
(噴煙に混ぜていたパウダーと紙吹雪は、後々まで舞台上に残って邪魔になってましたが…)
No.12 フランス: グレンツェン・テューア
原作を知らなかったので調べましたが、双子の少女が二つの世界に引き裂かれるお話なのかな?
ゴスロリの双子が登場し、背後の巨大な扉から次々と色んなものが出てきます。2m位の腕とか。
で、最後は扉が90度回転し、扉を挟んで二人が向かい合う、という暗示的な終わり方。
中ニ病クサいよぅ…でもそれが面白いんだよぅ。
No.13 フィンランド: 真・三国無双6
他チームが男女もしくは女性同士のコンビな中、男性同士のコンビが!どういう事なの?
中国代表とネタ的に被るかと思ったら、全然違うでやんの。
3mくらいの巨大な槍を両者が構えて、戦うのか?と思いきや手をとってワルツを踊りだした。
また真面目に戦おうとしたり、でもスローモーションになったり、コメディ色が強いパフォーマンスになりました。
No.14 アメリカ: XXXHOLIC
CLAMPで来ましたよ、アメリカチーム。
侑子と君尋との演舞なんだけど、侑子が着物の帯を効果的に使って君尋の腕を捕らえたり、肌の露出はまったく無いのにどこかエロチズムを感じる内容だった。
これを、アメリカ人が表現してるかと思うとすごく不思議。
~ スペシャルプログラム3 ~
cureコスプレコレクション。略してコスコレ。
これはコスプレサイトcureが関連するイベント内でよく行われている試みで、1人~数人のチームが、ファッションショー形式で次々と舞台に上がってポーズを決めたり、簡単なパフォーマンスをしたりするというもの。
10分程度で30人のコスプレイヤーが参加し、非常にPOPでキュートでした。
見る側も出る側も、簡単にコスプレの楽しさを伝える事のできる企画だと思う。
(言えない…自分も某所でのコスコレに申し込みたかったけど、ロボじゃ舞台への階段を上れなくて断念してたなんて言えない…)
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No.15 マレーシア: ペットショップ オブ ホラーズ
民俗音楽っぽいのに乗って、黒い三つ首竜と戦ってましたが。
すまん、元ネタ知らないんだ…。
あと、後ろで流れてる台詞がカタコト過ぎて。初参加国なので、また頑張ってほしい。
No.16 イタリア: シュガシュガルーン
前回優勝国のイタリア(メンバーは異なる)、魔法少女の演出に、マジックを取り入れてらっしゃる!
OPテーマをバックに、垂らしている幕を効果的に使いながら、ショコラとバニラが魔女・私服・ドレスに変身したり、ステッキを宙に浮かせたり、パッと消えたり。
しかも、間の取り方が上手い。変身すると見せかけてまだしない、とか。
でも実は自分の席が隅っこだったから、脇からマジックの種が見えたなんて言えない…。
No.17 シンガポール: 戦国BASARA3
家康vs三成の対決を豪快な演舞で。
三成は電飾入りの刀での剣劇、家康は己の体を使ったアクション!(こちらは男性で、仮面ライダーのファンだとか)
大いに盛り上げて、トリを飾っていただきました。
ところでシンガポールって人口500万人なのに、コスサミ予選の申込だけで2万5千人も来たんですって…。国民の200人に一人がコスサミ参加希望って、すごい国やのぅ。
~ スペシャルプログラム4 ~
JAMプロジェクト、スペシャルライブその2!
今度は5人参加で大熱唱。JAMプロにも詳しくないんだけど、でもレスキューファイヤーは知ってるよ!
30分ものライブで、この日歌ったのは合わせて10曲以上。もう、本格的にライブじゃないの!
10月にツアーで名古屋へ再来するそうです。
ありがとうJAMプロ。すっごい元気でた。
(この時点で駄チワワは飲み水を使い果たしてしまい、体温調節のできないメルトダウンな状況なのだが)
× × × × ×
そして…審査結果が発表されたのである。
・シペラス賞(シペラスの選ぶ、ウィッグの美しさ):オランダ(舞-乙HiME)
・ブラザー賞(ブラザーミシンの選ぶ、衣装の出来):オーストラリア(吸血鬼D)
・3位 : 中国(真・三国無双6) 94点
・2位 : イタリア(シュガシュガルーン) 96点
・1位 : ブラジル(FF X-2) 100点
(上位発表の際、舞台上に集まった各国代表が、ドラムの代わりにみんなで床を叩いて効果音を出していた)
個人的に優勝を予想してたのは、4位の韓国(オランダと同94点)。
以下、6位アメリカ(93点)、7位に日本(92点)。…上位はみんな僅差だなァ。
日本はネタは面白いのに、どうしてもセットや小道具がこじんまりしてて迫力不足に見えるかな、とは思っていた。
これは日本の住宅事情が悪くて大型セット作る場所や置く場所が無い事、そして今は趣味に時間や金を使うには大変なご時世である事も理由なので、その中で頑張った人たちには敬意を表したいです。
すべて終了時、時計は22時近くになっていました。3時間半の長丁場な大会になりましたね。
(いずれ大会の動画もUPされると思います)
× × × × × いやー、決勝大会は初観戦だったけど、こんなにも白熱のイベントだったとは…!
客席の隅に座るミミックの奥で、30過ぎのおっさんは、胸の奥から何やら熱いものがこみ上げて、エンディングでちょっと泣いてしまいました。
いつもパレードしか参加できずにトンボ帰りしてたのが惜しい。いや来年もスケジュール的にそうなるだろうけど。
そして、この色々ある中で、自分の意思で日本まで来てくれた各国代表の皆さんは、ホントありがとうの気持ちでいっぱいです。
どうしても世の中に、国や地域ごとの問題は絶えないけれど。
でも争いごとは、争いたい人たちがやればいいんです。
俺たちは、面白い事をやろう。見に行こう。
たとえ政治的には壁があったとしても、文化はそれを超えて伝わる力があるはずなんですよ。
(毎年言ってるけどね)
…。
さて、来年はコスサミ10周年記念大会だそうで、新規参加国として、ロシア・イギリス参戦予定が発表されました。
た、大国が来る…
[関連記事その他]
・大須コスプレパレード編
・日本代表選考会
・世界コスプレサミット小史その1〜これまでの歩み編〜
・世界コスプレサミット小史その2〜トラブル編〜
(うちのブログで「コスプレ」カテゴリを遡って頂くと、面白いかもしれません)
・Prayers from Cosplayers コスプレで作れる笑顔がある
(海外レイヤー達からの応援サイト)
・世界コスプレサミット2011 チャンピオンシップ栄光を手したのは!?[前編] - Anigema 〜あにげマ!〜
・世界コスプレサミット2011 チャンピオンシップ栄光を手したのは!?[後編] - Anigema 〜あにげマ!〜
(写真入りで詳しい)
・世界コスプレサミット、ブラジル代表が3度目V 読売新聞
・世界コスプレサミット:ブラジルが3年ぶり3度目の優勝 FF12に扮し兄妹で史上初の2度目の栄冠 毎日新聞デジタル
・世界コスプレサミット:パフォーマンス重視の中、海外勢強さ見せる 毎日新聞デジタル
(つかれた…パレードや日本代表選考会のレポはまた後ほど…休ませて)